アメリカン・ゴシック

フランス語を読む練習

アメリカン・ゴシック(グラント・ウッドの絵画)の家族

1930年に、アメリカの画家、グラント・ウッドが描いた『アメリカン・ゴシック(American Gothic)』という油絵について、絵の中の人物である女性がユーモラスに語っているアニメーション動画を紹介します。

タイトルは、La famille American Gothic アメリカン・ゴシック一家

アメリカン・ゴシック

2分11秒。フランス語の字幕があります。

トランスクリプション

Je m’appelle Mary et lui, c’est Bernie, mon père.

Nous habitons tous les deux dans un chalet typique du Midwest des États-Unis.

Il est inspiré par l’architecture néo-gothique.

J’ai dit “inspiré par”. Mais calmez-vous.

La petite fenêtre en arc brisé, ça suffira, non ?

Grant Wood a eu l’excellente idée de nous peindre en 1930, juste après la Grande Dépression et le krach boursier.

C’est l’austérité partout.

Vous imaginez l’ambiance dans le tableau.

Pour créer nos personnages, Grant a choisi sa propre sœur comme modèle pour me donner vie et pour représenter mon père, il a choisi…son dentiste.

Apparemment, sa sœur m’en veut sous prétexte que je serais plus belle qu’elle…ou l’inverse.

Quoi qu’il en soit, nous formons le couple le plus célèbre des États-Unis.

Non. Par couple, j’entends “binôme”.

C’est mon père.

Est-ce que tout le monde peut se mettre ça en tête une bonne fois pour toutes ?

Ma vie est déjà assez sinistre comme ça.

Je m’explique.

Nous rendons hommage aux petites gens qui restent dignes dans la misère.

Nous représentons l’Amérique qui travaille.

Lui, c’est le travail agricole, la fourche portée comme un trophée et le regard autoritaire.

Et moi, je représente le côté disons plus…”domestique” de l’Amérique.

Le bijou sage, les plantes bien entretenues derrière moi, les valeurs protestantes solidement chevillées au corps…

40 balais, vieille fille est coincée avec lui…

l’éclate.

Tiens, si on veut continuer à se marrer…

Vous voyez mon tablier ?

Et bien, vous noterez que son joli motif colonial se retrouve sur les rideaux derrière moi.

C’est chic, non ?

Je suis déjà l’icône de la vieille fille, mais pour être sûre que je ne change jamais de statut, on m’habille dans les rideaux.

Alors oui, évidemment, avec ce titre, “American Gothic”, on ne comptait pas se marrer tous les jours, c’est certain…

C’est pour ça que je regarde ailleurs…

Et pourtant, on a eu des moments festifs…

On est le tableau le plus connu des États-Unis et le plus détourné après “La Joconde”.

Mais elle, au moins, elle a tout le tableau pour elle toute seule.

和訳

私はマリー。そして、こちらはバーニー、私の父よ。

私たちは2人だけで、アメリカの中西部にある典型的な山小屋ふうの家に住んでます。

この家は、ネオゴシック様式の建築の影響を受けているの。

「影響を受けている(inspiré par)」と言ったけど、大騒ぎしないでね。

尖頭アーチ型の小さな窓があれば充分そう言えるでしょ?

グラント・ウッドは、1930年に、私たちの絵を描くという素晴らしいアイデアを思いついたの。大恐慌と株の大暴落のすぐ後のことよ。

どこもかしこも緊縮財政だったわ。

絵の雰囲気を想像してくださいな。

私たちというキャラを作るために、グラントは自分の妹をモデルにして、私を描いたの。父のモデルは、グラントの歯医者よ。

明らかにグラントの妹は、私のことを怒っているわね。だって、私のほうが彼女よりずっときれいだものね。その逆もありうるけど。

いずれにしても、私たちは、アメリカでもっとも有名なカップルなのよ。

カップルといっても、2人組ってことよ。彼は私の父だから。

みんな、そのこと、このさい、頭にちゃんと叩き込めるかしら?

