フランスの街

フランス語を読む練習

フランスの若者のスラングが学べる2分の笑える動画

約2分のコメディ動画、Les malaisesを紹介します。

malaise は、気まずさのことです。

この動画では、そんな気まずすぎる瞬間が3つ出てきます。

フランス語の字幕があるので、セリフを見ながら聞けて、口語表現やスラングの勉強にもなります。

あまり深く考えずに見られる内容ですが、差別的なニュアンスや、それに対するリアクションから、フランスの若者文化の一端も感じられます。

1分43秒。

Les malaises:トランスクリプション

– Salut Maman !

(au téléphone) – Et toi ! Salut…

(Haut-Parleur à fond)

(Dycosh) – Ha ! Elle m’a tout dit…

(Dycosh) – Elle m’a dit que tu l’as charbonnée toute la journée, hier…

(Dycosh) – Et, dans le lit de tes parents, …en plus…Hein ? … Cochon ! Va ! Hein…

(Dycosh) – Hein ! Pt’i cochon ! Va !

(Dycosh) – Hé ! T’es trop alors, toi. T’as aucun respect. C’est tout !

(Dycosh) – C’est toi qui fait le ménage ? Franjo ? Tu m’entends ? …

(Dycosh) – Franjooo ? Tu m’entends ???

・・・

– Ho ! Ça va Esteban ?

– Bonjour ! C’est ta maman, j’imagine ?

(Esteban) – Non, c’est ma copine !

( gêné ) – Ha ! Han ! Ha !

– Ha Euh ! OK ! Ben ! Enchanté du coup !

– Enchanté, Franjo !

– Brigitte, Enchantée !

– Enchanté, Brigitte ! Ha ben Cool…

– Vous faites quoi, là, vous ?

(Esteban) – Ben là… On va y aller !

(Brigitte) – Bah Oui ! On va à un concert de PNL. On va être en retard. Je vais avoir le seum autrement.

– Ha ! (Esteban) – Ben allez ! On y va ? (Brigitte)

– On y va !

(Brigitte) – Dis donc ? C’est pas un peu un boloss ton pote, là ?

・・・

– Moi, je trouve que… Euh ! Qu’il y en a trop un peu… Tu vois ?

(Solay) – Trop de quoi ?

– Ben trop de… De… De…

– de babouches… de couscous, quoi ! Si tu veux… Tu m’as compris…

(Solay) – Ha non ! Je te suis pas là…

– Non, mais ! Parce que… Ils sont gentils, mais tu vois…

– A un moment : Trop, c’est trop ! Tu vois… Tu vois ce que je veux dire ?

(Farid) – Ho ! Salam ! (Solay) – Salam Haleykoum, ça va ?

(Farid) – Ça va et toi ? Tu parles avec un beau gosse ?

(Solay) – Ha ! Ha ! A bientôt ! Inch Allah…

– Ha donc… Donc…T’es ?…

(Solay) – J’suis Kabyle ! Ouais !

– Ha ! …

– Ha ! Mais oui ! C’est bien avec toi… Parce que ça se voit pas… Tu vois, ça c’est…

– C’est bien quoi…

(Solay) – Oui ! C’est bien.

– Je vais… Euh ! Je vais y aller…

(Solay) – Vas-y ! Ouais ! …

気まずい瞬間:和訳

シチュエーション1:食卓で

ママ、おはよう

〈電話に向かって〉ああ、君か、サリュ。

Dycoshの声(スピーカーホンでママに聞こえる)

— 彼女に全部聞いたよ

— 昨日は一日中、あの子とヤってたってさ

— しかもさ、お前んちの親のベッドで…でしょ? 変態め!

— このスケベ野郎め!

— ほんとお前ってやり過ぎ、全然リスペクトないよな

— 掃除してるのって、お前だっけ? フランジョ? 聞こえてる?

— フランジョー? 聞こえてるのかってば!

(…沈黙…)

シチュエーション2、街頭で

あ、エステバン? 元気?

元気さ

〈エステバンは50歳は過ぎていそうな女性を連れている〉

こんにちは、きみのお母さん?

いや、彼女だけど。

(気まずい)

ああ、ハハハ、あ、ああ、そうなんだ…じゃあ、はじめまして! フランジョです、よろしく!

