pen アンディ・ウォーホル

フレンチポップスの訳詞

歌と訳詞:アリゼ Fifty-Sixty ウォーホルのミューズ、イーディのことを歌った歌

アリゼのFifty-Sixtyという、2008年の曲をご紹介します。
アリゼはコルシカ出身のフランスの歌手です。有名な方ですね。

この曲のタイトルは英語ですが、50年代、60年代という意味で、アンディ・ウォーホルの数々の映画に主演したモデルのイーディのことを歌っています。記事の後半でこの2人のことを少し書いています。

PVは60年代っぽい雰囲気ですが、音作りは80年代風です。

では、曲を聞いてください

歌詞には60年代の風俗や、ポップミュージックのジャンル、アンディ・ウォーホールにゆかりのあるミュージシャンの名前が出てきます。

それでは和訳に挑戦!



Fifty-Sixty Alizée 「フィフティ、シックスティ」~アリゼ

Pretty sixteen,
Belle héroïne des sixties,
Tu te dandines,
T’es divine,
Quand tu danses,
Dans les yeux d’Andy…

かわいい16歳
60年代の美しいヒロイン
あなたは、腰をふって歩く
女神のようだわ
あなたがアンディに見守られて
踊っていると

さよならビーポップ
もうトップじゃないのよ
ポップアートが
あなたを転落させたの
落とし穴に
ポップコーン、フラフープ

富と名声を夢見て
シャネルを着てシックに、恋はいつもゴージャス
ファッションショーでポーズして自分を見せる
感度400度の露出度で

フィフティ、シックスティ
50年代生まれ
セクシーな60年代
とってもエクサイティング
うっとりするわ
純真だから、アンディの言うことは
何でも信じてしまう
どんなモデルよりも美しいよ、
なんて言葉を

アイドルのように
ニコンのカメラの前でふりむく
ベルベットとニコに頭をもたせかけるけど
ルー・リードみたいにはなりたくないのよ

イーストビレッジでは
人はいつも若い
私をそこに連れってよ、イエロータクシー
伝説が生まれる場所に

富と名声を夢見て
シャネルを着てシックに、恋はいつもゴージャス
ポラロイドに写っているあなたを見てるの
ねえ、知ってる、時がたってもしわはないわよ

★フィフティ、シックスティ
50年代生まれ
セクシーな60年代
とってもエクサイティング
うっとりするわ
純真だから、人の言うことは
何でも信じてしまう
どんなモデルよりも美しいよ、
なんて言葉を★

フラワーパワーはダンスフロワーで死んだわ
エレクトロミュージックもポップももう存在しない
ロッカーの到来で、時代は変わった
ロックが幅をきかせ、ポップは泡のように消えた

フラワーパワーはダンスフロワーで死んだわ
ニューウェーブもテクノももう存在しない
さあ、最後の役目を果たしなさい、もうモデルじゃないのよ
でも、アンディに見守られて
あなたはいまだに踊っているのね

★~★リフレインX2

歌詞はこちらを参照しました⇒Alizée – Fifty-Sixty Lyrics

単語メモ

se dandiner 腰をくねらせる

sapper (建物などを)土台から崩す

ASA アザ  American Standards Association アーサ感度

s’extasier  うっとりする

se vouloir (自分が~であることを)望む

アリゼの曲、こちらでも訳しています。

アンディ・ウォーホル

アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)(1928-1987)のことはたぶんどなたもご存知だと思います。

アメリカの画家で、ポップアートの第1人者。彼は美術だけでなく、映画を作ったり、小説も執筆。またロックバンドのプロデュースもしました。

彼は1964年、35歳のときにニューヨークにThe Factory というアトリエを持ち、ここで作品を作っていました。

この場所は、さまざまなアーティストのたまり場となり、当時のポップカルチャーのにない手のサロンのような存在になります。ファクトリーには誰でも自由に出入りできたのです。

ウォーホルはいろいろな人と出会って話をしたり、共同作業をすることで、芸術のインスピレーションを受けていたのでしょうね。

ですが、常に自分の軸というものを失わないのでそのへんが彼の強みだと思います。

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのルー・リードや、モデルのイーディ・セジウィックもファクトリーの常連。作家のトルーマン・カポーティもよく出入りしていました。

ウォーホルはヴェルヴェット・アンダーグラウンドのデビュー・アルバムをプロデュースしましたが、このとき、女優でモデルのニコ(Nico)をルー・リードに引きあわせて、加入させました。

ニコはドイツ出身で、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドとなんのゆかりもなかったのですが、ウォーホルが無理やり(?)参加させたのです。

歌詞にVelvetとかNicoと出てくるのは彼らのことです。

アルバムのジャケットのデザインもウォーホルの作品です。

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのリーダーであるルー・リードについてはこちらに書いています⇒ソラン博士→デルモア・シュワルツ→ルー・リード



イーディ・セジウィック Edie Sedgwick (1943-1971)

イーディはウォーホルの制作した映画にたくさん出演し、60年代のファッション・アイコンとして人気がありました。22歳になるかならないかの頃、ウォーホルとは共通の知人を通じて知り合いました、

ウォーホルの映画に出ていたときは、ポップカルチャーのミューズで、雑誌にもよく登場していました。人気の頂点は1965年です。

しかしのちに、ボブ・ディラン(やはりファクトリーによく出入りしていた)とつき合い始めたので、ウォーホルとは仲が悪くなります。イーディは、結局ボブ・ディランとも別れて、ニューヨークから去ります。もともとカリフォルニア出身で、実家に戻ったのです。

イーディは深刻なドラッグ中毒になっており、薬を絶とうとしましたが、結局はドラッグのせいで、28歳で亡くなりました。
うたかたのように消えてしまったのです。

こちらはイーディの短いインタビューのクリップ

イーディはかわいい感じ。ニコは金髪のロングヘアで大人っぽいです。5歳しか年が違わないのですが。

2006年にイーディ・セジウィックの生涯を描いた Factory Girl ファクトリーガールという映画が公開されました。

予告編をご紹介します。

イーディをシエナ・ミラー、ウォーホルをガイ・ピアース、ボブ・ディランをヘイデン・クリステンが演じています。

ボブ・ディランがまるで自分のせいでイーディが死んだみたいな描き方に抗議して、公開をしないように申し入れをしたので、ボブ・ディランの名前は使われていません。

この映画、ルー・リードもニコもジョン・ケイルも登場します(役者が演じています)。公開当時、まだ生きていたルー・リードは、金儲けのためだけの最悪な映画と言い放ったそうです。

やっぱり自分が出てくる映画だといろいろ不満もあるでしょうね。どんなにメディア慣れしていたとしても。

イーディは資産家の娘なのですが、父親がものすごく厳格だったのです。幼い頃に陽だまりのような温かい愛を得られなかったのかもしれませんね。こんなにかわいいのに。

予告編の最初にウォーホルが懺悔をしているシーンがありますが、彼は経験なクリスチャンでずっと教会に行ってました。話し方もすごく穏やかな人です。

ルー・リードは酷評してますが、映画としてはおもしろいと思います。やはり当時のファッションはおしゃれですね。

DVDが出ています。

いかがでしたか?

前回の音楽の記事でも書きましたが、

歌と訳詞:Un mec en or ザ・ピルエット

私は、80年代のエレクトロポップが好きなのです。この曲は、80年代っぽい音作りと、60年代のキャッチーなポップソングがうまいぐあいに合わさっていていいのではないかと思います。アリゼの声も好きです。






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