イラン対イスラエル

時事ニュース

イランとイスラエル:ニュースで学ぶフランス語

イランとイスラエルの緊張関係、特にイランの核開発をめぐる国際的な対立について、事実関係を伝えている4分の動画を紹介します。

Lumni(フランスの学生のためのチャンネル)が作ったジオポリティクスを説明するシリーズの1本です。

タイトルは英語で、Iran-Israel: a never-ending conflict?(イランとイスラエル:終わりなき戦い?)

この動画は、フランス語学習の素材として紹介するものであり、特定の国家や立場を支持・批判する意図はありません。

Iran VS Israel

4分。フランス語の字幕あり。

この動画は、イスラエルとアメリカの強硬姿勢が緊張を高めているという論点に沿って作られていて、外交的解決を重視すべきだと訴えています。よって、アメリカやイスラエルの行動に対して批判的に見えます。

公平を期すならば、イスラエルやアメリカの立場も考慮する必要があります。

トランスクリプション

Depuis près de 30 ans, le Premier ministre israélien Benjamin Netanyahou parle de l’Iran comme d’une menace existentielle. Par cette expression, il veut convaincre les opinions publiques internationales que si l’Iran parvenait à se doter de l’arme nucléaire, il pourrait détruire Israël.

Pourtant, en juillet 2015, l’Iran a accepté de signer l’accord de Vienne avec les cinq membres permanents du Conseil de sécurité, l’Allemagne et l’Union européenne. Par ce traité, l’Iran accepte de ne pas produire d’armes nucléaires et d’être régulièrement contrôlé par l’Agence internationale de l’énergie atomique, institution de l’ONU.

En échange, une levée graduelle des sanctions économiques qui frappent le pays depuis 1979 est promise à Téhéran. Les inspections qui se succèdent au cours des années suivantes concluent au respect scrupuleux de leurs engagements par les autorités de Téhéran.

Mais en 2018, Donald Trump annonce le retrait unilatéral de l’accord de Vienne et réactive les sanctions à l’encontre de l’Iran. Les responsables iraniens espèrent que les Européens se désolidarisent des États-Unis, en vain. En 2019, l’Iran, ne se considérant plus lié par l’accord de Vienne, reprend l’enrichissement de l’uranium. Il lui est dès lors reproché de ne pas avoir respecté les termes de l’accord.

Aujourd’hui, l’Iran affirme poursuivre un programme d’enrichissement de l’uranium à des fins civiles. Les experts de l’AIEA admettent ne pas avoir accès à toutes les données, mais continuent à prôner une solution diplomatique. Selon eux, à ce jour, les responsables iraniens n’auraient pas décidé de procéder à la construction d’une arme nucléaire.

C’est pourquoi les déclarations de Benjamin Netanyahou évoquant l’existence réelle d’une menace nucléaire imminente sont inexactes. En déclenchant les bombardements sur l’Iran le 13 juin 2025, Benjamin Netanyahou est dans une logique de guerre préventive contraire au principe du droit international.

Quelles sont les raisons d’une telle décision ? Pour Benjamin Netanyahou, il s’agit de stopper les négociations en cours entre les États-Unis et l’Iran, planifiées pour le 15 juin 2025. L’objectif était de parvenir à un meilleur contrôle de l’enrichissement d’uranium iranien et de ses lieux de stockage.

Les bombardements israéliens ont également eu pour effet de stopper l’initiative franco-saoudienne prévue dans le cadre de l’ONU à New York le 18 juin, visant la reconnaissance hypothétique de l’État de Palestine. Les probabilités de réussite de ces deux processus étaient certes réduites, mais c’était visiblement encore trop pour Benjamin Netanyahou, qui privilégie l’utilisation de la force militaire.

Pendant ce temps, les massacres se poursuivent à Gaza, où la situation empire chaque jour pour la population. Par la multiplication de ces opérations militaires, Israël apparaît dans la région comme un Etat déstabilisateur. Le soutien apporté par les États-Unis, notamment par les bombardements du 22 juin 2025, confirme son soutien indéfectible à Israël.

