penの顔を見る犬

ことわざ

フランス語のことわざ26~犬も司教様の顔をじっと見る

今日、ご紹介するフランス語のことわざはこちらです。

Un chien regarde bien un évêque..
犬も司教様の顔をじっと見る

このことわざは犬の立場か司教様の立場かで意味が違ってきます。



犬も司教様の顔をじっと見る

1.司教様の場合

あなたが、司教様のような、えらい人、あるいは有名人だったとしましょう。

この場合は「目下の者や、大衆にじろじろ見られても、怒ってはいけない」ということです。

司教様はカトリックのえらい人(後述)なので、あなたのまわりで、この地位にいる人はそんなにいないと思います。

たとえていえば、有名な芸能人とか、文化人、あるいは政治家、企業の社長などの著名人である場合、そのへんの人にじろじろ見られても、怒ってはいけないのです。

だって「犬ですら、そういう人たちをしっかり見るのだから」というわけです。

2.犬の場合

あなたが、自分より身分が高い人、目上の人、ふだん頭があがらない人などに、何か要求したいこと、言いたいことがあるとき、

「遠慮することはありません。言いたいことは、はっきり言いなさい。やりたいことは、堂々とやりなさい。」

という意味です。

このことわざでは「司教と下賤の者」という対比ですが、現代なら、上司と部下、先生と生徒、父親と子ども、先輩と後輩、夫と妻(?)というような関係がこれにあたりますね。

「私なんかが、言うべきことでもない」と思っても、要求することや、言いたいことがあるとき「臆することはない、正々堂々と言えばいいんだよ」とアドバイスするときに使われます。

よくわかる!フランス語の文法解説

★単語の意味

un 男性名詞につく不定冠詞

chien 犬

regarde < regarder 見る

bien しっかりと

évêque カトリックの司教:司祭(prêtre)よりえらく、大司教(archevêque)よりは地位が低い。司教区(diocèse)の管理をします。会社でいえば、部長~専務あたりでしょうか?

★直訳

「犬は司教をじっと見る」

★補足
この« regarder »は自分が見ようと思ってじっと見ることです。ただ単に視界に入って見えている場合は « voir »



似ていることわざ

昔のフランスでは、カトリックが大きな勢力をもち、生活の規範でした。

人々が、教区を中心とした生活をしていたころは、とても司教さまの顔をじろじろ見ることなどできなかったでしょう。

でも犬はそんなことは知りませんから「しっかり見てしまっていた」というのが、このことわざです。

英語には、

A cat can look at a king.
猫は王様の顔を見ることができる

ということわざがあります。

意味は同じで「身分が劣っている者でも、目上の人への行動すべてが、制限されているわけではない」ということです。

16世紀のことわざ辞典にはもうのっていたそうです。

今の日本では、このような主従関係はそんなに見られません。でも、先輩、後輩ということをすごく気にする社会です。

なんでもかんでも先輩、後輩と序列をつけてしまいます。たとえ、ほんの一週間ぐらいの差でも。

後輩からすると、このほうが「甘えられる」あるいは「責任をのがれられる」から楽なのかもしれません。

このように戦略的にへりくだっている場合は、あまりこのことわざの出番はありません。

ちなみに、日本では

「目上の人と目をあわせるのは無礼で、多少はずしたほうがいい。」

ということになっています。でも、欧米の人と話す場合は、目を合わさないと失礼で、挙動不審と思われるので、その点も気をつけなければなりません。

犬や猫はこうした思いわずらいがなくて、うらやましいですね。






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コメント

    • 樋沼達雄
    • 2013年 8月 20日

    Pen さん いつも新しい話題を提供していただき、ありがとうございます。
    このことわざは全然知りませんでした。例によって田辺貞之助によると
    「下賤のものからじろじろ見られても腹を立ててはいけないの意。「眼(がん)をつけたなんて因縁をつけてすごむにものに向かっていう。さらに意味がひろがって、君は人がうやうやしく眼を伏せなければならないほどえらいのかという意味になる。問題はどうしてここで司教を持ち出したかということで、国王、法王でもよいではないかと考えられるが、それは585年のマコンの宗教会議で司教が犬を飼うことが禁じられたので、犬には司教が珍しかったとされる。この禁令は信者が司教を尋ねるおきに犬にかみつかれないようにという配慮からであった」とありますがあなたの解説も面白いです。

      • フランス語愛好家
      • 2013年 8月 20日

      樋沼さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
      へ~司教さんは犬を飼ってはいけなかったのですね。
      そのころの司教さんって教会に住んでいたのかな?
      信者が犬にかみつかれないようにというのもおもしろいですね。
      司教さんは忙しいから、あんまり犬のしつけなんてやってる暇なかったのかもしれないですね。
      585年といったらすごい昔ですね。このことわざもかなり古くからあるものだと思われます。

      いつもブログを読んでいただき、ありがとうございます。

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