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『プロヴァンス物語 マルセルの夏』~予告編のフランス語(1)

フランスの劇作家、マルセル・パニョル(1895-1974)の幼年時代を描いた『プロヴァンス物語 マルセルの夏』の予告編をご紹介します。



『プロヴァンス物語 マルセルの夏』

1990年のイヴ・ロベール監督の映画です。19世紀の終わり、9歳のマルセル少年が、南フランスの田舎の別荘で過ごした楽しい日々が描かれています。

原作は、パニョルの子供時代の回想をもとにした小説、La gloire de mon père:Souvenirs d’enfance 翻訳のタイトルは「父の大手柄」

予告編のスクリプトと和訳

きょうは最初の30秒ぐらいまで

Cette année là mon père fit un bon comète. Il fut nommé instituteur titulaire à l’école du Chemin des Chartreux, la plus grande école communale de Marseille.

Papa, Où tu vas ?
A l’école.

J’ai donc loué une villa dans la colline et nous y passerons les grandes vacances.
Elle est où cette villa ?
Juste au bord d’un désert de garrigue, qui va d’Aubagne jusqu’à Aix.

Nous sortîmes du village et commença la féerie. Je senti naitre un amour qui devait durer toute ma vie. Lili savait tout. Le temps qu’il ferait, les sources cahées.

Une source ça se dit pas.
Même à moi ?

この年、父は、昇進した。シュマン・デ・シャルトルー小学校の正教員に任命されたのだ。マルセイユで1番大きな学校だ。

パパ、どこに行くの?
学校だよ。

だから、私は丘に別荘を借りたよ。そこでみんなでバカンスを過ごすんだ。
それで、その別荘はどこにあるの?
オーバーニュからエクスにある荒れ地のそばだ。

街を出たら、妖精の国だった。僕は生涯続く愛情を感じた。リリは何でも知っていた。天気がどうなるかとか、隠れた泉のことだ。

泉のことは言わないよ。
僕にも?

この続きはこちら⇒『プロヴァンス物語 マルセルの夏』~予告編のフランス語(2)

単語メモ

comète  彗星
faire un bon comète よい彗星を作る⇒成功する

titulaire  正式の

garrigue (地中海沿岸の)石灰質の荒れ地

bord  (海、川、道路などの)周辺、沿岸、沿道

féerie  妖精の国、仙境;夢のように美しい貢献

source   泉

文法ワンポイント:単純過去

この映画は、マルセル・パニョルの回想をもとに作られているので、ナレーションの部分には単純過去という時制が使われています。

単純過去は、過去の出来事を現在とは切り離して、客観的に話す時制です。物語を語る時制です。

fit  < faire 3人称単数

fut < être 3人称単数

sortîmes < sortir  1人称複数

単純過去は慣れてないと、知らない動詞だと思ってしまいますね。よく出てくる動詞は決まっているし、活用語尾も一定なので、物語を一冊読めば慣れると思います。



マルセル・パニョル(1895-1974) Marcel Paul Pagnol

南仏のマルセイユのそばのオーバーニュ生まれの小説家、劇作家、映画監督。20世紀のフランスを代表する作家の1人です。彼は翻訳家でもあり、シェークスピアの作品や、ラテン語の作品をフランス語に訳しています。またリセで英語を教えていたこともあります。

パニョルのすごいところは、回想録、小説、劇、映画と、ジャンルの違う作品をたくさん残したところ。ただ、今のフランス人にとっては「ちょっと古い作家」という感じがするかもしれません。

1946年に小説家としては初めての、アカデミー・フランセーズの会員になっています。

関連⇒アカデミー・フランセーズとは?その1

映画を見ると、とても幸せな子供時代だったようです。お父さんは小学校の先生、お母さんはお針子で、彼は長男で、下に弟や妹がいます。美しくてやさしいお母さんはからだが弱く、彼が15歳のときに亡くなっています。

代表作は

トパーズ Topaze 1928年パリで大ヒット
マリウス Marius
ファニー Fanny
セザール César

すべて映画化されています。内容は庶民的な喜劇

映画
泉のマノン、これはのちに愛と宿命の泉としてリメイクされます。

マリウス、ファニー、セザールはマルセイユの港町情緒を描写したコメディ。

ファニーはレスリー・キャロン主演でアメリカ映画になっています。監督はジョシュア・ローガン。マルセイユを舞台にしたファニー(漁師の娘)のラブストーリー。

アメリカ映画なので、マルセイユで、全員英語をしゃべっていて変といえば変ですが、マルセイユの景観が美しい映画で、マルセイユの人々の生活がよくわかります。

パニョル自身が作った映画は、あまり日本で公開されなかったので、私も見たことがありません。作家としても日本ではそこまで知られていないかもしれませんが、フランスの国民的作家と呼んでさしつかえないと思います。

この記事ではマルセル・パニョルが若いときに書いた詩を紹介しています⇒イースター・エッグ:マルセル・パニョルの詩

『プロヴァンス物語 マルセルの夏』はとくに何か筋があるというわけではなく、マルセル少年が過ごしたいろいろあった夏の日々をつづっています。こんなふうに楽しかった思い出をずっと持ち続けられることは幸せなことですね。






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