今日、ご紹介するフランス語のことわざはこちらです。
Petit à petit l’oiseau fait son nid.
鳥は少しずつ巣を作る。
鳥は少しずつ巣を作る
時間と忍耐を友に、毎日の継続をすることが、あなたに成功をもたらす、という意味です。
このことわざはきのう「まいにちフランス語」6:初級編L16-18~動詞avoirで勉強した、ラジオ講座の5月14日の放送、L.17の最後で、マダムがおっしゃったことわざです。
放送では
久松先生:動詞の活用は大変ですが、これができればはずみがつくこと請け合いです。
でもあせらないで。
マダム:Oui, petit à petit l’oiseau fait son nid.
という会話でした。
この場合の「巣」は動詞の活用のマスター。毎日の小さな努力の積み重ねが動詞の活用の習得につながりますよ、ということですね。
具体的には、目、口、耳、手にしみこませること、と言われてました。
もちろん、このことわざは語学だけの話ではありません。一見、自分には無理に思えることも、我慢強く、少しずつ、着実に手がけていくと、できてしまうよ、ということわざです。
なんとなく、わくわくして、勇気が出てくることわざですね。
よくわかる!フランス語の文法解説
★単語の意味
petit à petit 少しずつ
l’= le という定冠詞 のエリジオン
oiseau 鳥
fait ← faire 作る
son この場合は「鳥の」あるいは「その」
nid 巣
★直訳
「少しずつ鳥はその巣を作る」
★補足
●petit à petit
この形は「無冠詞名詞+à+無冠詞名詞」のパターンで
ほかの例:
pas à pas 一歩一歩(このラジオ講座のタイトルにもなっています)
mot à mot 一語一語
peu à peu 少しずつ
●リエゾン
petit は一語だとプティ
petit à petit となるとリエゾンしてプティタプティという発音になります。
似ていることわざ
このことわざの起源は、鳥が巣を作っている様子を見た人が、我慢強く、毎日の努力を続けることを諭すために比喩として使ったことのようです。
初出は1835年の本。
ちなみに、英語にも同じ意味のことわざがあります。
Little strokes fell great oaks.
小さな打撃も大きなカシの木を倒す。
strokeは木こりの一振りです。これが複数になっていますので、何度も斧を入れて、最後には大木を倒すということですね。
こちらのことわざを見た時、私は ’The Shawshank Redemption’(ショーシャンクの空に)という映画を思い出しました。この映画の主人公も毎日少しずつ、あることをやっていました。
でも、毎日たゆまず何かをやるのは簡単なことではありません。「ショーシャンクの空に」の主人公は心に「希望」を持っていました。夢や希望といったものは時に人間にすばらしい力を与えてくれますね。
フランス語の同様のことわざに
Rome n’a pas été construite en une seule journée.
ローマは一日にしてならず
があります。これは日本語のことわざにもなっています。
ほかに、日本のことわざでは
・塵も積もれば山となる
・学者と大木はにわかにできぬ
があります。
とはいえ、塵と鳥の巣はけっこう違いますよね。塵やほこりってほっといても勝手にどんどん積もっていきますから。
その点、鳥の巣は鳥がいちいち遠くまで飛んで行って、小枝やら何やらを1本だけ加えて戻って、また行って、という具合です。
鳥にとってあのように羽ばたくことは私たちが歩いたりするようなものなのでしょうが、それでもきっと疲れますよね。
こうした「コツコツ行きましょう」ということわざは、ほかにも
・石の上にも三年
・千里の道も一歩より
など、たくさんあります。
逆に言えば、人はついついあせって、すぐにできそうな手段を探したり、やってみたりする傾向があるということでしょうか?
確かに、本屋さんには「3日でできる〇〇」「5分でわかる〇〇」などという本がたくさん並んでいますから。
●ことわざの記事の目次⇒フランス語のことわざ・名言
このことわざほど、語学ブログにぴったりなことわざはないのではないか、と思います。
毎日少しずつが語学の王道ですね。
少なくとも巣の形がある程度できあがるまでは、きょうもまた、petit à petit です。
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