イランとイスラエル:和訳

約30年にわたり、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イランを「国家の存続に関わる脅威」として語ってきました。

この表現を使うことで、彼は国際世論に対し、もしイランが核兵器を手に入れたら、イスラエルを破壊しかねないと説得しようとしてきました。

しかし、2015年7月、イランは国連安全保障理事会の常任理事国5か国、ドイツ、そして欧州連合との間でウィーン合意に署名しました。

この条約により、イランは核兵器を製造しないこと、そして国連の機関である国際原子力機関(IAEA)の定期的な査察を受け入れることに同意しました。

その見返りとして、1979年以来イランに科されてきた経済制裁を段階的に解除することがテヘラン(イラン政府)に約束されました。

その後数年間にわたる査察の結果、テヘラン当局が約束を厳格に守っていると結論づけられました。

ところが2018年、ドナルド・トランプ氏がウィーン合意からの一方的離脱を発表し、対イラン制裁を再開します。

イラン政府は、欧州諸国が米国と距離を置くことを期待しましたが、無駄に終わります。

2019年、イランはもはやウィーン合意を守る必要はないとして、ウラン濃縮活動を再開しました。以降、合意を破ったと非難されるようになります。

現在、イランは民間利用が目的でウランを濃縮していると主張しています。

IAEAの専門家たちはすべてのデータにアクセスできていないことを認めつつも、外交的解決を模索すべきだと訴え続けています。

彼らによれば、現時点でイラン当局が核兵器の製造を決定してはいないとのことです。

そのため、ネタニヤフ首相が「差し迫った核の脅威が現実に存在する」と主張するのは事実と異なります。

2025年6月13日にイランへの空爆を開始したネタニヤフ首相の行動は、国際法の原則に反する「先制攻撃」の論理に基づいています。

なぜそのような決断が下されたのでしょうか?

ネタニヤフ首相にとっては、2025年6月15日に予定されていた米国とイランの交渉を妨害することが目的でした。この交渉の目的は、イランのウラン濃縮とその保管場所の管理を強化することでした。

イスラエルによる空爆により、6月18日にニューヨークの国連で予定されていた、フランスとサウジアラビアによるパレスチナ国家承認を目指す提案も中止となりました。

これら2つのプロセスが成功する可能性は確かに低かったものの、ネタニヤフ首相にとっては、それすらも許容できなかったようです。彼は軍事力の行使を優先します。

その一方で、ガザ地区では虐殺が続き、住民の状況は日々悪化しています。こうした軍事行動の多発により、イスラエルはこの地域で不安定化を招く国家として見なされつつあります。

2025年6月22日に行われた米国による空爆は、米国のイスラエルの揺るぎない支持を裏づけています。

単語メモ

menace existentielle:存続の危機、存在を脅かす脅威

parvenir à(+動詞の不定詞):~することに成功する、~に至る
Il est parvenu à signer un accord. 彼は合意にこぎつけた。

se doter de:(組織や国などが)~を備える、持つようになる
L’Iran veut se doter de l’arme nucléaire. イランは核兵器を持とうとしている。

levée:解除
La levée des sanctions économiques 経済制裁の解除

fins civiles:民間目的(=軍事目的ではない)
Un programme nucléaire à des fins civiles 民生用の核計画

indéfectible:決して揺らがない、変わらない
un soutien indéfectible 揺るぎない支援

accord:協定、合意
signer un accord 合意に署名する

sanction:制裁
des sanctions économiques 経済制裁

enrichissement :濃縮
l’enrichissement de l’uranium(ウラン濃縮)

