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2019年のノーベル文学賞発表、2人の受賞者が象徴するもの。

2019年のノーベル文学賞の受賞者について、感想を述べているFrance Cutureの動画を紹介します。

去年(2018年)はノーベル文学賞を選考するアカデミーで、スキャンダルがあったため、受賞者は発表されず、今年は、2018年と2019年の分を合わせて発表されました。

2018年の受賞者は、オルガ・トカルチュクというポーランドの作家で、2019年の受賞者は、ペーター・ハントケというオーストリアの作家です。

この結果について、特に、ハントケ氏について、フランスの作家でジャーナリストの、 Charles Dantzigという人が語っています。



2019年ノーベル文学賞について

フランス語の字幕つきの動画です(表示・非表示を選べないタイプの字幕です)。

4分25秒。

スクリプト

C’est une mascarade pour laquelle je suis tout à fait moi. Parce que le prix Nobel dans un monde où la littérature et si peu regardée de nos jours, ça attire un éclairage admirable sur elle et elle a bien besoin de ça.

Ils sont intéressants parce que ce sont d’une part deux auteurs très littéraires, alors qu’on était dans une période un peu plus journalistique et avec Dylan dans la chanson est d’ailleurs moi j’étais tout à fait pour Dylan.

Donc on revient à une littérature de facture plus classique mais en même temps, ça n’est pas aussi conservateur que la forme pourrait le laisser supposer car ce sont deux Européens de l’Est et deux Européens de gauche.

J’excepte les prises de position de Péter Handke sur Milosevic qui étaient tout à fait étrange.

Mais quand même, cela signifie quelque chose c’est-à-dire que la polonaise Tokarczuk est un auteur qui n’est pas provincial dans le meilleur sens du terme car la literature polonaise et souvent enfermée dans des problématiques très locales et où elle se regarde elle-même et donc elle, est ouverte sur le monde.

Et ça veut dire que là, le prix Nobel fait aussi un geste politique en disant à un pays qui devient de plus en plus réactionnaires qu’il y a autre chose dans le monde.

Et pour Peter Handke, on sait très bien ce qu’il représente c’est-à-dire une certaine pensée de gauche qui n’existait plus depuis les années 70

On me demandent toujours: « Est-ce que vous écrivez toujours ? » Parce que à partir de 70 ans je crois les gens pensent qu’on s’arrête comme un cheminot. Je ne sais pas mais bien sûr, c’est seulement ma profession c’est de continuer jusqu’au moment où il n’y a plus de souffle, où il n’y a plus de joie, ou plus de détresse.

Il ne faut pas oublier que Peter Handke est déjà un auteur très connu et très célèbre.

Il a connu la célébrité dans les années 70 déjà. C’est un Autrichien qui a vécu en France qui vit en partie en France qui parle le français, et qui a écrit des romans en particulier qui sont restés dans la mémoire des gens.

Je pense à deux titres très connus qui sont L’Angoisse du gardien de but au moment du penalty et La Femme gauchère, dont on a d’ailleurs tiré un film.

Donc c’est un auteur qui écrit des romans plutôt tendus, secs parfois un peu décharnés et qui a écrit aussi des pièces de théâtre.

Donc (il) crée une œuvre depuis très longtemps, de manière assez retirée.

Il ne faut pas oublier que c’est un prix occidental avant tout. C’est un prix qui est donnée par des Suédois, d’un pays capitaliste, et que même s’ils donnent des prix à des auteurs de gauche c’est quand même un auteur qui représente la partie occidentale du monde.

Par exemple ils ont donné le prix Nobel de littérature à Soljenitsyne et Soljenitsyne en réalité n’était pas un grand écrivain mais c’est un grand opposant au goulag, du temps où l’URSS existait et ça c’était un signe de l’occidentalité du prix Nobel.

Sartre a refusé le Prix Nobel par une espèce de cabotinage et d’espièglerie qui le caractérisait qui était d’ailleurs assez sympathique mais je trouve ça un peu puéril.

Il est arrivé à William Faulkner par exemple, le grand écrivain, le grand romancier américain, William Faulkner d’avoir le Prix Nobel.

Il n’était pas très content. Mais il s’est quand même rendu à la remise du prix en écrivant à une amie une lettre très charmante où il dit: « Quand on ne respecte pas les règles de civilité, on a honte pour le restant de ses jours.»

On vit dans la société, et un prix est là pour nous dire : « Écrivain, tu existes dans la société ».

Je crois que la postérité, ça n’existe pas. et c’est jugé par des hommes et les hommes peuvent se tromper. Et d’ailleurs la postérité est fluctuante et l’a toujours été.

Si nous étions en 1700 et que vous me parliez de Shakespeare je vous dirais : « Mon dieu, plus personne n’en parle, c’est bien oublié. » la postérité, ça n’existe pas.

Personne, aucune autorité, aucun professeur ne peut dire « Tel auteur sera là pour l’éternité. »

Et tant mieux, parce que les écrivains sont dans la vie.

