先史時代の子どものイラスト

フランス語を読む/聞く練習

先史時代、子どもたちは学校に行ったか?(動画で学ぶフランス語)

France Cultureの科学ミニ番組 Le Fil sciences から、先史時代の子どもたちの学びに関する動画を紹介します。

タイトルは、À la préhistoire, les enfants allaient-ils à l’école ?(先史時代、子どもたちは学校に行ったか?)

教室も先生もなかった時代、人間はどうやって知識を伝えてきたのでしょうか。さらに動画は、なぜ人間の子どもが学ぶことに向いているのか説明しています。

約3分半の短い動画ですが、おもしろい話がぎゅっと詰まっています。

先史時代の学び

3分18秒。フランス語の字幕あり。

動画の内容

先史時代には学校も先生もありませんでした。子どもたちは、親だけでなく、祖父母やおじおばなど大きな親族集団の中で、火の起こし方、道具の作り方、狩りの技術、そして何を食べてよくて、何を食べてはいけないかを学んでいました。

こうした知識は、グループ内にとどまらず、ほかの地域にもすばやく共有されていたようです。その証拠として、約2万年前に登場した、糸を通す穴のある縫い針が、まもなくヨーロッパ中に広まった例が紹介されています。

知識の伝承がいつ始まったのか正確にはわかりませんが、道具や狩猟技術の複雑さを考えると、少なくとも数万年前には行われていたのは確かです。人の行動が複雑になるにつれ、言語がこうした学びを助けたと考えられています。

動画の後半では、人間の子どもが学習に向いている理由が語られます。

人間の赤ちゃんは、チンパンジーなどほかの大型類人猿と比べて、脳がとても小さく未熟な状態で生まれます。生まれた時点で、脳の大きさは成人のわずか25パーセントしかなく、チンパンジーのほぼ半分です。

しかし、まさにこの未熟さが、たくさんのことを吸収できる理由だと動画は説明しています。成長にかかる時間も長く、大人の脳になるまで約20年。チンパンジーの10年未満と比べると倍以上です。この長い成長期間が、人間に豊かな学びの時間を与えてくれるのです。

重要フレーズ

動画の中から、学習のポイントになりそうなフレーズを5つ紹介します。

1. 知識の蓄積(0:10〜)

Les enfants préhistoriques apprenaient vraisemblablement auprès de leurs congénères, c’est comme cela qu’on a accumulé les savoirs au fil des générations.

先史時代の子どもたちは、おそらく仲間の大人たちから学んでいました。こうして、人類は世代をこえて知識を蓄積してきたのです。

vraisemblablement は「おそらく、どうやら〜らしい」という意味の副詞です。確実ではないけれど、状況から判断してそう言えそうだ、というニュアンスがあります。probablement よりもやや堅い響きです。

congénères は、同じ種の仲間たち。動物にも人間にも使えます。

au fil des générations は「世代を経るにつれて」。fil は糸という意味で、時間の流れを糸にたとえた表現です。au fil du temps(時の流れとともに)もよく使います。

2. 知識の共有の証拠(0:55〜)

Très vite, les progrès réalisés par les humains se retrouvent dans toutes les régions qu’ils peuplent, ce qui prouve bien qu’ils partagent leurs connaissances.

まもなく、人類が成しとげた進歩は、人々が暮らすあらゆる地域で見られるようになります。これは、彼らが知識を互いに分かち合っていたことの何よりの証拠です。

se retrouver dans は「〜のあちこちで見られる、あらわれる」。se retrouver は日常でもよく出てくる動詞で、文脈によって意味が変わります。ここでは「見つかる、確認される」という意味ですね。

ce qui prouve bien que は「〜であることをはっきり示している」。ce qui は前の文全体を受けていて、bien が「まさに、確かに」と強調を加えています。

3. 道具の複雑さを根拠に(1:25〜)

Vu la complexité des outils et des techniques, par exemple de chasse, que les humains ont su déployer.

人間が、たとえば狩猟のためなどに使ってきた道具や技術の複雑さを見れば(そのことはよく分かります)。

Vu は「〜を考えると、〜を見れば」という意味で、理由や根拠を示します。文頭に置いて使うことが多く、後ろに名詞や名詞句が続きます。この使い方はプチ文法のコーナーで詳しく取り上げます。

ont su déployersavoir + 不定詞 は「うまく〜する、〜することができた」。単に pouvoir(できる)ではなく、技術や知恵を使って巧みにやり遂げた、というニュアンスが含まれます。

4. 言語と学びの関係(1:37〜)

En fait, vu la complexification des comportements humains au fil du temps et ce qu’il fallait apprendre, on est en droit de penser que le langage a facilité ces apprentissages complexes.

実のところ、時とともに人間の行動がますます複雑になり、学ばなければならないことも増えていったことを考えると、言語はこうした複雑な学びを容易にしてきたのだと考えてよいでしょう。

on est en droit de penser que は「〜と考えて当然だ、〜と考えてよい」。直訳すると「〜と考える権利がある」で、断定を避けつつも根拠に基づいた推論を述べるときに使います。学術的な文脈でよく見かける表現です。

ce qu’il fallait apprendre は「学ばなければならなかったこと」。ce que + il faut で「必要なこと」。

5. 未熟さが強み(2:33〜)

Et c’est bien parce qu’il est plus immature, moins développé, qu’il est plus propice à accumuler de l’apprentissage.

