モナ・リザ

フランスにまつわるあれこれ

モナ・リザのプロフィール、またはその謎。

レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた、『モナ・リザ』という名の肖像画はとても有名ですが、制作過程において謎の多い作品です。

きょうは、モナ・リザ自身が自らの出自を語る2分のアニメーションを紹介します。

タイトルは、La Joconde, Léonard de Vinc(ラ・ジョコンド、レオナルド・ダ・ヴィンチ)。

La Joconde は、フランス語での『モナ・リザ』の呼び方です。



ラ・ジョコンドって誰?

フランス語の字幕を表示させることができます。

ユーモアのあるアニメですね。

モナ・リザ、トランスクリプション

Je m’appelle Lisa Gherardini, mais vous pouvez m’appeler Mona Lisa.

Oui, avec cet accent italien prononcé, parce que je suis née à Florence en 1479.

Telle que vous me voyez, j’ai 24 ans alors qu’en réalité, j’en ai 512.

Eh oui, j’ai un secret.

Mon époux, Francesco del Giocondo, a eu l’excellente idée de demander à Leonardo Da Vinci, déjà superstar de l’époque, de me tirer le portrait.

“Giocondo”, “La Joconde”, c’est le mélange de “la joie” en italien et de “bienheureux”, en latin.

Pendant 15 ans, Leonardo ne va cesser de me caresser du bout de son pinceau pour me rendre parfaite.

On dit de moi que je suis l’amante de Leonardo, ou que je suis Leonardo lui-même, ou son apprenti, ou même sa mère.

Que je suis enceinte, que je viens d’accoucher ou que j’ai perdu un enfant…

Bref, j’ai tout entendu et franchement…ça me fait doucement sourire.

D’ailleurs, parlons-en, de mon sourire.

Vous connaissez le sfumato ?

C’est l’effet vaporeux qui me donne des contours troubles.

Vous pensez que je vous suis des yeux, mais, comme mon sourire, c’est une illusion d’optique.

On a tous nos petits secrets de beauté…

Ma vie fut tumultueuse…

J’ai quitté l’Italie pour la France, où François Ier m’a accrochée dans une salle de bains pendant un siècle.

On rêve.

Au XVII siècle, je déménage à la cour de Versailles avant de m’installer définitivement chez moi, au Louvre, à la Révolution.

J’ai été kidnappée, exilée, agressée, mais j’ai aussi voyagé dans le monde entier.

Ah, j’ai bien vécu.

Mes vernis jaunissent et ternissent, mon châssis me fait mal, et malgré ma surprotection par les gardiens, les alarmes, une vitre blindée dans une vitrine en acier, la transparence de celle-ci m’expose chaque jour à 20 000 visiteurs pressés, massés et excités par le désir de percer mon mystère.

On m’estimerait à 2 milliards d’euros.

Je trouve ça un peu grossier de me donner un prix.

Pardon, mais je préfère vous le dire.

Je suis inestimable.

和訳

私の名は、リザ・ゲラルディーニ、でも、モナ・リザと呼んでもいいわよ。

そう、イタリア語のアクセントでね。だって、私、フィレンツェで1479年に生まれたから。

見かけは24歳に見えるけど、実際は512歳なの。

ええ、そう。私、秘密を持っているのよ。

夫の、フランチェスコ・デル・ジョコンドは、すばらしいことを思いついたの。レオナルド・ダ・ヴィンチに、当時、すでに彼はスーパースターだったけど、私の肖像画を描かせることにしたのよ。

ジョコンド(Giocondo、La Joconde)は、イタリア語の「喜び」という言葉と、ラテン語の「至福を受けた」という言葉が合わさったものよ。

15年間、レオナルドは、筆の先で私をやさしく愛撫することをやめようとしなかったわ、私を完璧にするためにね。

人は私のことを、レオナルドの愛人、レオナルド自身、彼の弟子、彼の母とまでうわさしたわ。

私は妊娠中、子供を生んだばかり、はたまた、子供を亡くしたとも。

要するに、あらゆるうわさを聞いたけれど、率直にいって、そういうの、私をひそかに笑わせるわね。

そうそう、私の微笑みについて話しましょう。

スフマートってご存知?

