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フランスの首相は何をやる人なの?

2020年の7月3日に、エドゥアール・フィリップ首相とその内閣が総辞職し、マクロン大統領は、新しい首相として、ジャン・カステックさんを任命しました。

フランスの大統領は有名ですが、首相が誰なのかとか、大統領と首相の両方いるんだ、ということは、外国の人はあまり知らないもしれませんね。

フランスの首相の仕事を子供むけにざっくり簡単に説明している、1 jour 1 question のアニメーションを紹介します。

タイトルは、A quoi sert le premier ministre ? (首相は何のためにあるのか?)

フランスの首相の仕事って?

2017年にアップされた動画なので、明らかに、エドゥアール・フィリップ首相の絵になっています。

1分42秒

トランスクリプション

Aussitôt élu, le président de la République française nomme son Premier ministre. Sa mission est de taille : il est chargé de mettre en œuvre le projet du président pour améliorer la vie dans le pays. Et le Premier ministre fait ça tout seul ?

Non. En tant que chef du gouvernement, il s’entoure d’une équipe de ministres. École, culture, économie, santé, écologie… chacun a sa spécialité. Et chacun a des objectifs, fixés par le Premier ministre, qui doit parfois arbitrer entre les différents membres du gouvernement. Par exemple, pour répartir le budget : la somme d’argent que chaque ministère aura pour travailler.

Mais le Premier ministre ne prend pas seul toutes les décisions. Il doit aussi rendre compte de ses actions ! D’abord, devant le président de la République, lors du Conseil des ministres, qui a lieu chaque mercredi au palais de l’Élysée. Mais aussi devant les citoyens français, représentés par les parlementaires.

Plusieurs fois par semaine, ses ministres et lui se rendent au Parlement pour répondre aux questions, participer aux débats et faire des propositions de loi. S’il passe beaucoup de temps à Matignon, où il vit et travaille, le Premier ministre doit aussi voyager dans toute la France pour observer ce qui s’y passe.

Son rôle est de trouver des solutions aux problèmes que rencontrent les Français aujourd’hui, mais il doit aussi anticiper ceux de demain !

トランスクリプションの引用元はこちら⇒À quoi sert le Premier ministre ? – 1jour1actu.com – L'actualité à hauteur d'enfants !

和訳

選出されるとすぐに、フランス共和国の大統領は、首相を任命します。

首相の仕事は、とても重要です。大統領のプロジェクトを実行に移すことを担当し、国民の生活をよくします。

でも、首相が1人で行うのでしょうか?

違います。政府のトップである首相のまわりには、大臣のチームがいます。

教育、文化、経済、健康、環境など、各自がその道の専門を持っています。

また、それぞれが、首相が決めた目的を果たすことになっています。首相はときには、意見の合わない政府(内閣)のメンバーを仲裁しなければなりません。

たとえば、予算の分配のとき。予算とは、それぞれの大臣が仕事をするために使うお金の額です。

でも、首相が1人で、さまざまな決定を行うわけではありません。

彼は、その行動(決断)について、説明する義務があります。

まず、毎週水曜日にエリゼ宮で行われる閣議において、大統領の前で。

そして、議員によって代表されているフランス市民の前でも。

週に何回か、内閣の大臣と首相は国会に出向き、さまざまな質問に答え、討議に参加して法律案を提案します。

住まいで仕事場でもあるマティニョン館にいることが多いですが、フランス国中をまわり、何が起きているのか視察もしなければなりません。

首相の役割は、いま、フランス国民が直面しているたくさんの問題の解決策を見つけることであり、同時に、将来を見越すことです。

単語メモ

mettre en œuvre  ~を実行に写す、~を用いる、利用する

repartir  ~を分配する

un Conseil des ministres  大統領主催の閣議

parlementaire  国会議員、代議士

le Parlement  国会、議会 ☆フランスには、le Sénat 元老院(乗員)と、l’Assemblée nationale 国民議会(下院)がある。

un débat  討論

Matignon マティニョン館。パリ、ヴァレンヌ街にある館。首相官邸。

フランスの大統領と首相の違い

大統領と首相の役割の違いを説明している1分半の動画です。

1分37秒。フランス語の字幕がついています。

動画の内容をまとめると、

大統領が1人でできること:

