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フランスのことわざには、猫や犬、オオカミ、ニワトリなど、身近な動物がよく出てきます。
これまでブログで紹介してきたことわざの中から、動物が出てくるものを15個集めました。
似た意味の日本のことわざがあるものは、それも添えました。動物が入れ替わっていたり、日本語にはない見方をしていたりして、比べてみるとおもしろいです。
猫が出てくることわざ
夜になると、猫はみんな灰色に見える
La nuit tous les chats sont gris.
夜は、猫はみんな灰色だ。
暗いところでは、白い猫も黒い猫も同じ灰色に見えます。そこから、よく見えない状況では、ものの区別がつかない、正しい判断がしにくい、という意味で使います。
日本語なら「夜は物の文目(あやめ)も分かず」が近いです。
くわしくは:夜は物の文目(あやめ)も分かず:フランス語のことわざ9
やけどをした猫は冷たい水もこわがる
Chat échaudé craint l’eau froide.
熱湯でやけどをした猫は、冷たい水をこわがる。
一度ひどい目にあうと、必要以上に用心深くなる、という意味です。日本語の「あつものに懲りてなますを吹く」にあたります。
日本語では熱い汁物でやけどをした人が、冷たい和え物まで吹いて冷まします。フランス語では、熱湯でやけどをした猫が、冷たい水までこわがります。
フランス語の eau は温度に関係なく使うので、冷たい水は eau froide、お湯は eau chaude と言い分けています。
くわしくは:あつものに懲りてなますを吹く:フランス語のことわざ7
良い猫には良いネズミ
À bon chat, bon rat.
良い猫には、良いネズミ。
猫が手ごわければ、ネズミも負けてはいません。攻める側と守る側の力が五分五分で、互いに一歩も引かない様子を表しています。日本語なら「敵もさるもの」でしょうか。
とても短いので、フランス語を始めたばかりの方でも口に出しやすいことわざです。
くわしくは:フランス語のことわざ45~良い猫には良いネズミ
犬が出てくることわざ
犬は猫を産まない
Les chiens ne font pas des chats.
犬は猫を産まない。
子は親に似る、という意味で、日本語の「蛙の子は蛙」にあたります。
日本語ではカエル、フランス語では犬と猫です。
くわしくは:フランス語のことわざ8~犬は猫を産まない(蛙の子は蛙)
犬と寝る人は、ノミといっしょに起きる
Qui se couche avec les chiens se lève avec des puces.
犬と一緒に寝る者は、ノミと一緒に起きる。
つきあう相手の影響を受けて、悪いほうに染まってしまう、という意味です。日本語の「朱に交われば赤くなる」にあたります。
se coucher(寝る)と se lever(起きる)が対になっていて、リズムのいい一文です。
犬にはちょっと気の毒なたとえですね。
くわしくは:朱に交われば赤くなる:フランス語のことわざ19
犬も司教様の顔をじっと見る
Un chien regarde bien un évêque.
犬だって司教をじっと見る。
このことわざは、どちらの立場から読むかで意味が変わります。
えらい人の側から読むと、目下の人にじろじろ見られても怒ってはいけない、という戒めになります。
目下の人の側から読むと、相手がえらい人でも臆することはない、という励ましになります。
英語にも A cat can look at a king.(猫だって王様を見ることができる)という、よく似たことわざがあります。英語では猫、フランス語では犬です。
くわしくは:フランス語のことわざ26~犬も司教様の顔をじっと見る
オオカミとクマが出てくることわざ
羊のようにおとなしいと、オオカミに食べられる
Qui se fait brebis, le loup le mange.
雌羊になる者は、オオカミに食べられる。
おとなしくしていると、人にいいように利用されてしまう、という意味です。日本語では「弱き者は夫(ぶ)に取らるる」が近いです。
brebis は雌の羊です。羊とオオカミの組み合わせは、童話にもよく出てきます。
くわしくは:弱き者は夫(ぶ)に取らるる:フランス語のことわざ17
オオカミの話をすると、そのしっぽが見える
Quand on parle du loup, on en voit la queue.
オオカミの話をすると、そのしっぽが見える。
その場にいない人のうわさをしていると、ちょうどその人が現れる。日本語の「うわさをすれば影」です。
日本語では影、フランス語ではしっぽが見えます。姿ではなく、しっぽが見えると言うところがおもしろいと思います。
くわしくは:フランス語のことわざ60~オオカミの話をするとそのしっぽが見える(うわさをすれば影)
クマを仕留める前に、その皮を売る
Vendre la peau de l’ours avant de l’avoir tué.
クマを殺す前に、その皮を売る。
まだ手に入れていないものを当てにして、先に計算する、という意味です。
日本語の「捕らぬ狸の皮算用」とそっくりですが、日本ではタヌキ、フランスではクマの皮です。クマのほうが、皮がずっと高く売れそうです。
くわしくは:フランス語のことわざ52~クマを殺す前に皮を売る
農場の動物が出てくることわざ
ヤギとキャベツの両方に気を配る
Il faut ménager la chèvre et le chou.
