毎年冬になると、貧しい人々に無償で温かい食事を提供する、「心のレストラン(Les Restos du Cœur レストドゥクール)が30周年を迎えたニュースを子ども新聞から紹介します。
「心のレストラン」はフランスの俳優、コリューシュが始めた事業です。
Les Restos du Cœur ont 30 ans 『心のレストラン』30週年
Il y a 30 ans, le 26 septembre 1985, le comique Coluche créait les Restos du Cœur. Aujourd’hui encore, chaque hiver, ils aident les Français les plus pauvres.
Aider les plus pauvres en France L’idée est née au micro d’Europe 1, le 26 septembre 1985.
30年前の1985年9月26日、喜劇俳優のコリューシュが「レスト・ドゥ・クール(心のレストラン)」を創設しました。今日も、毎年冬になると、この団体は最貧困層であえぐフランス人を援助しています。
貧しいフランス人を助けるという考えは1985年9月26日に、ヨーロッパ1のラジオで生まれました。
À l’époque, Coluche (de son vrai nom Michel Colucci), un acteur comique très célèbre en France, y tient chaque jour une émission de radio.
L’hiver 1984 a été très rude. Plusieurs sans-abris sont morts dans la rue.
当時、コリューシュ(本名、ミシェル・コルッッチ)はフランスでたいへん有名な喜劇俳優で、その局で毎日放送する番組を持っていました。
1984年の冬はたいへんきびしいものでした。多くのホームレスが道で亡くなっていました。
Les artistes se sont mobilisés pour aider les victimes de la famine en Éthiopie (Afrique), mais pourquoi ne font-ils rien pour les plus pauvres en France, demandent les auditeurs de Coluche.
Celui-ci a alors l’idée de créer une sorte de cantine gratuite, avec l’aide de supermarchés et de bénévoles.
Très vite, son idée est saluée, même par le président de la République de l’époque, François Mitterrand.
「アーティストたちは、エチオピアの飢饉のために奔走するが、なぜフランスの最貧困層のために何もしないのか」。コリューシュは視聴者にこう聞きました。
そのとき、スーパーマーケットやボランティアの助けを得て、無料の食堂を作る考えが生まれたのです。
すぐにこのアイデアは歓迎されました。当時のフランス大統領、フランソワ・ミッテラン氏までが賛同したのです。
Chaque hiver L’aventure des Restos du Cœur est lancée.
Au cours du premier hiver, 5000 bénévoles distribuent 8,5 millions de colis alimentaires.
Depuis les Restos du Cœur distribuent chaque hiver de plus en plus de repas. Malheureusement sans Coluche, mort le19 juin 1986.
その年、「心のレストラン」の活動が始まりました。最初の年は、5000人のボランティアが、8500万食を配給しました。
それ以来、「心のレストラン」が配給する食事は冬ごとに増えています。残念なことに、コリューシュは1986年の6月19日に亡くなりました。
※元記事は削除されたようなのでリンクをはずしました。
単語メモ
Restos du Cœur 心のレストラン resto は restaurant のこと Restos du Cœur の正式な名前は Restaurants du Cœur です。
au micro ラジオで micro は microphone の略です。
colis 荷物
コリューシュ(Coluche)(1944-1986)と「心のレストラン」
コリューシュは、テレビや映画でとても人気のある俳優でした。大統領選の出馬も考えたことがあります。実際支持率は高かったのですが、圧力をうけたため、出馬は断念しました。
もともと人々のために何かしたい、という考えの持ち主だったのでしょうね。
1985年に「心のレストラン」を創設して、またたく間に支持を得たのも、彼の社会的な人気によるところが大きいと思います。
残念ながら、彼は1986年にバイク事故で急逝。この事故も暗殺説が出たぐらいです。
1988年にフランスで貧困層を援助する法律が可決されましたが、これは「コリューシュ法」と呼ばれます。
「心のレストラン」は毎年一晩だけ有名アーチストが集まってチャリティ・コンサートを行います。アーティストたちはLes Enfoirés(とんでもない連中)というバンドを組んで、コンサートに出演します。
Les Enfoirésはジャン=ジャック・ゴールドマンというシンガーが、コリューシュの意志をついで1989年に呼びかけて結成しました。
年によって顔ぶれは違いますが、このコンサートは年中行事になっています。「心のレストラン」の慈善事業の規模もどんどん大きくなっています。
コンサートと同時に発売されるCDの売上は、この団体の貴重な財源です。
Les Enfoirés(ひどい連中)のToute la vie
Les Enfoirésは毎年アルバムを出しています。今年のシングルカットはToute la vieという曲。なかなかいい曲です。
先日紹介した映画、『100歳の少年と12通の手紙』(前編)~予告編のフランス語に出ていたミシェル・ラロックの顔も見えますね。
Les Enfoirésは2011年にアンドーシンの«J’Ai Demandé A La Lune»(僕は月にたずねた)の替え歌、«On demande pas la lune» (私たちは月にはたずねない)という替え歌を発売しています。
こちらの記事で紹介しています⇒アンドーシンの J’Ai Demande A La Lune (僕は月に尋ねた)の訳詞 |
フランスは貧困層が多くて、ずっと社会問題になっています。しかし「心のレストラン」のような慈善活動は盛んですね。
前回の「不思議の国のFrance」のエピソードでも、パリにはホームレスが多いという話が出ました。解説によると、一般人が、ホームレスに食べものをあげたり、親切にしているそうです。
経済成長しても、貧富の差がひろがるばかり。お金を持っている人の広い心に頼るしかないのかもしれません。
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