和訳

文学的な評論は抽象的なので、自分でもあまりうまく訳せていない気がします。まあだいたいこんなことを言っているんだな、ぐらいに思ってください

ノーベル文学賞は仮面舞踏会みたいなものです。文学がほとんど注目されない現代社会で、文学に光を当てますし、文学は光を求めていますから。

おもしろいのは、2人の作家は、とても文学的だということです。その前は、ジャーナリズムよりでしたね。ボブ・ディランの歌が評価されました。私は、彼の受賞には大賛成でしたが。

そんなふうに、より古典的な文学に戻ったのですが、それは見かけほど保守的な動きではありません。受賞者2人は東ヨーロッパの、しかも社会主義の国の人間ですから。

ペーター・ハントケ氏のミロシェヴィッチに対する見解は除外します。これはまったく奇妙なことです。

ですが、それでもこの受賞は意味があります。ポーランド人のトカルチェクは、いい意味で地方の作家ではありません。ポーランドの文学は、しばしば、閉じられた内輪の世界でしたが、トカルチェクは、世界に向けて書いています。

このことは、ノーベル文学賞が、政治的な行為であることを意味します。この世界にはほかのこともあるんだと、ますます反動的になっているある国に語っているのです。

ペーター・ハントケについては、彼が、1970年代以降はもう存在していない、ある社会主義の考えを代表していることは誰もが知っています。

///ハントケ氏の2014年のインタビュー////

皆にいつも聞かれます。「まだ書いているのか?」と。1970年以降、みな、鉄道員であることはやめたと、人々は思っているのですから。まあ、よくわかりませんが。

もちろん、これが私の唯一の仕事ですからね。息ができなくなるまで続けます。喜びや苦悩がなくならない限りは。

////

ペーター・ハントケがすでにとても有名な作家であることを忘れるべきではありません。

70年代にすでに名声を得ていました。彼はオーストリア人で、フランスに住んでいます。フランスに住み、フランス語を話します。彼は、特にメモワール(人々の思い出)を小説に書いています。

特に有名な2つの作品があります。L’Angoisse du gardien de but au moment du penalty(ペナルティキックを受けるゴールキーパーの不安)と、La Femme gauchère(左ききの女)で、この作品は映画にもなりました。

緊張感のある、ドライで、ちょっと殺伐とした作品を書く作家で、戯曲も書いています。

彼はずいぶん長い間、作品を書いています。引きこもって仕事をしています。

ノーベル文学賞は、何よりも西洋の賞だということを忘れてはなりません。

資本主義の国であるスウェーデン人が授与する賞です。だから、たとえ社会主義の国の作家に賞を与えても、賞を受けた作家は、あくまで世界における西洋というものを象徴しています。

たとえば、彼らは、ソルジェニーツィンにノーベル文学賞を贈りましたが、実際は、ソルジェニーツィンは偉大な作家ではありません。しかし、彼はソ連の政治体制に対する偉大な反対者でした。ソ連が存在していた時代の話です。このことが、ノーベル賞が西洋のものであることを表しています。

サルトルは、ある種の気取った演技といたずらっぽさをもって、ノーベル賞を拒否しました。それは彼の性格を表していて、感じがいいですが、ちょっと子供じみているようにも思います。

アメリカの巨匠、ウィリアム・フォークナーが、ノーベル賞を受賞しています。

彼は、さほどうれしくは思っていませんでした。それでも授賞式に出席しました。フォークナーは、友だちにこんな魅力的な手紙を書いています。「礼儀作法を無視すると、残りの生涯ずっと恥ずかしい思いをするからね」。

私たちは社会の中で生きていて、ノーベル賞はその社会にあり、「作家よ、きみは社会の中に存在しているのだ」と伝えるのです。

私は後世に残る文学というのは存在しないと思います。それは人間によって判断されますし、人は、間違いをおかすものです。

後世に残る文学は、変動しますし、これまでもずっとそうでした。

もし、いまが1700年で、みなさんが私に、シェークスピアの話をしたら、私は、「誰もシェークスピアの話なんてしないよ。すっかり忘れ去られるさ」と言うでしょう。

後世に残る文学は存在しないのです。

誰も、どんな機関も、どんな先生も、「この作家は永遠に生き続ける」とは言えません。

でもそれでいいのです。作家たちは、日常の中に存在するものだからです。



単語メモ

éclairage  照明、ライティング

détresse  (孤独感、無力感による)苦悩

décharné  荒涼とした、無味乾燥な

retiré  引退した、引きこもった

goulag  (ソ連の政治犯などの)強制収容所、抑圧的政治体制

une espèce de   ~のような、一種の…

cabotinage  (大根役者の)気取った[大げさな]演技;芝居がかった所作、気取り

espièglerie  いたずらな(性質)

puéril  子供のような、子供じみた

civilité  礼儀作法

jours (複数形で)  人生、生涯、時期、時代

avoir honte de  ~を恥じる

postérité   後世;後継者、流れをくむ作品

1996年に発表した紀行文で、ペーター・ハントケは、ユーゴスラビア紛争(旧ユーゴスラビアが分裂し、内戦状態だった)のときの西側メディアの報道や、NATOの空爆を批判しました。

東側のセルビアやミロシェビッチ(独裁者とみなされています)を擁護するような発言をし、ミロシェビッチに迫害された側からは、今回の受賞を非難されています。

彼はずっと態度を変えておらず、反骨の人であるとも言えます。

今はフランスに住んでいますが、政治的(にみえる)発言のせいで、オーストリアにいられなくなったのかもしれません。

France Cutureのビデオでも、ノーベル文学賞は政治的な配慮がある、と語っていますが、西側の報道に疑問を提示したハントケ氏に賞を与えたのは、アメリカを牽制しているのかもしれません。

トランプ大統領が、自分はノーベル平和賞をもらうべきである、みたいなことを言いましたからね。

ハントケさんは、ヴィム・ヴェンダース監督の映画、『ベルリン・天使の詩』(1987)の脚本を監督らと一緒に書いています。

オルガ・トカルチュクさんは、日本では2冊、本が翻訳されています。いま、アマゾンでみたら、賞をとったからか、逃亡派という本が「ベストセラー」と出ていました(しかし本の入荷は11月3日。いま増刷してるのでしょう)。

東欧文学は、ふつうはあんまり読まれませんし、注目もされませんから、この方が受賞してよかったのかもしれません。

サルトルは、ノーベル文学賞の受賞を拒否した、ただ1人の文学者です。






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