ブリジットよ、はじめまして

はじめまして、ブリジットさん、えっと、いいね… 2人で何してたの?

うん、(ブリジットに)行こうか。

そうね。私たちPNLのライブ行くの。遅れちゃうわ。もう超ムカつくわ

えっと…

じゃ、行こうか

行きましょ

(立ち去りながら、ブリジットがエステバンに)

ねえ、あなたの友達、ちょっとダサくない?

シチュエーション3:カフェで

僕は、なんていうか…ちょっとこう…多すぎると思うんだよね

何が多いって?

だから、バブーシュ(モロッコの靴)とか…クスクスとかが、わかるよね?

いや、全然わからないけど

だから、彼らは親切だけど、でも、今、ちょっと多すぎるよね、僕の言いたいことわかる?

(別の友人がやってくる)

やあ、サラーム

サラーム・アレイコム、元気?

元気? (ファリッドに向かって)こんにちは。(ソレイに)イケメンと話してるんだね。

ハハハ

(友人が立ち去る)じゃあまた、インシャアッラー!

え、ということは、君って…

僕はカビル人だよ(アルジェリアの先住民族の一つ)

そっか…… でも、きみはいいよね。見た目はそう見えないから…いいかなと

ああ、いいかもね

じゃあ、もう行くよ

OK

単語メモ

若者のスラングがたくさん出てきます。

charbonner 頑張って働く、(俗)ヤリまくる

元々は「炭をくべる」。若者の間で「ガチで頑張る」の意味で使われ、文脈によっては性的な意味にもなります。

cochon / pt’i cochon スケベ、変態 / スケベ野郎(軽口)

直訳は豚ですが、冗談で性的な意味になります。petit(小さい)をつけてからかう口調にします。

T’as aucun respect ! お前、リスペクトなさすぎ!

若者っぽい強めの非難。「常識ないよね!」という感じ。

haut-parleur スピーカーホン 会話が周囲に筒抜けになる原因となった、今回の“事故”の主役。

avoir le seum 超ムカつく、イライラする アラブ系スラング

「気分が乗らない」「キレそう」などの意味で、SNSでも多用される。若者しか使わない言葉を年配のブリジットさんが使うところが逆のポイント。

boloss ダサい、イケてないやつ

フランスのZ世代に人気のスラング。軽く見下すときに使います。Ton pote, c’est un boloss=お前の友だちダサくない?

babouche バブーシュ、モロッコの伝統的なスリッパで北アフリカ系の象徴的アイテム。

バブーシュ

couscous クスクス、マグレブ文化の代表料理。Baboucheとセットで、アラブ系を揶揄する表現にされがちです。

クスクス

Salam alaykoum こんにちは(アラビア語の丁寧なあいさつ)「あなたに平和がありますように」という意味。

マグレブ系住民がよく使う挨拶で、フランスの多文化社会を象徴しています。

Inch Allah もし神が望むなら(=またね)

アラブ系文化圏で使われる定番フレーズで日常会話にもよく出てきます。

Kabyle カビル人、アルジェリアの先住民族

フランスにはカビル系移民が多い。見た目で判断されにくいため、直接、差別的発言を受けやすい。

関連動画:フランスでは人種を統計で尋ねない

日本にいるとわかりませんが、フランスは多民族国家です。でも、政府の統計では人種を尋ねられません。

その背景について説明している動画を紹介します。

タイトルは、Expliquez-nous… les statistiques ethniques (説明して、民族の統計について)

2分3秒。

内容をざっくり言うと、フランスでは1978年の法律により、人種や民族、宗教に関する統計を取ることが禁じられています。

その背景には「すべての人を平等に扱う」というフランスの理念と、過去のつらい歴史(ヴィシー政権下のユダヤ人迫害)があります。

ただし、研究目的であれば例外的に許可されることもあり、その際は独立機関「CNIL(情報保護委員会)」の承認が必要です。

このあたりの事情を知っておくと、フランスのジョークにもっと笑えるかもしれません。

*****

単一民族国家としての歴史が長い日本では「民族」が話題になることって少ないですよね。国勢調査でも聞かれません。

その点、カナダは多民族国家なので、人種や宗教のデータもきちんと取られていて、いろんな場面で活用されています。






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