respecter:守る、遵守する
respecter un engagement 約束を守る

préventif / préventive:予防の、先制の
guerre préventive 先制攻撃

engagement:(合意した)約束、公約
honorer ses engagements 約束を守る

今日のプチ文法:関係副詞 où の使い方

oùのあとに場所や時間を説明する節をつなぐことができます。

別の言い方をすると、先行詞(説明される名詞)と、それに関係する情報をつなげるためにoùを使います。

🔸場所の場合:
Gaza, où la situation empire chaque jour.
ガザ、その場所では状況が日々悪化している

🔸時間の場合:
Le jour où il est parti, il pleuvait.
彼が出発した日(そのとき)は、雨が降っていた。

◆例文

C’est une ville où j’aimerais vivre.
そこは私が住みたいと思っている町です。

Je me souviens du moment où je l’ai rencontré.
彼に出会ったときのことを覚えています。

L’année où j’ai visité Paris était inoubliable.
私がパリを訪れた年は忘れられません。

◆oùは、場所や時間に関する前置詞+関係代名詞(dans lequel, pendant lequel など)の代わりになります。

たとえば、
la ville dans laquelle j’habite
= la ville où j’habite

ただし、où は dans lequel、sur lequel、pendant lequel などのように前置詞の意味を暗黙的に含んでいるので、前置詞の選択が明確に必要な場合や、非定型の前置詞(意味がより複雑だったり、場所・時間以外を表したりする前置詞、例:autour de, en face deなど)を使いたいときには oùでは言い換えができないこともあります。

イランとイスラエル:関連動画

ARTEの Le Dessous des Cartes 地政学について解説している番組の動画です。

3分33秒、フランス語の字幕あり。

内容のポイント:

・アメリカのイラン核施設への攻撃は、イランが事前に濃縮ウランを移動させており効果は限定的だった。

・イスラエルはイランの脅威の根本にある体制そのものを標的に、攻勢を強めた。

・ガザでの戦闘によりハマスは大打撃を受けたが、約5万6千人のパレスチナ人が犠牲に。国際社会の非難が高まっている。

・ヒズボラも参戦したが、イスラエルに指導者を殺害され弱体化。レバノンは中立を宣言。

・シリアではアサド政権が崩壊し、新政権がイランから距離を置く姿勢を見せている。

・イランが支援してきた地域ネットワーク(ハマス・ヒズボラ・シリア)は大きく後退。

・イスラエルは戦略的に優位となったが、ガザでは人道危機が続き、国際法無視への懸念が残る。

◆関連記事もどうぞ

なぜイランとアメリカは対立しているのか?(子供向けの説明)

ウクライナ航空の旅客機(ボーイング737)、イランで墜落。生存者なし。

5分でわかる、核兵器が世界に行き渡るまで。

*****

イスラエルとイランはいったんは停戦したと報道されましたが、いまだに戦闘状態が続いているようです。

パレスチナの人々の生活が深刻な状況にあり、戦闘よりも飢えで命を落とす人がいるという現実には胸が痛みます。1日も早く、解決が訪れることを願っています。






食べ物をお皿に取るたったこれだけ?フランスの学校で食品ロスを減らした単純な方法前のページ

ヨーロッパでは何語が話されている?:1分のフランス語の動画で学ぶ言語の多様性次のページヨーロッパ

ピックアップ記事

  1. 『星の王子さま』~お役立ちリンク集

  2. 2023年版、フランス語学習用カレンダーの紹介:テーマは「食」

関連記事

  1. チーズフォンデュ

    時事ニュース

    チーズ・フォンデュってコロナに感染の危険はないの?

    スイスの冬の名物料理、チーズ・フォンデュは、新型コロナウイルスの感染を…

  2. ごみ箱

    時事ニュース

    地球温暖化防止のために個人ができることとは?

    現在、パリではCOP21が行われています。1jour1actuという子…

  3. スニーカーをはいた足

    時事ニュース

    フランスのティーンエイジャーの間で流行っているファッション。

    最近のフランスのティーンエイジャーのファッションを取り上げたニュースク…

  4. 富士山

    時事ニュース

    富士山頂の無料Wi-Fiサービスが外国人登山客に人気

    フランス語のニュースを見て学習するシリーズ、今回は、富士山頂でこの夏か…

  5. 目撃するアヒル

    時事ニュース

    不倫疑惑のオランド大統領がビデオゲームに

    女性問題で話題になっているフランスのオランド大統領に関する短いニュース…

  6. 嵐の雲

    時事ニュース

    ハリケーン・ハービーによりテキサスで記録的な洪水発生。

    2017年8月26日以来、アメリカテキサス州で記録的な大雨が続き、ひど…

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

更新情報をメールで配信中

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

お問い合わせはこちらから

お問い合わせはこちらからどうぞ

封筒
⇒お問い合わせフォームへ


お気軽に^^

☆和文仏訳、仏文和訳の無償サービスは行っておりませんので、ご了承願います。

アーカイブ
PAGE TOP