今日、ご紹介するフランス語のことわざはこちらです。
Le mieux est l’ennemi du bien. 最善は善の敵
角を矯(た)めて牛を殺す
まずこの牛のことわざの説明をしますね。
「矯める」とは曲がっているものを伸ばしたり、あるいは逆にまっすぐなものを曲げて、形を整えること。
また「悪い性質、習慣を改める」つまり「矯正する」という意味もあります。
「曲がっている牛の角の形を変えようとしたら、牛が死んでしまった」ということですね。
ベストな状態を求めて、ある場所をさわったら、全部がおじゃんになってしまったのです。
そこで、フランス語のことわざにあるように、「最善(一番よい状態)」が「善(よい状態)」の敵になります。
現状に満足できず、もっと上を求め過ぎたり、小さなことにこだわって、もとの状態より悪くなることはよくあります。
たとえば、株の売買や子どもの教育。
よりもうけようとして、投資をしたら、株の値段が急落。
子どもがそこそこいい成績をとっているのに、できないところにしか目が行かない親が、ガミガミ叱ってばかりいたら、子どもがぐれて、成績急降下。
「今持っているもので、満足しておきなさい」という教訓なので、「足るを知る」とも言えます。
よくわかる!フランス語の文法解説
★単語の意味
le mieux 一番よいこと[状態]
est < être ~である
ennemi 敵 l’ennemi は le+ennemiのエリジオン
du de+le の縮約 ~の
bien よいこと[状態]
★直訳
「一番よいことは、よいことの敵である」
★補足
le mieux は bien(よく) の最上級が名詞になったものです。
最上級の説明はこちら⇒「まいにちフランス語」20:L42~最上級
出典はヴォルテールの作品
このことわざの出典はフランスの作家で、啓蒙思想家であるヴォルテール(Voltaire)(1694-1778)が書いた« La Bégueule » (1772)という物語です。
こちらで読めます⇒La Bégueule – Wikisource
bégueule は「淑女ぶった女」「気取ったすまし屋」
また、彼は同じことを別のところで、イタリア語で書いています。
イタリア語では “Il meglio è l’inimico del bene”
ヴォルテールは生涯に2万通以上の手紙に、二千冊以上の本や小冊子を書いたそうです。
ペンで・・・。
☆もっとことわざを読みたい人はこちらへどうぞ⇒フランス語のことわざ~目次 その1
小さなことにこだわって、全体をだめにするのは、ブログのカスタマイズでもありがちなことです。
あるところを直そうと、ちょっとテンプレートに手を入れたら、別のところがおかしくなり、そっちを直そうとしたら、今度はまた別のところが変になって・・・。
何時間もHTMLやPHPと格闘しているうちに、頭がもうろうとしてきて、うっかりデータを全部消してしまった・・・。
完璧主義は時として、すべてのものをだめにしてしまいます。
ほどほどのところで手を打つことが必要ですね。
もちろん、よりよいものを作っていこう、より前に進もうとすることは大事です。
しかし、本質からずれたことにかまいすぎるのはよくありません。
完璧主義に足をすくわれないために、今、やっていることの目的、ゴールを時々再確認するのがいいですね。
この記事へのコメントはありません。