美術館

フランス語を読む練習

サルバトール・ムンディ(ダ・ヴィンチ、最後の作品)の謎

サルバトール・ムンディ(救世主、という意味)は、レオナルド・ダ・ヴィンチが一番最後に描いた絵です。

この絵は、1490年から1519年ごろ、ダ・ヴィンチが描いたとされる油彩画です。1763年以降1900年まで行方不明となっていました。

2005年にオークションで、美術作品としては史上最高額の約500億円で落札されたものの、そのときは、誰が落札したのか、所有者は誰か、どこにあるのかわかりませんでした。

現在はサウジアラビアにあると考えられています。

今回は、このサルバトール・ムンディの謎をとりあげた動画を紹介します。

2019年10月27日にFrance 2で放映された番組の冒頭のクリップです。



サルバトール・ムンディの謎

トランスクリプション

Il y a dans ce tableau une histoire d’art et des histoires d’argent, de diplomatie et de religion.

Le Salvator Mundi est une énigme. Pourquoi la peinture la plus chère au monde est-elle portée disparue depuis deux ans ?

Depuis que ce Christ attribué à Léonard de Vinci a été vendu chez Christie’s. C’était le 15 novembre 2017, aux enchères à New York.

400 millions de dollars, 338 millions d’euros, c’est vendu !

Premier mystère et non des moindres, personne ne sait avec certitude qui est l’acquéreur. Son identité est dissimulée derrière des intermédiaires.

Les Émirats arabes unis en ont bien revendiqué la propriété, sans convaincre. Ils avaient promis l’œuvre dans leur musée du Louvre Abou Dhabi mais elle n’y a jamais été exposée.

Alors une autre théorie s’est développée.

C’est en fait dans le pays voisin que se trouverait l’acheteur, en Arabie saoudite. Il s’agirait de Mohammed ben Salman, prince héritier tout-puissant.

Celui-ci n’a jamais confirmé, ni démenti, alors nous sommes allés poser la question directement à l’un de ses conseillers, amusé d’entretenir le mystère.

Dites-moi où est le tableau, je serais ravi. Vous ne le savez pas ?

J’adorerais le savoir !

Vous ne l’avez jamais vu dans un palais du prince ?

Ben non, je ne sais pas moi, je ne l’ai jamais vu !

Les pistes les plus folles sont évoquées. L’œuvre ornerait l’un des plus grands yachts du prince en attendant la construction d’un gigantesque centre culturel en Arabie saoudite.

Mais d’autres spécialistes avancent une thèse religieuse.

Près de Lyon, dans ce musée à l’ambiance apocalyptique, nous avons demandé l’avis de cet expert du marché de l’art.

Selon lui, le propriétaire du tableau ferait l’objet de pressions. Les plus grands théologiens sunnites lui auraient déconseillé de l’exposer en terre d’Islam.

Ce tableau pose un problème, c’est que c’est le Christ Rédempteur. Et, à ce titre, ça ne peut pas aller parce qu’il est effectivement… Il porte le globe, on le voit, il porte un globe dans sa main et donc effectivement, il incarne Dieu, ce qui est contraire complètement à la religion musulmane.

Une œuvre introuvable, invisible, et ce n’est pas son dernier secret. Le Salvator Mundi a-t-il vraiment été peint par Léonard de Vinci ? Même son authenticité est contestée.

En 2011, la National Gallery de Londres a certifié le tableau malgré des avis contradictoires d’experts. Cet historien de l’art a publié une enquête, il y fait part de ses nombreux doutes.

Vous ne pouvez pas dire si ce visage, par exemple, est le fruit d’un travail de restauration ou du génie de Léonard de Vinci.

Le Salvator Mundi était si endommagé quand il a été retrouvé en 2005, qu’il est impossible de savoir ce qui a été peint par Léonard de Vinci lui-même ou par ses élèves.

Et si le Salvator Mundi restait caché pour ne pas être démasqué ? Et si son propriétaire craignait l’humiliation d’avoir acheté un faux ?

Le Louvre à Paris souhaitait l’inclure à son exposition, notamment pour l’expertiser. C’est pour l’instant d’une réplique dont les visiteurs doivent se contenter.

和訳

この絵には芸術の歴史とお金にまつわる話があり、それは外交と宗教に関係があります。サルバトール・ムンディは、「なぞ」なのです。

なぜ、この、世界でもっとも高額な絵画の1つは、10年前から行方が知れないのでしょうか?

レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたこのキリストの絵がクリスティで売られたときから。それは、2017年11月15日、ニューヨークでのオークションでした。

「4億ドル、3億3800万ユーロ、売れました」。

最初のなぞは、決して小さなものではありませんが、誰がこの絵を買ったのか、誰も確かには知らなかったことです。

その正体は、仲介者の影に隠されていました。アラブ首長国連邦が所有していると主張しましたが、確かではありません。

アラブ首長国連邦は、この傑作をルーブル・アラブ美術館に展示すると約束しましたが、実現しませんでした。

そこで、別の解釈が持ち上がりました。

この絵を買った人は、となりのサウジアラビアにいるという説です。ムハンマド・バン・サルマン、強大な権力の後継者である王子(皇太子)がその人です。

これは、未確認ですが、否定もされていないので、私たちは王子の側近の1人に直接聞いてみました。彼は謎のままにしておくのを楽しんでいるかのようでした。

「あの絵はどこにあるのか話してくれるとうれしいのですが。ご存知ありませんか?」。

「私こそ、知りたいですね」。

「王子の宮殿で見たことはありませんか?」

「いいえ、知りません。全く見たことがありません」。

途方もない手がかりが出てきました。この傑作は、王子のもっとも大きなヨットに飾られて、サウジアラビアの巨大な文化センターの完成を待っているというのです。

しかしべつの専門家は、宗教的な説を主張します。

リヨンの近くの黙示録のような雰囲気のある美術館で、芸術市場のエキスパートの意見を聞きました。

彼によると、この絵の所有者は、強い圧力を受けているということです。スンナ派のもっとも偉大な神学者が、所有者、にこの作品をイスラム教の土地に飾らないほうがいいと助言したらしいのです。

「この絵には問題があります。これは、キリストで贖い主です。だから、ありえないのです。つまり、キリストが水晶玉を持っています。手で天球を持っています。この絵は神そのものを描いたものであり、それは、イスラム教の教えとは、完全に矛盾するのです」。

どこにあるかわからず、見ることができない傑作ですが、秘密はそれだけではありません。

サルバトール・ムンディは、本当にレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた絵なのか? 本物かどうかも疑われています。

2011年、ロンドンのナショナル・ギャラリーは専門家に異論があるのにもかかわらず、これはダ・ビンチの作だと認めました。

この美術史家は、調査したことを出版し、数々の疑惑を発表しました。

「たとえば、この顔は、修復してできた結果なのか、レオナルド・ダ・ヴィンチの天才が作り出したものか、わかりません。

サルバトール・ムンディが2005年に再発見されたとき、ひどく傷んでいたので、ダ・ヴィンチ自身が描いたのか、弟子が描いたのか判別することは不可能なのです」。

もしサルバトール・ムンディが正体を知られたくなくて隠されているとしたら。もし、その持ち主が、偽物を買ってしまったことが知られるのを恐れているとしたら。

パリのルーブル美術館は、この作品を展示品に加えたいと願っていました。とくに、それを鑑定するために。

今のところ、観客は、レプリカで満足しなければなりません。



単語メモ

énigme  なぞ

être porté à qc/inf  ~する傾向がある

et non des moindres  それも決して小さなものではない

avec certitude  確信を持って、確実に

dissimulé  隠された

Les Émirats arabes unis  アラブ首長国連邦

revendiquer  ~を我が物と主張する

démentir   否定する

avancer  ~と主張する

sunnite  イスラム教のスンナ派

théologien  神学者

Rédempteur  贖(あがな)い主(イエス・キリスト)

à ce titre  そのような理由で

introuvable  発見できない、見つからない;めったにない、貴重な

contesté  反論/異論を呼ぶ、疑問の余地がある

fait part (à qn) de qc   (~に)~を知らせる、発表する

pour l’instant  さしあたり、今のところ

☆イスラム教では、キリストは預言者の1人であり、偶像崇拝してはいけないことになっています。

☆ナショナル・ギャラリーは科学的な技術を使って、ダ・ヴィンチ作かどうか調べましたが、そのとき専門家5人の意見を聞き入れなかった、と言われています。5人のうち2人は、ダ・ヴィンチの作だと言い、1人は違うと言い、残り2人はわからないと言ったそうです。

この絵はダ・ヴィンチが描いたものではないかもしれないし、また、今どこにあるのかも、はっきりは、わかっていない、ということです。

サウジアラビアの王子のヨットに乗っているかもしれませんが、ヨットなんかに乗せていたら、湿気で絵が傷んだりしないんでしょうか?

かなり修復されたのですが、それが、もともとの作品を台無しにしてしまった、という声もあります。

親指の位置とか、水晶玉の描き方とか、専門家は細かいところで、いろいろ議論しています。

まあ、500年以上前に描かれたものなので、本当のことは想像しかできないのかもしれません。

去年の秋から、2月24日まで、ルーブル美術館では、ダ・ヴィンチ没後500年を記念する展示会をしましたが、この作品は展示されませんでした。

■レオナルド・ダ・ヴィンチ関連の過去記事もどうぞ■

2分で学ぶ、レオナルド・ダ・ヴィンチのプロフィール。

レオナルド・ダ・ヴィンチ、天才のひらめき

モナ・リザのプロフィール、またはその謎。

******
Salvator Mundi は、Saviour of the World のラテン語です。Saviour は救世主でありキリストのこと。

イスラム教を信仰している国の王族が、キリストの絵を買うって不思議ですね。投資のひとつでしょうか? それとも500年以上の歴史の重みを感じるためでしょうか?

