夜のパリ

フランス語を読む練習

社会は病んでいる~他人に対する無関心(前編)。

パリの真ん中で、倒れていたのに、9時間、誰にも助けてもらえず死亡したカメラマンの事件を通して、この社会は病んでいると訴えている5分の動画を紹介します。

タイトルは、NOTRE SOCIÉTÉ EST MALADE(私たちの社会は病んでいる)



Notre société est malade

5分22秒。フランス語の字幕あり。2022年の1月下旬にアップされた動画です。

5分あるので2回に分けます。前編は2分36秒あたりまで。

トランスクリプション

Cela s’est passé il y a quelques jours.

Vers 21H30, un célèbre photographe de 84 ans, René Robert, marchait tranquillement dans la rue près de chez lui, vers République à Paris, quand soudain, il est tombé, comme cela peut arriver à cet âge-là.

Il a perdu connaissance, et il est resté sur le pavé.

Il est resté là inconscient au sol, plusieurs secondes, plusieurs minutes, plusieurs heures, sans que personne ne s’arrête pour lui venir en aide.

Une heure, deux heures, trois heures, neuf heures.

Cet homme âgé est resté allongé au sol avec un traumatisme crânien et du sang autour de sa tête pendant neuf heures, inconscient, en plein Paris, dans un quartier très animé, sans que personne ne se penche sur lui, sans que personne ne l’aide, sans que personne n’appelle les secours.

Et cette inaction l’a tué.

René Robert, qui aurait peut-être pu être sauvé, est décédé en état avancé d’hypothermie.

Comble de cette histoire, c’est un SDF qui le premier s’est penché sur lui, et a appelé les pompiers.

Ceci n’est pas un fait divers, c’est un fait de société.

Et c’est un fait tragique pour la personne concernée et son entourage, et tragique pour ce qu’elle raconte de notre société.

Une société indifférente d’abord : car ce genre d’histoire ne nous émeut même plus.

D’ailleurs, elle n’aurait jamais été médiatisée si le défunt n’avait pas été un célèbre photographe.

France Info a donné la parole à l’un de ses amis qui lui a rendu un hommage bouleversant, et a posé LA question que soulève ce drame : Est-ce que je suis sûr à 100% que si j’avais été confronté à cette scène d’un homme au sol, je me serais arrêté ?

Je me suis donc jamais détourné d’un SDF que je vois couché dans une porte cochère ?

De ne pas pouvoir être sûr à 100% est une douleur térébrante qui me hante.

Après, nous sommes pressés, nous avons peur, nous avons nos vies, et puis nous détournons le regard, et ce que dit cette tragique fin de vie est une chose totalement hideuse sur notre comportement et sur notre solidarité vis-à-vis du prochain.

Le malaise est là.

Moi non plus, je ne suis pas sûre à 100% que je me serais arrêtée.

Car à Paris, il y a tant de sans-abris, que nous croisons tous les jours, dans le métro, dans la rue ou devant les commerces, qui font presque partie du paysage urbain.

Il n’est pas rare de voir d’autres humains, emmitouflés dans des habits crasseux, allongés au sol, et de s’auto-convaincre qu’ils sont en train de dormir.

Personnellement, je ne donne pas à tous les SDF, j’en ignore même certains.

Parce que la vérité, c’est que cette misère et cette détresse me gênent.

Plutôt fermer les yeux que de ressentir cette impuissance, ce désagréable sentiment de culpabilité qui rend malheureux.

和訳・この社会は病んでいる

数日前のできごとです。

夜の9時半ごろ、84歳の著名な写真家、ルネ・ロベールが、自宅近くの通りを、パリのレピュブリック広場に向かって静かに歩いていたところ、突然倒れました。この年令ではあり得ることです。

彼は意識を失い、歩道に放置状態でした。

道の上で、意識を失っていました。数秒間、数分間、数時間、誰も彼を助けるために立ち止まりませんでした。

1時間、2時間、3時間、9時間。

この老人は頭に怪我をして、血を流し、9時間、地面の上に倒れていました。意識を失い、パリの真ん中のとても人通りの多い場所で、誰も、彼に身をかがめることもなく。誰も彼を助けず、助けを呼ぼうともしなかったのです。