そして、まさにその脳がほかの動物より未熟で、発達しきっていないからこそ、さまざまなことを吸収しやすいのです。

c’est bien parce que … que … は「まさに〜だからこそ…なのだ」という強調構文です。c’est … que で理由の部分をはさんで強調しています。bien が入ることで「ほかでもなく、まさにその理由で」という意味合いが強まります。

propice à は「〜に向いている、〜が起こりやすい」。 un climat propice à la culture(農耕に適した気候)のように使います。

単語メモ

vraisemblablement おそらく、どうやら〜らしい

congénères 同じ種の仲間たち

banc d’école 学校の長机(転じて学校生活)

turbulent(e) やんちゃな、落ち着きのない

confection 製作、作ること

aiguille à chas 糸を通す穴のある縫い針

se répandre 広まる、普及する

souder 溶接する、接合する

propice à 〜に向いている、〜にとって好都合な

emmagasiner 蓄える、ため込む

プチ文法:vu + 名詞で理由を表す

今回の動画には vu を使った表現が2か所出てきました。

Vu la complexité des outils et des techniques…
道具や技術の複雑さを考えると…

Vu la complexification des comportements humains au fil du temps…
時とともに人間の行動が複雑になっていったことを考えると…

vu はもともと voir(見る)の過去分詞ですが、前置詞のように使って「〜を考慮すると、〜を見れば」という意味になります。理由や根拠を簡潔に示したいときに便利な表現です。

後ろには名詞や名詞句が続きます。

Vu la situation, il vaut mieux attendre.
状況を考えると、待ったほうがいい。

Vu son âge, c’est normal.
年齢を考えれば、当然のことだ。

Vu le prix, j’ai renoncé.
値段を見て、あきらめた。

似た表現に étant donné(〜を考えると)があります。意味はほぼ同じですが、vu のほうが短くて口語的です。

Étant donné les circonstances, nous avons annulé la réunion.
事情を考慮して、会議を中止しました。

vu は日常会話でも書き言葉でも使えます。

先史時代の人類・関連動画

子ども向けに先史時代の人類をわかりやすくまとめた動画も紹介します。

タイトルは、Les Hommes Préhistoriques pour enfants(子どものための先史時代の人類)

3分20秒。絵がとてもかわいいです。

先に紹介した動画と合わせて見ると、先史時代の人類が知識を伝え合い、社会を形成していく流れがよく理解できます。

この動画では、人類の誕生から先史時代の暮らしまでを、イラストつきでたどっています。

■人類の始まりと進化

数百万年前、アフリカに現れたアウストラロピテクスは、すでに二本足で歩いていました。続くホモ・ハビリスが石器を使い始め、ホモ・エレクトスは火を発見します。火のおかげで、調理や暖を取ることができるようになりました。

■厳しい環境への適応

ネアンデルタール人は洞窟に住み、寒冷な気候にも適応していました。私たちの祖先であるホモ・サピエンスは、言語を使ったコミュニケーション能力で困難を乗り越え、動物の皮から衣類を作る技術も身につけました。

■社会と文化の形成

人々は集団で暮らすようになり、ルールを作り、歌や踊りを楽しむようになりました。洞窟壁画や装飾品など、芸術的な活動も行っていたことがわかっています。

関連記事もどうぞ

学校に関するフランス語~かわいいフランス語教えます(86)

赤ちゃんに関する単語~かわいいフランス語教えます(81)

フランスの学校食堂 La cantine(カンティーヌ):子どもたちの本音は?

ラントレ:フランスで新学年開始。2017年の学校改革はこんな感じ。

学校からでてきたら:ジャック・プレヴェールの詩を読んでみた

*****

人間の赤ちゃんはチンパンジーに比べて、脳がずっと小さく未熟な状態で生まれてきます。でも、未熟だからたくさんのことを吸収できるというのは面白いですね。最初からある程度できあがっているより、伸びしろが大きいということなのでしょう。

大人になるまでに約20年もかかるのは、学びのための長い準備期間だと思うと、なんだか荘厳な気持ちになります。

それでは、次回の記事をお楽しみに。






模様模様と装飾の世界:かわいいフランス語(163)前のページ

ピックアップ記事

  1. 『星の王子さま』~お役立ちリンク集

  2. 2023年版、フランス語学習用カレンダーの紹介:テーマは「食」

関連記事

  1. フードロス
  2. ベッドで寝ている少年

    フランス語を読む/聞く練習

    睡眠の質をあげる方法。

    睡眠の質を向上させる秘訣を教えてくれる3分のフランス語の動画を紹介しま…

  3. バレンタインデーのイメージ

    フランス語を読む/聞く練習

    バレンタインデーの簡単テーブルコーディネート~フランス語の動画で学ぶ

    バレンタインデーに、ちょっと特別な雰囲気を演出したいと思いませんか?…

  4. ルーブル美術館

    フランス語を読む/聞く練習

    2分で学ぶ、レオナルド・ダ・ヴィンチのプロフィール。

    前回、モナリザ(La Joconde)に関する動画を紹介したので、今回…

  5. 女性ドライバー

    フランス語を読む/聞く練習

    Uber(ウーバー)のドライバーの横顔。

    スイスのUberのドライバーが、自分の生活について語っている1分20秒…

  6. ファストファッション

    フランス語を読む/聞く練習

    ファストファッション:ファッション界の汚れた裏の顔。

    衣類、特にファストファッションが、環境をひどく汚染していることを伝える…

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

スポンサーリンク



ブログをメールで購読

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

218人の購読者に加わりましょう
過去記事はこちらからどうぞ。
PAGE TOP