今週の「虎と小鳥のフランス日記」のバック・ナンバーはパリの20区にあるカスカード通りが舞台です。
ここは古き良きベルビル・メニルモンタン地区で下町。パリの北のほうです。
ここのカフェで、カミーユと友だちのヴァロンティーナがちょっとした議論をしています。といっても、熱心にしゃべっていたのはバロンティーナだけですが。
その後、ここにある古い銅版画の印刷所で、店の人が銅版画の印刷方法を説明してくれます。
前半の2人の会話は、ごくふつうのネイティブの会話で難しく、後半の印刷の説明は、情報量が多くて難しい、という2つの違った難しさが楽しめる回です。
きょうのメニュー
それでは、復習、行ってみよう。
キーフレーズ
その1 でもね
最初にヴァロンティーナが、「ここは自転車があれば何でもできる」と言ったのに対して、カミーユが
うん、でも、でもね、登り降りがたくさんあるし
Ouais mais quand même y’a beaucoup de montées et de descentes, hein.
坂が多いから自転車はきついよ、ということですね。
それに対して
その2 だから
うん、でもだからこそ、ここから見える所はメトロがない場所なのよ。だって、そこまで行けばメニルモンタン通りだけど、バスだもの。
Ouais, mais justement, c’est les coins où tu vois, y’a un vide de métro. Parce que t’arrives là, t’est à la rue de Ménilmontant, et là c’est les bus.
「坂がいっぱいあるから、メトロがない、だから自転車よ」ということです。
その3 おわかりでしょうが
印刷所で、銅版画の説明です。
そして、インクを塗りますが、おわかりだと思いますが、この「人形」と呼ばれる、これを使います。
Et on met de l’encre, vous voyez c’est avec une « poupée »:on appêlle ça.
プペ(人形)と呼ばれる、てるてる坊主みたいな布切れで、インクを塗っていくのだそうです。
文法ワンポイント voir の2つの意味
見える
2つ目のキーフレーズの
c’est les coins où tu vois,
直訳:あなたに見えているこのあたり。
のvoir は「見る、見える」という意味。
De sa maison, on voit les montagnes.
彼女の家から山々が見える。
わかる
その3の vous voyez の voirは「わかる、認める、気づく」という意味。
Tu vois.
わかると思うけど。
Vous voyes.
わかると思いますが。
Je vois.
ああ、なるほど。
Je verrai. あとで分かるだろう、様子を見よう、よく考えてみよう。 (単純未来)
銅版画 la gravure
銅版画は、銅板に線を彫ったり、酸で腐食させて絵を描き、そこにインクを入れ印刷します。
ビデオに出てきたのは、とても古い印刷所とのこと。説明してくれた手法も昔ながらのものです。
銅版画の手順(店の人の説明)
1.彫る(いろいろな道具や薬品を使用)
2.版をヒーターにのせ加熱
3.インクを版全体に塗る。(プペを使用)
4.新聞紙やターラタン(tarlatane インク拭き取り用の丸めた寒冷紗(かんれいしゃ)*でインクをこすって、彫った溝や穴にインクを入れる。
5.表面のインクをきれいに拭き取る。
6.版を印刷機にのせる。
7.その上に紙をのせる。
8.その上にフェルトをのせる。
9.すべてを印刷機に通し、インクが紙に移れば完成。
*寒冷紗:折り目の荒い薄手の布地。濃いのりで仕上げて、カーテン、かや、造花、芯地などに使用。
印刷機の圧力はとても強いそうです。彫リ方や彫るために使うものによって、いろいろな手法があります。
関連動画~銅版画の作り方
このビデオではおじさんが銅版について説明してくれています。
このGACHET GRAVEUR という動画はいくつかに分かれているので、興味のある方はぜんぶ見るといいと思います。
銅版は西洋美術の世界でもっとも広く用いられた版画の技法です。
日本の浮世絵は木版画の一種で、版の出っ張っている部分にインクをつけて刷るので凸版画です。
きょうのアルバム 銅版印刷のアトリエの様子
いかがでしたか?
銅版画を彫るのはとても細かい仕事ですね。今は、顕微鏡のようなツールがありますが、昔の人はどうやっていたんでしょうね?酸を使うから危険でもあります。
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