ぼかして描くことなんだけど、そのせいで、私のりんかくはぼんやりしているの。

私があなたを目で追っているように思うかもしれないけど、私の微笑みと同じで、それは視覚的な錯覚なの。

みんな、ちょっとした美の秘密を持っているのよ。

私の人生は波乱万丈だったわ。

イタリアを出てフランスに来たら、フランソワ一世は、私を1世紀ものあいだお風呂場にかけておいたの。人は夢見るものね。

17世紀、ヴェルサイユ宮殿に引っ越し、それから、フランス革命のとき、私の終の棲家になるルーブルに移ったの。

私は誘拐され、祖国を追放され、襲われたけど、世界を旅してまわってもいるのよ。

ああ、本当によく生きてきたわ。

私のニスは黄色くなって汚れてきたわ。木の枠は私のためによくないの。

それに、守衛や防犯装置やスティール製のウィンドウにはまった防弾ガラスの中で厳重に守られているけど、ガラスは透明だから、私は毎日、2万人の訪問者の目にさらされているの。彼らは、私の謎をあばきたくて、気が急いていて、群れをなし、興奮しているわ。

私には、20億ユーロ(2430億円ぐらい)の価値があると言われているわ。

私に値段をつけるなんてちょっと失礼だと思うの。

ごめんなさい、でも、私はみなさんに、「お金では買えない」と言ってもらったほうがいいわ。



単語メモと補足

bienheureux  至福を受けた;幸運な

vaporeux  ぼかして描いた

tumultueux  波乱に富んだ

châssis  カンバスを張り付けるための木枠、カンバス枠。木枠がそったり、ベースになっている板がまがったりすると、絵そのものに損傷を与えます。

surprotection  過保護

vitre blindée  防弾ガラス blindé 鋼版で補強された

grossier  無作法な、下品な

inestimable  評価できないほど高価な、はかりしれない

「モナ・リザ」は、イタリア語では、La Gioconda、フランス語では、La Joconde です。

1503年~1506年ごろ描かれたと言われています。

もともとは、フランソワ1世(1494-1547、ヴァロワ朝、第9代のフランス国王)が買った絵ですが、いまはフランスの国有財産です。

レオナルド・ダ・ヴィンチについては以下の記事をどうぞ
レオナルド・ダ・ヴィンチ、天才のひらめき

2分で学ぶ、レオナルド・ダ・ヴィンチのプロフィール。

*****

この絵のタイトルは、ダヴィンチの伝記作家が16世紀に出した本にある記述から来ています。

その本に、これはフランチェスコ・デル・ジョコンド(金持ちの商人の奥さんのリザである、と書かれています。

しかし、この肖像画は、服装にも背景にも、個人をしっかり特定できるようなものがないため、モデルが誰なのか、長らく論争が続いていました。

21世紀になって、伝記とはべつに、ダヴィンチがジョコンドの妻のリザの絵を書いていると記す文献が見つかったので、いまは、ジョコンド夫人ということで、決着がついています。






キャンドルウクライナ航空の旅客機(ボーイング737)、イランで墜落。生存者なし。前のページ

2分で学ぶ、レオナルド・ダ・ヴィンチのプロフィール。次のページルーブル美術館

ピックアップ記事

  1. 2023年版、フランス語学習用カレンダーの紹介:テーマは「食」
  2. 『星の王子さま』~お役立ちリンク集

関連記事

  1. 凱旋門

    フランスにまつわるあれこれ

    パリの20の行政区~第3回~らせんの秘密

    パリの行政区シリーズ、第3回です。前回は、パリの一部の行政区の…

  2. 仕事中

    フランスにまつわるあれこれ

    フランス人は働くことが好きなのでしょうか?

    France 24 のニュースクリップから、仕事に対するフランス人の考…

  3. パソコンに向かっている若い女性

    フランスにまつわるあれこれ

    インターネットで古着を売買するには?

    ネットで古着を売買する方法や注意事項を説明している2分の動画を紹介しま…

  4. パリの花火

    フランスにまつわるあれこれ

    なぜ、フランスでは7月14日が祝日なのか?

    7月14日は言わずと知れた、フランスの革命記念日であり、国民の祝日です…

  5. エッフェル塔

    フランスにまつわるあれこれ

    パリのエッフェル塔の楽しみ方。

    エッフェル塔は、パリにある有名なタワー(塔)です。パリのみなら…

  6. La famille du duc de Penthièvre

    フランスにまつわるあれこれ

    マリー・アントワネットと18世紀のチョコレート

    マリー・アントワネットが愛好したチョコレートドリンクについて調べてみま…

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

スポンサーリンク



更新情報をメールで配信中

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

お問い合わせはこちらから

お問い合わせはこちらからどうぞ

封筒
⇒お問い合わせフォームへ


お気軽に^^

☆和文仏訳、仏文和訳の無償サービスは行っておりませんので、ご了承願います。

アーカイブ

PAGE TOP