ロマネスク建築

ファッション

孤児、ガブリエル・シャネルはいかにしてココ・シャネルになったのか?(1)

2013年にフランスのシャネル社が作った、デザイナー、ココ・シャネルに関するアニメーション動画を紹介します。

久しぶりに見たら、各国の字幕を表示させることができるようになっていました。日本語もあります(字幕ゆえ、細かいところはかなり略されています)。

ところが、肝心のフランス語を選んでも、なぜかフランス語が表示されません(私だけでしょうか?)。そこで、フランス語とその和訳を紹介することにしました。まず動画をごらんください。



ガブリエル・シャネルがココ・シャネルになるまで

たくさん話していますので、きょうは最初の1分だけ訳します。

Il était une fois une petite fille qui toute sa vie masqua ses origines paysannes et préféra inventer sa légende.

昔々、田舎の出身であることを隠し、自らの伝説を作り上げることを望んだ少女がいました。

Il était une fois Gabrielle Chanel née sous le signe du lion d’un père marchand ambulant et bonimenteur et d’une mère lingère et repasseuse qui meurt à 32 ans, épuisée par la vie.

昔々、ガブリエル・シャネルはしし座のもとに生まれました。父は行商人のはったり屋。メイドだった母は、生活に疲れはて、32歳で亡くなります。

Il était une fois un père qui abandonne ses 5 enfants et dépose en carriole ses 3 filles à l’orphelinat. Gabrielle a 12 ans, elle ne le reverra jamais. Elle préféra toujours croire et faire croire qu’il était parti faire carrière en Amérique.

昔々、父親は5人の子どもを捨て、娘3人は二輪馬車にのせて孤児院に送り込みました。ガブリエルは12歳、2度と父親に会うことはありませんでした。彼女はいつも、父親はアメリカで仕事を見つけたと信じ、人にもそう信じさせることを好みました。

Il était une fois un orphelinat derrière les murs d’un couvent, l’Abbaye d’Aubazine où Gabrielle passe presque 7 années.

C’est dans la pureté romane de cet univers monacal que la jeune Gabrielle va puiser son sens du dépouillement et son goût pour le noir et blanc, et c’est dans la luxuriance des vêtements religieux et des objets liturgiques qu’elle va éprouver sa fascination pour le baroque, l’or et les pierres de couleur.

昔々、修道院の壁の裏に孤児院がありました。オーバジーン大修道院です。ここでガブリエルは7年ほど過ごしました。

この修道士の世界のロマネスクな清浄さから、若きガブリエルは簡素な感覚を引き出し、白と黒を好むようになりました。

一方で、宗教的な服装と典礼に使う道具の華美な装飾にふれ、彼女はバロック様式や、金やカラフルな宝石に魅了されていくことになるのです。

トランスクリプションを参照したサイトは閉鎖されたようなので、リンクをはずしました。レベル的にはB2+とのこと。

単語が難しいです^^;

単語メモ

paysan, paysanne  農民、百姓

marchand ambulant  行商人

bonimenteur  (見世物などの)口上を言う人、口上言い、でたらめを言う人、はったり屋。

lingère  (ホテル・病院・寄宿舎・大邸宅などの)布類整理係

repasseuse  アイロンをかける女

épuisé  疲れきった

carriole   田舎の二輪場所、ボロ車

orphelinat  孤児院 

faire carrière  立身出世する

couvent  修道院

abbaye  大修道院

monacal  修道士のような
vie monacale 修道生活

puiser  (水など)をくむ、くみ取る、取り出す、引き出す

dépouillement  飾り気のなさ、簡素さ、装飾の欠如

luxuriance  過剰、豊富、華麗、華美

liturgique  典礼の、礼拝の

éprouver  ~を抱く、覚える

文法メモ:単純過去

この語りは物語なので、過去の話をするとき、たまに単純過去形(passé simple)が使われています。単純過去は日常の会話では使いませんが、ものを読んでいると、わりと出てくるので、単純過去だと認識できるようにしておくとよいです。

トランスクリプションでは太字にしておきました。

一応、活用を書いておきます。

ER動詞 例:parler 
je parlai
tu parlas
il/elle/on parla
nous parlâmes
vous parlâtes
ils/elles parlèrent

IR動詞 例:finir
je finis
tu finis
il/elle/on finit
nous finîmes
vous finîtes
ils/elles finirent

RE動詞 例:vendre
je vendis
tu vendis
il/elle/on vendit
nous vendîmes
vous vendîtes
ils/elles vendirent

avoir
j’eus
tu eus
il/elle/on eut
nous eûmes
vous eûtes
ils/elles eurent

être
je fus
tu fus
il/elle/on fut
nous fûmes
vous fûtes
ils/elles furent

今回のお話:シャネルの生い立ち

シャネルは1883年8月19日生まれ。

5人の子どものうち上から2番めです。お父さんは動画にもあったように行商人、お母さんは病院でシーツを替えたり、アイロンをかける仕事をしていました。

お母さんが亡くなったときシャネルは12歳だったとあるので、お母さんが20歳ぐらいのときの子どもですね。

シャネルが生まれたときは、両親はまだ正式には結婚していなかったそうです。Chanelという名前はお父さんの名字です。

シャネルの本名は、Gabrielle Bonheur Chanel ですが、Gabrielle Bonheurは、シャネルが生まれた病院の修道女の名前で、この人が名付け親です。

シャネルが生まれたとき、役所では、Chansel と登録されたそうです。お母さんは体調が悪かったし、お父さんは仕事でどこかに行っており、両親がいないまま、間違った名字で登録されてしまった、という逸話があります。

シャネルと4人の子どもたちは、とても貧乏で、最初は街から街へ渡り歩く暮し、そのうち、定住しますが、ボロボロの一部屋で暮らしていました。

母親が肺炎で亡くなったあと、父親は男の子2人は、どこかの農家に置き去りにし、女の子3人は孤児院に送り込みました。

この孤児院はとても質素できびしいといころでしたが、シャネルにとってはここで18歳になるまで暮したことはよかったと言えます。なぜなら、縫い物を習うことができたからです。

彼女はのちに、装飾を取り去ったスタイルを提案しますが、孤児院での生活の影響はあったでしょうね。



シャネルに関するほかの記事

シャネルについてはこちらでも紹介しています。

映画『ココ・アヴァン・シャネル』の予告編でフランス語を学ぶ

名言その1~ココ・シャネル~上品な服装が引き立たせるものとは?

映画の記事は3つ、名言の記事は6つあります。

この記事の続きはこちら⇒孤児院を出たガブリエル・シャネルは、シンプルな帽子を作った(2)

シャネルの生い立ちは全く恵まれていなかったのですが、その生い立ちがあったからこそ、のちのシャネルがあったのかもしれません。






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