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フランス語の扉を開こう~ペンギンと

人魚

子ども向けのお話のサイトで「セイレーンの伝説」がもとになっている短い話を読んでみました。

今、フランス語脳プロジェクトの仏検対策講座を受けていますが、このところ届いている先生のメールの一つに「セイレーンの伝説」が出てきたからです。

合格するためには、受験勉強が必要ですが、みなさん、社会人ですから、いろいろ事情があり勉強できないこともあります。

毎日すべき単語覚えをさぼってしまう誘惑もあります。この誘惑をセイレーンの声にたとえ、その歌声にどうやって対抗するか、という主旨でした。

セイレーン(Seirēn)はサイレンとも呼ばれますが、ギリシア神話に出てくる上半身が人間で下半身が鳥の怪物です。

サイレンの彫像

南イタリアのトレントあたりの島に住んでいて、その世にも美しい歌声で、そばを通る船乗りたちを岩のそばに引き寄せ、難破させ、殺してしまうという恐ろしい生き物です。

いろんな伝承が語られていますが、ホメロスの『オデュッセイア』では、オデュッセイアは船員の耳をろうでふさいで、歌を聞こえないようにし、自分は体をマストにしばりつけることにより、セイレーンの誘惑に負けませんでした。

そのため、セイレーンは自殺して、岩になります。しかし、死んでからもなお、そのあたりには美しい歌声が響いており、通りかかった船は沈没してしまいます。

この美しい歌声を持つセイレーンが人を破滅に導く美しいが悪魔のように怖い女性として描かれている話や映画もたくさんありますね。「セイレーン=甘美で危険な誘惑」という図式です。

人魚の絵

John William Waterhouseの「人魚」

たとえば、トリュフォーの『暗くなるまでこの恋を』の原題は«La Sirène du Mississipi»で「ミシシッピから来たシレーヌ」です。このシレーヌはカトリーヌ・ドヌーブが演じていました。

フランス語ではセイレーンはシレーヌ(Sirène)です。英語ではsiren。パトカーのサイレンと同じ単語で、もとは「呪文でしばる人」という意味だそうです。怖いですね。

先生のメールにはこの誘惑の声に対抗する方法が示唆されていたのですが、それと似たようなことが、子どもむけのお話のプロットにもなっていたので、和訳をご紹介しますね。

お話はこちらにあります⇒Lire l'histoire : Une sirène à l'opéra – Albums-histoires – Il était une histoire
とても短い話です。朗読音声も聞けます。

Une sirène à l’opéra
オペラ座のシレーヌ

小さなシレーヌは、荒れた海のまんなかで一人ぼっちで悲しく暮らしていました。

彼女の歌声はとても素晴らしかったので、船乗りはみんな逆らうことができず、彼女に会うために海に身を投げました。でも、たどり着くまえにおぼれてしまいました。

ある晴れた日、シリューズという名のとても知恵のある船長が危険を避けつつ、このあたりを通る方法を見つけました。

彼は、乗組員たちをシレーヌのそばまで導きましたが、シレーヌが歌い始める前に、自分と乗組員たちの耳の中に、ウォークマンを入れました。

このようにして、彼らは、波の中に身を投げたいと思うことなく、シレーヌのもとに静かに行き、彼女をボートに引き上げました。

以来オペラ座では、毎晩シレーヌの歌を聞くことができます。

※単語メモ
agité 落ち着かない、波乱に満ちた
parvenir たどり着く
astucieux 巧妙な、才覚のある
équipage 乗組員
matelot 水夫
flot 波

耳にウォークマンを突っ込むというところがおもしろいですね。プチ・ロワイヤル仏和辞典に、walkmanってちゃんとのっているんです。「(商標)ヘッドフォーンで聞く携帯用ストレオカセット」とあります。

今ならiPodだと思いますが、こちらはもうフランス語の辞書にエントリーされているでしょうか?

dotline470

ところで、この話、先生のメールの話に通じるところがあります。というのも先生は「歌には歌で対抗せよ」と書かれていたからです。

ただし、iPodから聞こえる歌ではなく、自分で歌う歌です。自分でどうやって歌うかについては、別に細かいアドバイスがありましたが、ヒントを書くと、自ら行動を起こすことに関係しています。

この話は仏検対策講座だけでなく、フランス語脳プロジェクト全体で、よく言われていることです。

私たちは、知らず知らずのうちに、ふだんかなり自動的に、また刹那的に生きています。そんな生活の中で、あえて自分で歌おうとするのは、難しいことですが、楽しい挑戦でもありますね。



    • アン
    • 2013年 5月 31日

    シレーヌは人魚と訳されてることが多いですが、セイレーンは鳥ですよね?
    (人鳥?)
    どこかで混同してるのか、気にしてないのか?
    ローレライは、親戚か何かなのでしょうか?(笑)
    スタバのマークの女性はセイレーンだとか?一休みの誘惑?

      • フランス語愛好家
      • 2013年 5月 31日

      アンさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
      sirèneは今辞書をみたら、
      1.サイレン、警笛
      2.セイレン、シレーヌ:上半身が女性、下半しが鳥あるいは魚の尾の、
      人を魅する歌い手である海の怪物
      3.妖婦、魔性の女
      4.危険な誘惑、呪縛
      5.動物のサイレン(サンショウウオに似たサイレン科の両生類)
      とありました。

      昔は半分鳥だったけど、中世のころから、半分魚になっらしいです。人魚伝説になって
      その派生がローレライ伝説みたいです。

      そういえばスタバのマーク、人魚ついてますね。何でですかね?また調べておきます。

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