スイス出身の著名な彫刻家で画家、アルベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti, 1901-1966)の、『鼻』という作品の謎に関する2分のニュースクリップを紹介します。
彼は若い頃、パリに出て、以来ずっとパリで創作をし、20世紀、もっとも成功した彫刻家の1人と言われています。
タイトルは、Culture : Le Nez, une œuvre énigmatique de Giacometti 文化:鼻、ジャコメッティの謎めいた作品。
Le Nez
1分58秒。
トランスクリプション
C’est l’œuvre la plus énigmatique d’Alberto Giacometti.
Une petite tête bizarre suspendue dans une cage, et il n’y a que son nez qui dépasse.
On pense tout de suite à Pinocchio, ce moment précis où son nez s’allonge.
Il y a 80 ans, Giacometti n’a pas laissé d’explication.
Alors pourquoi aujourd’hui quelques indices nous permettent enfin d’éclaircir le mystère de cette œuvre ?
C’est le choix du 20 heures.
Cette sculpture suspendue s’appelle le Nez et elle fait travailler à fond notre imaginaire.
Tantôt Pinocchio, tantôt masque de carnaval, pour certains elle ressemble même à un pistolet.
En vrai, ce nez, c’est une énigme, avec différentes versions en bronze ou en plâtre.
Et si Giacometti a mis 17 ans à le bricoler, ce nez, dans le secret de son atelier, il n’y a ni photo ni vidéo du moment de sa création.
Tout ce qu’on sait, c’est que pour l’artiste c’est une obsession jusqu’à la fin de sa vie.
Qu’y a-t-il derrière ce mystérieux nez ?
Aujourd’hui, presque 80 ans plus tard, certains chercheurs font des hypothèses sur cet artiste hanté par la mort.
Au sortir de la Seconde Guerre mondiale, il a non seulement en tête les morts qu’il a connues, mais les morts que tout le monde a connues.
Et le Nez en particulier porte cette mémoire des morts récentes.
Les fantômes de la guerre, en fait toutes les sculptures de Giacometti ont l’air de silhouettes décharnées et filiformes.
Et ce nez, avec sa bouche ouverte, c’est tout simplement le visage de la mort.
Heureusement les enfants, eux, ne perçoivent rien de tout ça et face à cette œuvre du passé, ils ne voient qu’une petite tête rigolote à dessiner et à colorier.
☆トランスクリプションの引用元⇒7 jours sur la planète – Enseigner le français langue étrangère (FLE) avec l'actualité – Fiches pédagogiques gratuites
ジャコメッティの『鼻』・和訳
これはアルベルト・ジャコメッティの最も謎めいた作品です。
小さい奇妙な頭がケージの中に吊るされていて、鼻だけが突き出ています。
人はすぐピノキオの鼻が伸びる瞬間を連想します。
80年前、ジャコメッティは何の説明も残しませんでした。
なぜ今になって、いくつかの手がかりのおかげで、この作品の謎を解明できるのでしょうか?
それが、今回の « le choix du 20 heures »です。
この吊るされた彫刻は『鼻』という名で、私たちの想像力をフルに働かせます。
時にはピノキオ、時にはカーニバルの仮面、ある人にとっては銃にさえ似ています。
実際、この鼻は謎であり、ブロンズや石膏の異なるバージョンがあります。
ジャコメッティは、自分のアトリエでひそかにこの鼻を作るのに17年もかけましたが、制作の瞬間を捉えた写真やビデオはありません。
わかっているのは、この作品がアーティストにとって生涯続いた執着の対象だったということだけです。
この神秘的な鼻の背後には何があるのでしょうか?
今日、およそ80年経って、一部の研究者たちは、この死に取り憑かれたアーティストについて仮説を立てています。
– 第二次世界大戦が終わった時、彼は自分が知っている死者たちだけでなく、誰もが知っている死者たちのことを考えていました。
そして特にこの『鼻』は最近の死者たちの記憶を宿しています。
戦争の亡霊です。実際ジャコメッティのすべての彫刻は、やせこけて、か細いシルエットに見えます。
そしてこの鼻は、開いた口とともに、まさに死の顔なのです。
幸いなことに、子供たちはそんなことは全く気づかず、この過去の作品を見て、ただの面白い頭を描いたり、色を塗ったりしています。
単語メモ
plâtre 石膏
décharné やせ細った
filiforme 糸のようにか細い
rigolo, rigolote おかしな、滑稽な
アルベルト・ジャコメッティ・関連動画
Alberto Giacometti : “Si je fais de la sculpture, c’est pour en finir” (彫刻を作るのはそれを終わらせるため)
この動画では、ジャコメッティ自身が作品に対する思いを語っており、彫刻を通じて自身の感情や哲学を表現している様子が伺えます。
彼は自分が見ているものが何であるのか理解するために、作品を作ると言っています。
いつも、生の危うさを感じていたそうなので、彼が作る細長い人間像は、人の本質的な危うさやはかなさを表しているのでしょう。
もっと彼について知りたい方は本を読んでみてください。
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彼の作品の細いフォルムは人の孤独や生のもろさを表しているようです。戦争によって、知っている人をたくさん失くす体験をすると、そんな気分になるでしょうね。
『鼻』という作品を作るのに17年かかっているそうですが、何度も試行錯誤して作り直していたから、そんなに時間がかかったのでしょうか?
ジャコメッティの作品には特徴があるので、「あ、これはジャコメッティ」とすぐにわかるし、細長い彫像は、ある意味、誰でも作ることができそうです。
でも、細い作品を作ってしまったら、マネをしていると思われてしまいますね。
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