ときどき練習のために読んでいるフランスの子ども向けの新聞記事、きょうは学校の話を読み、和訳してみました。
授業時間は長いのに、成績がよろしくない、というのがきょうの記事です。
小学校:長い授業、結果が伴わず
(École : lourd emploi du temps, maigres résultats)
これはフランスの矛盾です。あなた達はほかの国の子どもより長く学校にいます。でも、だからと言って、特に結果がよいわけではありません。
なぜこれがきょうの話題なのでしょうか?
« Regards sur l’éducation (図表で見る教育)»の結果が発表されたからです。毎年、専門機関がOECD(経済協力開発機構)加盟国の34カ国の生徒のレベルを測定し発表しています。
きょうのニュース
8500時間以上! これがCP(小学校1年)から3e(Collège troisième 中学3年相当)の生徒がフランスの学校で過ごす時間です。
諸外国では、これより1000時間は少ないのです。6054時間のハンガリーの子どもたちは、私たちをみてあきれることでしょう。
これだけではありません。フランスでは、1年に36週間、週4日の時間割(*)に集中してこれだけの時間勉強します。
これは「hyperconcentré」(超詰め込み)と呼ばれています。
優先科目は?
このような時間割の中で何が優先されているのでしょうか?体育?美術?音楽?
どれも違います。10時間のうちほぼ4時間は国語(=フランス語)に、2時間は数学にあてられています。
ほかの国では、このような重み付けはさほどなく、特に母国語にそんなに時間をかけていません。平均して(10時間のうち)3時間より少し少ない時間です。
結果は?
長時間の授業+たくさんの科目、特に、国語と数学を「真剣に」学ぶこと = よい成績、でしょうか? 答えは「ノー」です。
CM2(中学2年小5相当)の最後には、10人のうち二人の生徒は読むこともできず、正確に計算することもできません。
それに、中学の終わりには、10人のうち一人強しか、円の面積を求められないのです。
このことからわかることは?
量より質だということです。* たとえば、韓国の子どもたちは数学がよくできますが、この科目に時間をかけているわけではありません。10時間のうち1時間よりちょっと多いだけなのです!
(*)2013-2014年の学年からすべての生徒は週4日と半日、授業を受けます。
元記事 → Ecole : gros emplois du temps, maigres résultats1jour1actu – Les clés de l'actualité junior 27 juin 2013
単語メモ
Hongrois ハンガリー人
narguent < narguer ~を軽んじる、ばかにする
matière 科目
emploi du temps de ministre オーバースケジュール、スケジュールが立てこんでいること。
art plastique 美術
*原文は La quantité ne fait pas la qualité. 量が質を伴っていない。
フランスの小学校は授業時間が長いです。休みが多いからだと思います。
ちょっと前まで、朝8時半から夕方4時半という、まるで会社のようなスケージュール。これはずっと水曜と土曜(と日曜)が休みのうえに、バカンスが長いため、ほかの日に詰め込んでいたのです。
でも、これでは子どもたちが疲れてしまう、ということで、ここ数年で、時間割が変わり、今は水曜日も午前中だけ授業を行うようになってきました(都市によって違います)。
«Regards sur l’education» は英語では«Education at a glance»と呼ばれるものです。ここで問題になっているのは2013年版ですね。
きょうの豆知識 フランスの小中学校
小学校 école primaire 5年間
CP Cours préparatoire 小1 6歳~
CE1 Cours élémentaire première année 小2 7歳~
CE2 - ” – deuxième année
CM1 Cours moyen première année 小4 9歳
CM2 - ” – deuxième année
中学校 Collège 4年間
C6 Sixième 六年生 11歳~
C5 Cinquième 中1相当
C4 Quatrième
C3 Troisième
