1968年に公開された映画、『華麗なる賭け』(The Thomas Crown Affair)の主題歌、『風のささやき(Les moulins de mon cœur)』を紹介します。
アカデミー主題歌賞を受賞した歌です。
The Thomas Crown Affair はアメリカ映画なので、主題歌も英語ですが、作曲した人が、ミシェル・ルグランであり、自ら、フランス語版を歌っています。
英語版のタイトルは、「The Windmills of Your Mind きみの心の風車」ですが、フランス語版は、「わたしの心の風車」となっております。
わが心の風車
『華麗なる賭け』なんて知らない、という人も、歌を聞けば、「ああ、聞いたことがある」と思うのではないでしょうか?
ゆっくり、アーティキュレに歌っているので、発音の確認/母音の聞き取りや、練習に向いていると思います。
それでは、訳詞に挑戦!
Les moulins de mon cœur
Comme une pierre que l’on jette
Dans l’eau vive d’un ruisseau
Et qui laisse derrière elle
Des milliers de ronds dans l’eau
Comme un manège de lune
Avec ses chevaux d’étoiles
Comme un anneau de Saturne
Un ballon de carnaval
Comme le chemin de ronde
Que font sans cesse les heures
Le voyage autour du monde
D’un tournesol dans sa fleur
Tu fais tourner de ton nom
Tous les moulins de mon cœur
Comme un écheveau de laine
Entre les mains d’un enfant
Ou les mots d’une rengaine
Pris dans les harpes du vent
Comme un tourbillon de neige
Comme un vol de goélands
Sur des forêts de Norvège
Sur des moutons d’océan
Comme le chemin de ronde
Que font sans cesse les heures
Le voyage autour du monde
D’un tournesol dans sa fleur
Tu fais tourner de ton nom
Tous les moulins de mon cœur
Ce jour-là près de la source
Dieu sait ce que tu m’as dit
Mais l’été finit sa course
L’oiseau tomba de son nid
Et voila que sur le sable
Nos pas s’effacent déjà
Et je suis seul à la table
Qui résonne sous mes doigts
Comme un tambourin qui pleure
Sous les gouttes de la pluie
Comme les chansons qui meurent
Aussitôt qu’on les oublie
Et les feuilles de l’automne
Rencontrent des ciels moins bleus
Et ton absence leur donne
La couleur de tes cheveux
Une pierre que l’on jette
Dans l’eau vive d’un ruisseau
Et qui laisse derrière elle
Des milliers de ronds dans l’eau
Au vent des quatre saisons
Tu fais tourner de ton nom
Tous les moulins de mon cœur
歌詞は、 Eddy Marnay
わが心の風車(風のささやき):訳詞
☆あくまで、フランス語の学習のために訳しているのと、私に詩的センスがないため、こなれた詩的な訳詞ではなく、わりと直訳です。
原文は、関係代名詞を使って、後ろから形容している箇所が多いです。わかりやすいように、後ろから訳しているところも多々あります。
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人が、流れる小川に投げた小石のように
その石は水に何千と渦を残すけど
星の馬のいる月のメリーゴーラウンドのように
土星の輪か、カーニバルの風船のように
いつまでも時を刻む円を描く道のように
ひまわりの花の中の世界をめぐる旅のように
きみの名前が、僕の心のすべての風車を回す
子どもの小さな手の中にある毛糸の束のように
それとも、風のハープが奏でる昔のはやり歌のレフレインのように
吹雪のように
カモメの飛翔のように
ノルウェーの森を越えて
海の白い波を越えて
いつまでも時を刻む円を描く道のように
ひまわりの花の中の世界をめぐる旅のように
きみの名前が、僕の心のすべての風車を回す
その日、泉のそばで
君が僕に言ったことを神は知っている(⇒きみは神に誓って僕に言った)
でも、夏は終わり
鳥は巣から落ちた
そして、ほら、砂の上の
僕たちの足跡はもう消えた
そして僕はテーブルに1人
指を鳴らしながら
雨のしずくの下で
泣くタンバリンのように
人が忘れるやいなや死んでしまう歌のように
そして秋の落ち葉は
うす青い空で出会い
君がいないことが
君の髪の色を空にのせる
人が、流れる小川に投げた小石のように
その石は水に何千と渦を残すけど
四季の風のなかで
きみの名前が、僕の心のすべての風車を回す
単語メモと補足説明
un écheveau 糸のかせ
la rengaine 決り文句、口癖;はやり歌(のリフレーン)
un goéland カモメ
moutons 白い波頭、綿雲 ☆複数で
la source 泉
aussitôt que + ind. ~するとすぐに
Et ton absence leur donne
La couleur de tes cheveux
leur はその前のles feuillesを受けています。
君がいなくてさびしいから、夏より一段回、色の抜けた青空をバックに見えている秋の葉っぱの色(黄色)が、君の髪の色を思わせる、ということだと解釈しました。
夏、愛し合った恋人が、秋になって去ってしまったが、その恋人のことが忘れられないという歌です。
この人は、夏が終わってもうあまりお客のいない、リゾート地のカフェのテラス席で、小雨の中、1人ぽつねんと座っています。
彼の心の中では、元恋人の名前や面影が、風車みたいに、ぐるぐるぐるぐる回っているのです。
オリジナル:The Windmills of Your Mind
映画では俳優のノエル・ハリソンが歌っています。
映画の場面が見られる動画。
ダスティ・スプリングフィールドが歌って、ヒットしました。
ダスティは歌手だから、ノエル・ハリソンより歌がうまいですね。
カバーバージョン(フランス語)
この曲、ものすごくたくさんカバーバージョンがあり、クロード・フランソワやヴィッキーも歌っていますが、2つだけ紹介します。
フリーダ・ボッカラ
フリーダ・ボッカラの説明⇒フリーダ・ボッカラ、Cent mille chansons (サン・ミル・シャンソン)の訳詞。
クララ・ルチアー二(ライブ)
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Les moulins de mon cœur を紹介しました。
秋の歌なので、秋冬に聞いたほうがいいかもしれませんね。季節はずれですみません。
ミシェル・ルグラン自身も、いろいろなアレンジで歌っていますので、興味のある方はYouTubeでチェックしてください。
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