ヤギとキャベツの両方に気を配らねばならない。
対立する二者の、どちらの顔も立てる、という意味です。
もとになっているのは、農民がオオカミとヤギとキャベツを連れて川を渡る話です。ヤギがキャベツを食べないように、そしてオオカミがヤギを食べないように、苦労して運びます。
ここに出てくる ménager(大切に扱う、気を配る)は、このあとの馬のことわざにも出てきます。
くわしくは:山羊とキャベツの両方に気を配らねばならぬ~フランス語のことわざ3
牛の前に犁(すき)を置いてはいけない
Il ne faut pas mettre la charrue avant les bœufs.
牛の前に犁を置いてはいけない。
犁は、牛や馬に引かせて畑を耕す農具です。牛の前に置いたら、牛は引っぱれません。
そこから、物事の順番を間違えてはいけない、という意味になります。
英語にも to put the cart before the horse(馬の前に荷車を置く)という言い方があります。英語は馬、フランス語は牛です。
くわしくは:牛の前に犁(すき)を置いてはいけない:フランス語のことわざ39
遠くまで行きたい人は、自分の馬をいたわる
Qui veut aller loin ménage sa monture.
遠くへ行きたい者は、自分の乗る馬を大切にする。
長く続けたいなら、無理をせず、ほどよいペースを守る、という意味です。
monture は馬やロバ、ラクダなど、人が乗る動物のことです。動詞 monter(乗る)の仲間です。
ヤギとキャベツのことわざと同じ ménager が使われています。気を配る相手がキャベツから馬に変わっています。
ラシーヌの喜劇『訴訟狂(Les Plaideurs)』には、Qui veut voyager loin ménage sa monture. という形で出てきます。
語学にもそのまま当てはまりますね。週に一度まとめて6時間やるより、毎日30分ずつ淡々と続けるほうが、遠くまで行けそうです。
くわしくは:フランス語のことわざ24~遠くまで行こうとする者は馬を大切にする
鳴いているめんどりが、卵を産んだめんどり
C’est la poule qui chante qui a fait l’œuf.
卵を産んだのは、鳴いているめんどりだ。
聞かれてもいないのに言い訳をしたり、真っ先にしゃべり出したりする人こそが犯人だ、という意味です。
記事では「笑っているやつが犯人だ」という訳で紹介しました。
C’est … qui ~(~なのは…だ)の強調構文の中に、さらに qui chante(鳴いている)が入っていて、qui が2回出てきます。
くわしくは:フランス語のことわざ38~笑っているやつが犯人だ
鳥とカエルが出てくることわざ
鳥は少しずつ巣を作る
Petit à petit l’oiseau fait son nid.
少しずつ、鳥は巣を作る。
毎日の小さな積み重ねが、やがて大きなものになる、という意味です。日本語の「ちりも積もれば山となる」にあたります。
このことわざは、NHKラジオの「まいにちフランス語」で、動詞の活用を覚えるのは大変だけれどあせらないで、という場面に出てきました。
フランス語の勉強をしている人には、いちばん励みになることわざかもしれません。
くわしくは:フランス語のことわざ14~ちりも積もれば山となる
ヒキガエルのよだれは、白い鳩には届かない
La bave du crapaud n’atteint pas la blanche colombe.
ヒキガエルのよだれは、白い鳩には届かない。
心ない人の悪口は、清らかな人を傷つけることはできない、という意味です。
crapaud はヒキガエルです。colombe も鳩ですが、とくに白い鳩や、詩や絵に出てくる鳩によく使われます。街でよく見かける鳩は、ふつう pigeon と言います。
醜いものの代表としてのヒキガエルと、平和や純潔の象徴としての白い鳩。対比のはっきりしたことわざです。
くわしくは:カエルのよだれは白鳩には届かない~フランス語のことわざ64
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動物が出てくるフランス語のことわざを15個紹介しました。
並べてみると、猫と犬とオオカミが多いですね。飼い猫や飼い犬だけでなく、羊を襲うオオカミまでよく出てくるところに、昔の暮らしがうかがわれます。
日本語ではタヌキなのにフランス語ではクマ、英語では猫なのにフランス語では犬、というように、同じ意味でも動物が入れ替わっているのもおもしろいところです。
私は猫が好きなので、つい猫のことわざに目が行きます。夜になると猫はみんな灰色、というのは、どこか詩のようで気に入っています。
それでは、次回の記事をお楽しみに。
メタディスクリプション:フランス語のことわざから、動物が出てくるものを15個選びました。「捕らぬ狸の皮算用」はフランス語ではクマ、「蛙の子は蛙」は犬と猫。原文と和訳、意味、似た日本のことわざを並べ、動物の入れ替わりを比べながら紹介します。
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