私の人生はすでに、充分暗いんだから。

説明するわね。

私たちは、貧しくても清く生きている庶民へのオマージュなのよ。

働くアメリカ人を表しているの。

父は、農夫で、ピッチフォークをトロフィーのように持って、権威的な視線をしてるわ。

私はその横で、そうね、アメリカの「お手伝いさん」って感じ。

控えめなアクセサリーをつけて、うしろには、たくさんの植物があって、プロテスタントの価値観がしっかりと体にしみついてるわ。

40歳の年取った娘が、父のとなりで動かないの。

パチパチパチ。

そうそう、おもしろいことがあるのよ(←もし、私たちが楽しむことを続けるなら)。私のエプロンを見て。コロニアルモチーフのきれいな柄は、うしろの窓のカーテンにも使われているのよ。

シックよね?

私はすでに、とうのたった娘(オールドミス)のイコンだけど、身分が決して変わらないように、ダメ押しで、カーテンを着せられているわけ。

ええ、そうよ。もちろん、この『アメリカン・ゴシック』というタイトルで、毎日楽しもうとは思ってないわよ。

それは確か。

だから、私、よそ見をしているわけ。

でも、私たちにも、華々しい時はあったの。私たちは、アメリカでもっとも有名な絵画で、モナリザの次に、パロディが多いのよ。

でも少なくとも、モナリザは、1人で絵の中におさまっているわね。

単語メモ

un arc brisé  尖頭アーチ、尖り(とがり)アーチ。

un krach bousier  株の大暴落

une austérité  (財政の)引き締め、緊縮

binôme  2項式

se mettre en tête de  ~と確信する、思い込む

Je m’étais mis en tête que je raterais mon examen. 僕は試験に落ちると覚悟していた。

une bonne fois pour toutes  1度は、これを最後に、きっぱりと

sinistre  陰うつな

une misère  極貧、貧困

l’Amérique  アメリカ大陸、アメリカ合衆国

une fourche  農業用フォーク

un regard  視線、まなざし

disons  たとえば、つまり、言ってみれば

domestique  召使い、使用人、お手伝い

chevillé  釘打ちされた、ボルトで締められた

balai  年、年齢(スラング)

éclater 感情が爆発する、わっと声をあげる、激怒する

se marrer  笑い転げる、楽しむ

un statut  (社会的)地位、身分

détourné  方向を変えられた、流用された

☆以下は、アニメーションの中に出てきた単語です。

en CDI = en contrat à durée indéterminée 期限なし雇用契約の

dégaine  おかしな格好(歩き方、態度)

~~~~

Par couple, j’entends “binôme”.

このentendre は「意味する、言おうとする」という意味です。

Qu’est-ce que vous entendez par là ?  それはどういう意味でしょうか?

アメリカン・ゴシックの説明

まじめに絵画について語っている動画です。6分19秒(英語)

画家のグラント・ウッドは、アイオワでとある家を見て、この家に住んでいそうな人を想像して絵を描いたそうです。

農夫の父親と娘ですが、この2人を夫婦だと思っている人もたくさんいます。

絵画のタイトルは、後ろの絵の建築様式から取られています。

娘のモデルはグラントの妹の、ナンで、父親のモデルは彼の歯医者さん。

この絵は、20世紀のアメリカの絵画の中で、とても有名なものの1枚で、アメリカのポップカルチャーで、たくさんのパロディが作られています。

絵は、シカゴ美術館に展示されています。

2つめの動画で言っていたように、絵の解釈はいろいろあります。

2人の表情が、パワフルでありながら、微妙で、怒っている、喜んでいる、困っている、あきらめている、誇りを持っている、などなど、いかようにも解釈できます。

見ている人によって、感じ方はさまざまですね。

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いま見ると、この女性の身につけているカメオやエプロンは、なかなかかわいくてシックですね。

家の中もきれいに整えられているのでしょう。






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