ブルージュ(ベルギー)

不思議の国のフランス

北のヴェニス、ベルギーのブルージュを散策

「不思議の国のフランス」第54話の受講メモです。今回は、ベルギーブルージュという街をアガットが案内してくれます。



ブルージュってどこにあるの?

前回はフランスのリールでした。アガットはリール出身です。リールはフランスの北のほうなので、ベルギーにとても近く、リールからブルージュまで車で1時間ほどだそうです。

ベルギーは北はオランダ、東はドイツ、南東部はルクセンブルク、南はフランスと陸続き。北西部は北海に面していますが、このあたりは昔、フランドル伯爵の領土だったので、フランドル(フランダース)地方と呼ばれています。

ブルージュはこのフランドル地方にある街です。

ブルージュ(Bruge)という呼び方は実は英語で、フランス語ではブリュージュ(スペルは同じ)、オランダ語では Brugge というつづりで「ブルッヘ」という発音です。

ベルギーの公用語はオランダ語とフランス語なので、同じ街なのにスペルが違って発音も違うケースがあります。まぎらわしいですね。

国際的には、英語のブルージュが1番通りがいいと思います。

この回のエピソードはサンプルとして字幕なしが一般公開されています。

☆きょうのメニュー
●3つのキーフレーズ
●ブルージュについて

3つのキーフレーズ

それだけでも という意味の déjà

C’est une ville qui est très, très connue parce qu’elle est déjà trés belle…
この街はそれはそれは有名です。というのも、第一にとても美しいからです…

ポイントは déjà デジャという単語です。déjà はデジャヴュのデジャで すでにもう、という意味が1番よく知られています。この文のdéjà は「それだけでも、これでもう」という意味で、会話でよく用いられる déjà です。

C’est déjà un beau travail.
これだけでも立派な仕事ですよ。

C’est déjà beaucoup d’avoir réussi cet examen.
試験に合格しただけでも大したものです。

この déjà は それだけでも、と強調していますが、「それだけでも」という裏で、他にも別のことがあります、と匂わせているので、例文のように、「第一に」と訳すこともできます。

ブルージュはすごくきれいな街なので、もうそれだけで超有名、でも、まだチョコレートとかベルギービールなんていう名物もあるんですけどね、という気持ちが裏にあります。

そのうえ という意味の voire

Alors là nous sommes devant le musée de la frite. Qui est sûrement l’un des rares, voire l’unique musée de la frite qui existe au monde.
さて私たちは、フライドポテト美術館の前にいます。これはとってもレアですよ。さらに言えば、世界で唯一のフライドポテト博物館のはずです。

voire そのうえ、さらに、~さえも

Il travaille tous les jours dix ou onze heures, voire même douze.
彼は毎日10時間、11時間、いや12時間は働くよ。

après + 不定詞複合形

Alors là, nous sommes enfin arrivées dans le centre de Bruges, après nous être un peu perdues.
さて、少し迷いましたが、ブルージュの中央につきました。

après nous être un peu perdues
この部分は不定詞複合形です。不定詞の過去形で、主節の動詞よりも前に完了したことを伝えます。

形は avoir + 過去分詞 または être + 過去分詞

après + 不定詞複合形 で、~したあと、という意味になります。
Il prend sa retraite le mois prochain après être resté douze ans à son poste.
彼はそのポストに12年間いて、来月退職します。

Après avoir examiné les papiers, il les a signés.
彼は書類を検討してから署名した。

キーフレーズでは、主節の複合過去形の過去分詞も、不定詞複合形の過去分詞も女性形の複数形になっていますが、アガットも女性だし、カメラで撮影している人も女性だからです。

こちらにも不定詞複合形について書いています⇒フランス語のことわざ52~クマを殺す前に皮を売る(捕らぬ狸の皮算用)

このエピソードの続きはこちら⇒ベルギーのブルージュ観光。ワッフルの語源は「蜂の巣」だった

ブルージュの美しい街並み

ブルージュは中世の町並みがそのまま残っている美しい街です。「北のヴェニス」「屋根のない美術館」という異名があります。

3分でブルージュを説明している動画を紹介(英語)

ブルージュは、9世紀初代のフランドル伯がノルマン人の侵入に備えて建てた砦を中心に形成されていきました。

アガットによれば、3世紀からあったそうですが。

11世紀頃から、フランドルの毛織物産業を基盤にして発展。13世紀までには、イギリス産の羊毛をすべて引き受け、ハンザ同盟の商業中心地となり、14世紀に最盛期を迎えました。この頃、ロンドンと人口が同じだったそうです。

ブルージュにある運河は、12世紀の大津波が残した溝に作られたものです。この運河があるおかけで、北ヨーロッパと南ヨーロッパの交易に便利な街になったのです。

15世紀には、100年戦争で疲れたイギリスとフランスの間を縫って、商業と芸術が栄えました。

ところが、16世紀に、運河や港に砂が堆積して使えなくなり、貿易がアントワープに移ってしまったせいで、勢いをなくし、そのまま衰退していきました。

19世紀になって、運河が再生され、今度は中世の面影を残した美しい街、北のヴェニスとして、観光都市となりました。

ブルージュは、16世紀以降衰退して誰もやってこなかったせいで、今でも古い街並みが残っているのです。

都市の運命にもいろいろありますね。

ブルージュ

現在のブルージュは上の動画にもあるように、町並みや建物だけでなく、
●チョコレート
●レース
●フライドポテト
●ベルギービール
といった名物を楽しめる街になっています。

チョコレートの店はとても多く、地元の人は毎日作りたてのチョコレートを買って食べているとか。

ブルージュでは、中世、修道院でビールが作られていました。その名残の、「僧侶の作ったビール」を修道院で楽しむこともできます。もちろんふつうのベルギービールもあります。

レースは、ボビンレースで、手作り。糸のつながったボビンをかちゃかちゃと動かして編みます。

ブルージュのレースはこんなふうに編みます。

う~ん、何をやっているかさっぱりわかりませんが、別の動画で見た、レース工房で、かちゃかちゃとレースを編んでいた人は、おばあさんばかりでした。重要文化財的な人たちなのかもしれません。

模様にもよりますが、4センチぐらい編むのに2時間かかるらしいです。

昔の王侯貴族の肖像画を見ると、首に白いものを巻いていますがあれがレースです。あのレースを作るために、レース産業が発展しました。

ブルージュは特に派手さのある街ではありませんが、古い街並みや中世のアートが好きな人には楽しめる場所でしょうね。

運河を行く船に乗って観光するのも楽しそうです。



In Bruges(ヒットマンズ・レクイエム)

ブルージュでロケーションした映画があるので予告編を紹介します。街並みが見えるので雰囲気がわかります。2008年のその名も In Bruges というタイトルのイギリス映画です。

この映画の主人公はヒットマンなのですが、平和なブルージュとミスマッチしてますね。そこを狙ってわざわざブルージュでロケをしたのかも。

コメディのようですね。

いかがでしたか?

ブルージュはツーリストスポットなのでフランス語はもちろん英語も通じるようです。いつか機会があったら行ってみたいですね。






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