中学校から6年生、5年生と上にあがるにつれてカウントダウンするから不思議ですね(CE1が11年生でここからカウントダウンが始まります)。
小学校はCP(11年生)とCEとCMです。記事に出てくるたびに辞書をひいていますが、すぐに忘れます。自分の参照用にここに書いておきました。もう忘れないでしょう(たぶん)。
ちなみに高校はリセ(Lycée)で高2はPrimère(1年生)高3はTerminale(最終学年)です。
フランスで国語の時間が多いのは、フランス語が難しいからでしょうね。特に動詞の活用が・・。あれは日本の漢字と一緒で、ある程度、学校でしっかりやらないと書けるようにならないでしょう。つづりと発音がかけ離れていますから。
フランスでは小学校が5年、中学が4年あるので(9年は日本と同じです)、単純に8500時間を9で割り、さらに36週で割り、さらにそれを4(4日)で割ると、1日あたり6.56時間でした。
長いですね、やっぱり。子どもにはきついと思います。週4日というのは無茶があります。
また、これは北米も同じですが、夏休みは年度末であるので、宿題がないのですよね。
サマースクールとか塾などに行く人もいるでしょうが、基本はこの期間、まったく勉強をしません。
このあいだに前の年に習ったことをすべて忘れてしまうのではないかと思うのですが、自分がそういう教育システムでやってこなかったので、よくわかりません。
まあ、私も夏休みの宿題は最後に一気呵成にやっていたので同じでしょうか。
娘も夏休みが長く(2ヶ月)、宿題が全くありません。小さいときは夏休み用のワークブックをやらせていたこともあるのですが、小学校5年ぐらいからは、すごい反抗期というのもあるのですが、学業はもう100%本人にまかせています。
よって彼女は夏は勉強をいっさいやっていません。それでも翌年、特に困るということはないらしいのですが・・。
Penさん、こんにちは。
フランスの学校、確かに一日が長いですね。
家の子供たちはお昼は家で食べるので、午前3時間、午後3時間ですが、それでも幼稚園の年少さんからですから、日本と比べると断然長く感じます。
これも仕事する親の都合のようです。
和訳中にCM2(中2相当)とありましたが、CM2は10歳なので日本だと小学校5年生かと思います。
ネイティブに比べてフランスがまだまだ不自由な息子がクラスで1番だと言われて、びっくりした記憶があります。話を聞くと、どうも先生の話を聞けない子が多いみたいですね。長時間授業の弊害かもしれませんね。
ユッキッキさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
はっ!CM2、間違えていました。失礼いたしました。ご指摘ありがとうございます。直しました。
へ~年少さんから、そんなスケジュールなんですね。それは大変ですね。
フランスでは、共働きが普通だからそうなのかもしれないですね。
水曜日でも、午後は課外活動とかあるみたいですし。
息子さんは、今小学校2年ぐらいですか?クラスで1番なんてすごいじゃないですか。
子どもって覚えるの早いから、もうかなり上手なのではないでしょうか。
よかった。さすがに中2で読み書き計算ができないのはかなり。。。
息子はCPで難しいことはしていないので、授業さえちゃんと聞いていれば(言葉が分かる子なら)簡単に理解できるはずなのですが、よほど学校のレベルが低いのかとちょっと心配になりました。
パリ市はこの秋から水曜午前の授業がスタートしますが、私の住んでいるところは見送りです。教職員の反対がやはり多いようです。
ユッキッキさん、再度のコメント、ありがとうございます。
ほほほ・・そうですね。フランスの人に怒られてしまいますね。
いや、息子さんが優秀なのでは?
水曜の授業がないとすると、やはり毎日長い授業を続行なのですね。
土曜日、授業をするところもあるようですが。
どこの国でも同じような問題が起こってるんですねー。
日本でも、しばらくは「ゆとり教育」なんて言って、娘なんか全然勉強してない。来年からカリキュラムが変わるので、浪人したら習ってないことが入試に出るんだって。
小学校でサポートしてますが、基礎学力のついてない子が多いです。
考え方が変わってきて、先生も厳しくできないしね。
親はヤキモキするばかりですね。
アンさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
でも、日本の子どもって塾(
苦悶公文とか)に行ったり、しまじろうのなんとかをやったりすることが多いじゃないですか?
中学受験なんてすごくハードだし。
私の目には必要以上に勉強しているふうに見えます。