ダ・ヴィンチ自身の作品でなかったら、値段は下がりますね。

なお、この動画は、TV5MONDE の 7 jours sur la planète の練習問題の1つになっていたものです。

Actualité mondiale

トランスクリプションはそのときコピペしました。






カーニバルマルディグラ(カーニバル)の起源とお祝いの仕方(2020年版)前のページ

うるう年はなぜあるの?(簡単なフランス語の説明)。次のページfevrier 29

ピックアップ記事

  1. 『星の王子さま』~お役立ちリンク集
  2. ぜんぶ無料:あなたのフランス語学習に役立つサイト16選
  3. 2020年版、フランス語学習用カレンダーのレビュー。

関連記事

  1. クリスマスツリー

    フランスの暦、年中行事

    クリスマスツリーはいつ、どうやって処分する?

    こども新聞(le Journal de Enfants)でツリーの処分…

  2. ハロウィンを楽しむ子どもたち。

    フランス語を読む練習

    お菓子と仮装が好きな人のためのお祭り、ハロウィンの起源とは?

    すでに日本は11月ですが、北米ではこれを書いている今が10月31日です…

  3. 夜間飛行

    フランス語を読む練習

    ちあきなおみ「夜間飛行」に出てくるフランス語

    「夜間飛行」という歌をご存知でしょうか? ちあきなおみ(歌手の名前です…

  4. フォーチュンクッキー

    フランスのお菓子

    フォーチュン・クッキーとは~作り方つき

    全国的にAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」という曲が流行ってい…

  5. 著作権について学ぶpen

    フランス語を読む練習

    ブログと著作権法について その4

    著作権について考えるきっかけになる、こども新聞の記事の和訳の続きです。…

  6. セーター

    フランス語を読む練習

    2014年秋冬のファッションのトレンドその2~シックな山ガール

    2014年-2015年秋冬ファッションのトレンドの記事、2回めです。…

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

新しく書いた記事です。

  1. フランスを代表する漫画、アステリックスの人気の秘密
  2. マクロン大統領の15日間の外出禁止令(抜粋)
  3. T’as vu (見えるでしょ)クリオ:歌と訳詞…
  4. セントパトリックデー(聖パトリックの祝日)の由来。ラッキーア…
  5. なぜ13日の金曜日は運がいいとか悪いとか言われるのか?
  6. やさしさ、思いやりに関する言葉:かわいいフランス語教えます(…
  7. 国際女性デーが生まれた背景とは?
  8. 勝手にしやがれ:予告編のフランス語(初心者向け)
  9. 3月の第1日曜日は、『祖母の日』。この日、フランス人は何をす…
  10. うるう年はなぜあるの?(簡単なフランス語の説明)。

更新情報をメールで配信中

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

おすすめ記事いろいろ

  1. 代名動詞の複合過去:「まいにちフランス語」32:L54 
  2. さじを投げてはダメ!フランス語のことわざ29
  3. 映画『プチ・ニコラの夏休み』がフランスで公開 前編
  4. フランスの母の日は、5月の最終日曜日。こんな経緯で生まれまし…
  5. フランス語のことわざ67~人は、実のなっている木にだけ石を投…
  6. 性数一致がややこしすぎる tout とその仲間のまとめ
  7. En noir et blanc(白黒で)Séverin:歌…
  8. 謎のマレーシア航空370便の海中捜査打ち切り
  9. アンディ~リタ・ミツコ(歌と訳詞)
  10. 親指太郎ってどんな話?「プチ・ニコラ」予告編のフランス語(後…

おすすめのまとめ記事

  1. フランス語のニュースの記事のまとめ(4)
  2. ラジオ講座「まいにちフランス語」関連記事の目次~その2(1課…
  3. 『不思議の国のFrance』関連記事の 目次その3
  4. かわいいフランス語、教えます~目次 その3
  5. バレンタインデーとチョコレート関連記事の目次
  6. 2013年4月開講のNHKのラジオ講座のラインナップ
  7. フランス語のニュースの記事のまとめ(3)
  8. ファッション、モード、おしゃれに関する記事の目次(3)
  9. 歌の訳詞を書いている記事の目次~その3
  10. フレンチポップスの訳詞をしている記事のまとめ:その5

フランス語の勉強法とか

  1. 星の王子さまの本
  2. 日めくりとpen
  3. 黒板

スポンサーリンク



お問い合わせはこちらから

お問い合わせはこちらからどうぞ

封筒
⇒お問い合わせフォームへ


お気軽に^^

☆和文仏訳、仏文和訳の無償サービスは行っておりませんので、ご了承願います。

アーカイブ

PAGE TOP