フレンチポップスの訳詞

Ignore-Moi (私を無視して):メラニー・パン~歌と訳詞

フレンチポップス訳詞するシリーズ。今回はMélanie Pain (メラニー・パン)のIgnore Moi (私を無視して)という曲を紹介します。

メラニー・パンは、日本ではそんなに知られてないと思いますが、5、6年前に話題になった、フランスのNouvelle Vague(ヌーヴェルヴァーグ)という音楽ユニットのリードボーカルを担当していた人です。

インディー・ポップの歌手、と言えます。

かわいくてアンニュイな、いかにもフランスのイメージにあった声の持ち主です。



Ignore-moi  私を無視して

それでは訳詞に挑戦!

2人の間には何もなかったふりをして
あなたは自分の道を行って、今後は私のことは忘れて何も起きなかったふりをして
あなたを好きだった可哀想なおバカさんのことは忘れて
今度あなたが私を見かけたら、
私を無視して、無視して

私を知らないふりをして
私は存在しないふりをして
お願いだから、私に希望を持たせないで
私に会ったことなんてないふりをして
私はもういないふりをして
煉獄より、地獄のほうがましだから

今度あなたが私を見かけたら
私を無視して、無視して

私は他人のふりをして

これからは、あなたに言っておくけど、私を無視して
今度私を見かけたら
私を無視して、無視して

私のためにそうして
今度あなたが私を見かけたら

単語メモ

faire comme si  ふりをする、みせかける⇒後述
comme si + 直接法半過去[大過去]  まるで~のように

ignorer  無視する

accorder  同意する;与える

un laisser-passé  通り過ぎることをさせること⇒通り過ぎること
= laissez-passer  通行許可証、フリーパス

de grâce   お願いだから、後生だから  grâce は 神の恩寵、恵み

enfer  地獄

purgatoire  煉獄:恩寵を失わずに死んだ者が天国の幸いを受ける前、浄化と償いを果たす場所。

Je préfère l’enfer au purgatoire  煉獄より地獄のほうがまし。
煉獄というのは地獄というより、天国に属している場所ですが、天国に行くまえに罪滅ぼしとして、つらいことをしなければならない場所のようです。

この歌では、中途半端な救済より、一気に地獄に落としてくれ、という感じでしょうか。

suggère : suggérer  ほのめかす、示唆する、提案する 

文法ワンポイント1:faire comme si ~のふりをする

Elle a fait comme si elle ne m’avait pas remarqué.
彼女は私に気づかないふりをした。

comme si の 前の主節の動詞が現在形だと、comme si の後は、半過去、主節の動詞が過去形だと大過去形が来ます。

Fait comme s’il n’y avait jamais rien eu entre nous deux
avait eu : avoir 大過去
主節の動詞は現在形ですが、si のあとが大過去なので、「何もなかった」と過去のことを話しています。

Fait comme s’il ne s’était rien passé
se passer ことが起こる の 半過去形なので、「何も起きていない」と現在のことを話しています。

文法ワンポイント2:命令するときの人称代名詞の位置

命令法のとき、その動詞の目的語になる人称代名詞は動詞の後におき、トレデュニオンで結びます。

人称代名詞とは、話している人を代名詞で置き換えたものです。つまり、私、あなた、彼 など。

動詞の目的語とは、その動詞が表している動作の対象です。こんな説明ではわからないかもしれませんが、「私はみかんを食べている」だと、「みかんを」にあたる部分が目的語です。動詞は「食べている」。

Téléphonez-moi. 私に電話してください。

Ignore-moi. 私を無視してください。

☆命令法について
「まいにちフランス語」13:初級編L35~動詞prendreと命令法

『チョコレート女』La femme chocolat オリビア・ルイズ~歌と訳詞~命令文の練習に最適

Ignore-moi パリの街角で歌っているアコースティクなバージョン

この曲は、メラニー・パンの2009年のソロデビュー・アルバム My Name に入っています。アイチューンズで買うようになっています。



Nouvelle Vague ヌーヴェル・ヴァーグ

ここで言うヌーヴェル・ヴァーグはフランスの音楽ユニットの名前です。70年台のイギリスのパンク・ロックなどをボサノバにアレンジしてフランス語で歌っていました。

私が初めてメラニー・パンを見たのは、この動画です。「God Save the Queen」をあまりにもさわやかに歌っているので衝撃を受けました。良きにつけ悪しきにつけ原曲の毒が完全に抜けており、「パンクも懐メロになってしまったんだ」と感慨深いものがありました。

バルコニーTVというのは、いろいろな建物のバルコニーの上でライブをする番組で、ネットでこうした番組を配信する先駆けでした。今もやっているのかどうか知りませんが。いろいろな国のバルコニーでおもに新進アーティストがライブをしていました。

カナダの私の住んでいる街のバルコニーからも一度ライブ放映がありました。知っているビルだったので、1人で盛り上がりました。アーティストは今いちでしたが。

「バルコニー(あるいはビルの屋上)で演奏する」というところだけが共通していて、音楽性や、雰囲気はバラバラ。国によっていろいろなライブがあるのがおもしろく以前はよく見ていました。

それでは次回の音楽の記事をお楽しみに。






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