仏作文力養成講座第6回後半の受講メモです。
内容は自由作文(dissertation)の書き方(構成)と、論旨を展開するときに使う言葉です。
自由作文って何かというと、言葉のとおり自分の好きなように書く作文です。
たとえば、仏検の作文の問題は和文が与えられていて、それをフランス語で書き換えます。
それに対して、DELFの問題は、「これこれこんな状況だから、OOの立場でXXに、こんなことや、あんなことを、提案したり、お願いしたりする作文を書いてみなはれ。単語はだいたい250語ぐらい使ってね。もちろんフランス語だよ~ん」という形式です。
だから、自由なんですね。
しかし、自由といっても、フランス語の自由作文はとある型にあてはめて書いたほうがいいのです。
今回、その型を学びました。
きょうのメニュー
今回も問題を2つ先に書いておきますので、作文してから続きを見てくださいね。
【以下の言葉を使って短い文章を書いてください】
1. en effet
2. d’une part… d’autre part
作文講座の記事、難しいという声が多いので、比較的やさしい、使いやすいものを選んでみました。
それでは、復習、行ってみよう!
自由作文で死守するべき型~トリロジー
トリロジーとは
トリロジー(trilogie)は、論旨を展開するときに、3つずつ要素を入れる型です。
要するに、何か説明するときは、AとBとCの現象を入れ、説得するときはAとBとCの理由を入れる、といったようなこと。
具体的な型としては
イントロダクション
(このあと論旨を展開する)
1. 1.i – 1.ii – 1.iii
2. 2.i – 2.ii – 2.iii
3. 3.i – 3.ii – 3.iii
結論
です。DELFの問題は、文字数が少ないので、こんなにたくさん3つの要素で展開できませんが、どこまでもトリロジーで構成していきます。
そういえば、大昔、英語のTOEFLの小論文の勉強をしているときも、「イントロー(最初にトピックセンテンスを入れる)⇒パッセージ1⇒パッセージ2⇒パッセージ3⇒結論」という形で書け、と本に書いてあったような気がします。
3つも書くことを思いつかない場合はどうするか?
「トリロジーにしろというのはわかったけど、そもそも書くことを思いつかないんですけど」という人が多いと思います。
しかし、トリロジーはフランス人の発想法であり、3つの何かを文章に入れようとすることで、アイデアをひねり出しています。
そこで私たちも、アイデアを思いついたら、メモをするのではなく、最初に紙に1,2,3などと書いて、そこに無理やり何かを書いていけばいいのです。
確かに、「何か理由を3つ入れなければ」と強引に考えたほうが、いろんな理由を考えつきますよね?
ただなんとなく、思いつくまま書いているよりも?
そういう意味ではトリロジーという型があるおかげで、いろんなアイデアをひっぱって来やすいとも言えます。
コネクターロジック~論旨をつなぐ言葉
コネクターロジック(connecteurs logiques)とは?
ある論旨と論旨をつなぐ言葉です。
論旨は考えや議論などを進めていく道筋。
たとえば、
「penはデブ。」
だから、
「甘いものを食べるのをやめた。」
の だから に当たるもの。
これが
「penはデブ。」
でも、
「甘いものを食べるのをやめた。」
と逆接でつないだら変ですよね?
この「だから」とか「でも」は最もシンプルなコネクターロジックです。
相手を説得したりする文章では、このようなコネクターロジックを効果的に使って、論理を通す必要があるため、使い慣れておかなければなりません。
講座では9つ+アルファのコネクターロジックを習いました。中には難しげなものもありましたが、今回は、比較的簡単なものを2つシェアしますね。
en effet あとに理由を言う言葉
en effet と似たようなのに、en fait (実は、そうではなく、事実は…)というのがあるせいか、en effet もよく「実際には」と訳してあるのを見ます。が、あとに理由が続くコネクターロジックです。
Ce hôtel va fermer, il y avait en effet peu de clients.
あのホテルは閉鎖される。だってろくにお客がいなかったら。
Je ne m’étonné pas; on m’avait en effet.
前に知らされていたから、驚かないよ。
Cette voiture me plaît beaucoup, en effet, elle est rapide et confortable.
この車、とても気に入った。だって、スピードでるし、快適だし。
*en effet は「もちろん、確かに、なるほど」などという意味もあります。
Il est fatigué. – En effet, il a mauvais mine.
彼は疲れてる。- 確かに、顔色悪いね。
d’une part… d’autre part 一方では…、他方では…
これは平たく言えば「AとBである」という言い方です。
たとえば
「penには2つの問題がある。デブで貧乏なことだ。」
と言いたいときなどに
「penには2つの問題がある。1つにはデブであるということ、もう1つには貧乏であるということだ。」
というふうに使えます。
A et B の代わりに d’une part A, d’autre part B としたほうが、より説得する感じを出すことができ、「この人は議論慣れしているな」と思ってもらえるそうです。
日本語で「一方では…、他方では…」とすると、やや硬い論説文ふうになりますが、フランス語のd’une part… d’autre partは日本語の訳語ほど硬い表現ではないそうです。
たとえば
D’une part il est travailleur, d’autre part il aime s’amuser.
彼は勤勉だが、遊びも好きだ。
というように、必ずしも「一方では…、他方では…」という訳をあてるのがふさわしい硬い文ではないものにも使われます。
したがって、「作文でAとBと書きたいときに、積極的に使ってみてください、とのことでした。
今回の授業もとても中身が濃かったです。私が記事に書いてることの10倍はありそうな感じ。
コネクターロジックを使いこなす前に、フランス語をたくさん読んで、「ああ、こんなふうに使うんだな」と見慣れておくことが大事かと思います。
また、日本語はあまりロジックを通さない言語なので、ふだん日本語で何かを書いているときも、意識してロジックを通す練習をするのも効果的かもしれません。
コネクターロジックに慣れると読解の力もつくはずです。
さて、仏作文講座、これで入門編が終わり、次回からは実践編でひたすら仏検とDELFの問題を解いていくそうです。
ブログに効果的な記事を書けるかどうかわからないので、もしかしたら、受講メモはこれで最後かもしれません。
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