・首相を任命

・国民議会の解散を決められる

・国民投票を開催できる

・大統領主催の閣議の議長と、3人の議員を任命

・憲法評議会(Conseil constitutionnel)に提訴(審査請求)できる

・国家の危機にさいして、憲法16条にのっとり、絶対的な権力(pleins pouvoirs)を持てる

一方で、内閣の大臣の任命や、行政命令(ordonnances et décrets)に署名するさいには、大統領は、首相の同意を得る必要があります。

恩赦を出すときも、首相や、法務大臣の許可が必要です。

最初に紹介した動画で言っていたとおり、大統領のプランを実行にうつすのが首相の役割で、たとえば、「こんな年金制度にしたい」、と大統領が決めたら、そうなるように、予算を獲得したり、そうなるような法案を通すのが首相の仕事です。

大統領は共和制であるフランスの最高元首(一番えらい人)で、国民の直接選挙で選ばれます。

首相は、行政のリーダーです。

大統領は、外交を担当し、首相は内政を行うという役割分担になっています。

現在、第5共和制なのですが、この制度になってから、大統領の権限が強くなりました。

cohabitation というのは、大統領と首相の政党が違うときに、ともに政治をすることです。

通常、国民議会で議席をたくさん持っている政党のリーダーを首相に任命するので、大統領と首相の政党が違うときがあります。

なお、大統領がいる国には、それより偉い人(王様とか)はいません。

大統領と首相がいる国でも、その役割は、国によって違います。

フランスでは、大統領の権限が強いですが、ドイツの大統領は行政にあまりかかわっていないので、私たち外国人は、メルケル首相は知っていても、大統領は誰か知らない、ということが起きます。

■エドゥアール・フィリップのお別れの言葉

2分3秒。

となりに立っているのが、新しい首相である、Jean Castex さんです。

■関連記事もどうぞ

2017年フランス国民議会選挙は、マクロン大統領の政党が過半数を超える議席を獲得。

フランスの大統領官邸、エリゼ宮のちょっとおもしろい話。

きっすいの政治家、シラク元フランス大統領、86歳で亡くなる

=====

エドゥアール・フィリップさんが首相をやめた理由は不明ですが、マクロン大統領が、ラントレ(9月)から心機一転して、残りの任期の2年を新体制にしてがんばりたいと思ったから、などと説明されています。

コロナ禍のとき(今もそうですが)、エドゥアール・フィリップ元首相は、手さばきがよかったのか(よく知りませんが)、最近、マクロン大統領よりも人気があがっていました。

それをマクロン大統領が嫌ったのではないか、とも言われています。この点について、フィリップさんは否定しています。

コロナのような国家的な危機に見舞われたとき、どこの国のリーダーもふつうは支持率をあげるものです(リーダーと国民が共通の敵とたたかう構図になるため)。もちろんそうならないリーダーもいます。

カナダのトルドー首相とその政党である自由党は、支持率をあげました。彼は、minority government (国のトップの政党の議員が過半数いない内閣)を率いていますが、いま、総選挙が行われれば、自由党が簡単に過半数を取るであろう、と言われています。

トルドー首相が嫌いなコラムニストも、「彼は嫌いだけど、でもまあよくやっている」と言っていました。

私の目から見てもがんばっていたと思います。






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コメント

  • コメント (2)

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    • ジョルジュ
    • 2020年 7月 06日 8:16am

    penさん
    素晴らしく充実したブログを初めて拝見しました。フランス語学習意欲と愛は、勲章ものです。
    あなたのブログを発見したのは、学生に戦後フランスを教えるにあたり、シルヴィ・ヴァルタンを柱にして、移民国家の姿と
    その背景にあるヨーロッパ20世紀政治を説明できるかと考えて、ネットサーフしてのことです。2年以上前のブログでヴァルタンを紹介してありました。フランス語学習する学生にも紹介したいと思いましたので。ヴァルタンのことをぴったり正確に言い当てていると感じました。でも一点だけ意見が違ったのは、マリ・ミリアム?版の方が歌の良さが出ていると指摘されていたこと。いい歌手です。でも、私はゴモゴモ歌う若きヴァルタンの色香にしびれます。今の彼女を思うと、若さ、青春、その時代、たくさんのものを届けてくれる若きヴァルタンの歌いぶり。PENさんのようなフランス語先生を前に申し訳ないのですが、そこだけ異論でございました。またお邪魔させていただきます。

      • pen(フランス語愛好家)
      • 2020年 7月 06日 8:42am

      ジョルジュさん

      はじめまして。
      コメント、ありがとうございます。

      ブログがお役にたてば何よりです。

      歌や歌手の好き好きは、個人的なものなので、
      私と合わなくても、まったく問題ありません。

      それと、私はフランス語の先生ではなく、
      趣味でだらだら学んでいるだけなので、
      フランス語の説明も間違っていたりすることも多分にあるため
      その点はご容赦願います。

      それでは、今後ともよろしくお願いいたします。

      コメント、ありがとうございました。

      pen

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