誰も行動を起こさなかったことが、彼を殺しました。

ルネ・ローベルは、たぶん助かったかもしれないのに、低体温が進んだ状態で死亡しました。

あきれたことに、最初に彼に注意を向けたのは、ホームレスの男性で、彼が消防士を呼びました。

この事件はニュースではなく、社会の現実です。

当事者とその周囲の人にとっては、悲しいできごとです。私たちの社会について語る者にとっても悲劇です。

何よりも無関心な社会。この手の話はもう誰の心も動かしませんから。

しかも、故人が有名な写真家でなければ、決して報道されなかったでしょう。

フランス・インフォは、彼の友人のひとりに、話を聞き(話す機会を与え)、その友人は、感動的な追悼の言葉を述べ、この悲劇を引き起こした問題を取り上げました。

- 私は100%、そうするでしょうか? もし私が、地面に倒れている男性に出くわしたら、立ち止まったでしょうか?

私は、玄関で横になっているホームレスの人を見て、よけることが、決してなかったのでしょうか?

100%そうだと言えないことが、激しい痛みとなり私の頭から離れないのです。

結局、私たちは急いでいるし、恐れているし、自分の生活があり、目をそらします。

この悲しい人生の結末は、私たちの行動や同胞との連帯について、全くいまわしいことを語っているのです。

危機的状況がここにあります。

私も、立ち止まっていたという100%の確信はありません。

なぜなら、パリでは、たくさんのホームレスの人がいて、私たちは毎日、すれちがっています。地下鉄で、道で、店の前で。彼らは、ほとんど都市の光景の一部になっています。

他人が、ひどく汚れた衣服にくるまって、地面に寝ているのを見ることも、彼らは寝ているのだと、思い込もうとしてしまうことも珍しいことではありません。

個人的には、すべてのホームレスに手を差し伸べていないし、何人かは無視さえしています。

なぜなら、実のところ、こうした不幸や悲惨さは、私を居心地悪くさせるからです。

こんな無力感や、不幸な気分にさせる不快な罪悪感を感じるより、目をつぶるのです。

単語メモ

un traumatisme crânien 頭の怪我 un traumatisme  外傷性障害、crânien  頭蓋の、頭蓋骨の

une hypothermie 低体温

comble  絶頂、極み pour comble おまけに

un SDF san domicile fixe 住所不定の人、ホームレス

un défunt  故人、死者

bouleversant  動転させる、感動的な

se détourner  方向を変える、それる、遠回りをする;顔をそむける、横を向く

une porte cochère  正門

vis-à-vis de ~に対して

un prochain  隣人、同胞

hanter  (妄想などが)つきまとう、取り付く

térébrant  鋭い、激しい、深く貫くような

hideux, hideuse  いまわしい、おぞましい

emmitoufler  (暖かい衣類で)包む(話)

crasseux, crasseuse  垢だらけの、不潔な、ひどく汚い

une détresse  苦悩、苦しみ、悲嘆

une impuissance  無力、無能、非力、無効果

une culpabilité  有罪



プチ文法:条件法過去

「もし誰かが助けを呼んでいたら、彼は助かったかもしれない」とか、「もし私がその場に居合わせたら、立ち止まっていなかったかもしれない」、というように、過去の現実とは異なる条件を仮定して、その後の想像を話すときは、条件法過去という法と時制を使います。

形は、助動詞の条件法現在形+過去分詞。条件を提示する部分(よくあるのは、si…)は直接法大過去形(助動詞の半過去形+過去分詞)。

qui aurait peut-être pu être sauvé (この人は)助かることができたかもしれないのに(←助けられたかもしれないのに)

elle(=l’histoire)n’aurait jamais été médiatisée si le défunt n’avait pas été un célèbre photographe. 死んだ人が有名なカメラマンじゃなかったら、この話は決して報道されなかったでしょう。

si j’avais été confronté à cette scène d’un homme au sol, je me serais arrêté ? もし、地面に男性が寝ている現場に居合わせたら、私は立ち止まったでしょうか?

☆復習用動画:Le conditionnel passé en FRANÇAIS
6分30秒。この先生は話し方がゆっくりなので、1.5倍速ぐらいでちょうどいいと思います。

関連⇒条件法を読み解くコツ~翻訳講座第8回前半

****

夜、暗い中を倒れていたから、まわりの人は、血が流れているのに気がつかなかったんでしょうか。

血を見たら、どう考えても通報しますよね。まあ、そこまでの出血ではなかった可能性もあります。

確かに都会では、ホームレスの人が寝ている姿は珍しくないから、私もわざわざそばに行こうとは思わないかもしれません。






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