2020年の12月24日、交渉期限ギリギリのタイミングで、イギリスとEUが、Brexit後の貿易協定で合意しました。
話し合いで最後までもめていたのは漁業権です。
交渉が成立し、フランスの漁師も、これまでどおり、イギリスの近海でも、漁ができるようになりましたが、さまざまな制限が加わりました。
この点を伝える1分45秒のニュースクリップを紹介します。
タイトルは、Brexit : les pêcheurs entre soulagement et inquiétude(ブレクジット:安堵と不安の中にいる漁師たち)。
Brexit後の漁業権
1分47秒。
トランスクリプション
Cet accord sur la pêche, les marins des deux rives de la Manche l’appréhendaient. Est-ce une éclaircie ? Pas vraiment pour les pêcheurs français qui pourront, certes, demain, continuer à travailler dans les eaux britanniques mais avec beaucoup moins de liberté.
Une diminution des quotas qui sera compensée par un plan d’accompagnement financier.
On va chercher quoi dans les eaux anglaises ?
Un peu de tout : de la raie, du rouget barbet, de l’encornet… un peu de tout.
Là, on vous promet peut-être trente mille euros.
Ouais, c’est une goutte d’eau dans l’océan.
L’accord sur l’épineuse question de la pêche est en tout cas très clair : le Royaume-Uni va retrouver le contrôle de son domaine côtier, de sa zone économique exclusive.
Des eaux qu’elle partageait jusqu’ici avec la France et les autres pays de l’Union.
Ils prélevaient ensemble 760 000 tonnes de poissons par an, soit 650 millions de marchandises.
Avec cet accord, les Européens vont perdre 25 % de leurs prises.
C’est un moindre mal mais évidemment que ces 25 % là ils sont très importants. 25 %, vous vous rendez compte, 25 % sur une entreprise, ne serait-ce que sur un chiffre d’affaires, ça peut être dangereux.
De l’autre côté de la Manche, certains pêcheurs britanniques se sentent néanmoins floués.
Le Premier ministre Boris Johnson avait promis que le Royaume-Uni retrouverait la totalité de la souveraineté de ses eaux territoriales.
Ce n’est pas un bon accord, je pensais que c’était une blague. Passer autant de temps à discuter et aboutir à un pourcentage si bas dans ses propres eaux, c’est bien trop peu.
Pour permettre un changement en douceur, cet accord prévoit une période de transition qui devrait durer jusqu’en 2026, date à laquelle les Européens devront appliquer ces nouveaux quotas.
☆トランスクリプションの引用元⇒Actualité mondiale ☆7 jours sur la planèteの練習問題は2週間ごとに入れ替わるので、トップにリンクしています。
和訳
イギリス海峡をはさんだ両沿岸の漁師たちは、漁業に関するこの合意について気をもんでいました。
事態は好転したのでしょうか?
フランスの漁師にとってはそうとは言えません。確かに、明日も、イギリスの海で仕事を続けることができますが、かなり不自由になります。
割当が減った分は、経済支援で埋め合わせされます。
「イギリスの近海では、何が獲れるんですか?」
「ほとんど全部ですね。エイ、ヒメジ、ヤリイカ、全部です」。
「(政府は)3万ユーロ払うと約束していますよね?」
「ええ、でも、そんなのたいした額じゃありません(大海の中の一滴です)」。
いずれにしろ、漁業権という面倒な問題に関する合意内容は、とてもはっきりしています。
イギリスが、自国の近海のコントロール、つまり独占的な経済圏を取り戻しました。これまで、フランスやほかのEU諸国も、漁をしていた海です。イギリスとEUの国と合わせて、年間、76万トンの漁獲高、すなわち、6億5千万分の商品を獲得していました。
今回の合意により、EU諸国は、漁獲高の25%を失うことになります。
「最悪の事態はまぬがれましたが、それでもよくありません。25%でも、大きな額です。25%、考えてもみてください。企業にとっての25%は、たとえ売上高のうちの25%だとしても、危険が伴います」。
それでも、英仏海峡の向こう側(イギリスのこと)では、だまされたと感じている英国の漁師がいます。
ボリス・ジョンソン首相は、イギリス近海の統治権を完全に取り戻すと約束していました。
「あんまりいい合意じゃないですね。冗談かと思いましたよ。あんなに長い時間をかけて話し合った結果が、自分たちの海なのに、あんなに少ない割合だなんて、少なすぎますよ」
スムーズに、変えていけるように、この合意では、移行期間をもうけており、2026年までに完全に切り替えることにしています。この時までには、EUの国々は、この新しい割当に従う必要があります。
単語メモ
appréhender 懸念する
une rive (海峡の)沿岸
la Manche イギリス海峡
une éclaircie 晴れ間、事態の好転
un accompagnement financier 経済支援
une raie エイ
un rouget barbet ヒメジ rouget は体色の赤い魚の通称
un encornet ヤリイカ
épineux 困難な、やっかいな une épineuse question 面倒な問題
un moindre mal (好ましくない2つの選択肢の中で) まだましな方
flouer だます、だまし取る
en douceur なめらかに、摩擦なく
イギリスの近海は、もともとよい漁場なので、ここにアクセスできなくなるのは、フランス、ベルギー、オランダの漁師にとっては死活問題なので、以前から「どうなるんだろう」と心配の声が聞かれていました。
合意の結果、これまでどおり漁はできるが、いまより、25%減らしてね、となりました。今後5年のあいだに、この割当を実現できるよう、毎年、協議しながらすすめていきます。
ブレクジット後の漁業権、関連動画
Accord post-Brexit : les pêcheurs britanniques s’inquiètent(ブレクジット後の合意:イギリスの漁師は心配している)
1分30秒。
「12マイル内の近海は、イギリスの船のみ、という制限をかけることもできなかった。これではろくに稼げない」と、イギリスの漁師の権利を守る団体の人は言っています。
フランスにしてもイギリスにしても、漁師のふところはきびしいのでしょうね。
漁業はイギリス経済において、たいした額はしめていませんが、EUから脱退するということは、近海の統治権を完全に獲得することである、という象徴的な意味合いがあり、最後までもめていたようです。
イギリスの漁師が魚をとっても、EU諸国に輸出するならば(実際、たくさん輸出している)、最初からフランスの漁師にとらせてしまったほうが、余計な仕事が増えないと思いますが、そういうわけにもいかないのでしょう。
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