ラジオ講座の復習の時間です。きょうは、êtreを使う複合過去です。
「複合過去?何それ?」
という方は、きのうの52課の記事をごらんください。
では、早速復習しましょう。
助動詞として être を使う複合過去形
êtreの活用
複合過去形は助動詞にavoirを使う動詞と、êtreを使う動詞の2種類あります。どちらを使うかは、動詞によって違います。
êtreを使う動詞も、êtreが主語に応じて活用しますので、まず、êtreの活用をおさらいしておきます。
Je suis
tu es
il est
nous sommes
vous êtes
ils sont
助動詞にêtreを取る動詞
「往来発着の動詞」はêtreを使うとよく本に書いてあります。
「往来発着」って、運送用語みたいですが、場所の移動をあらわす動詞です。
数が少ないので、代表的なものを覚えてしまうといいでしょう。不定法、過去分詞、意味の順でリストにしますね。
aller – allé 行く
partir – parti 出発する
arriver – arrivé 到着する
sortir – sorti 出かける
entrer – entré 中に入る
rester – resté とどまる、いる
monter – monté のぼる、上がる
descendre – descendu おりる、下る
naître – né 生まれる
mourir- mort 死ぬ
どれも場所の移動を表します。「生まれる」「死ぬ」は、この世とあの世の間を行き来してますね。
例文
Il est allé à la piscine hier.
彼はきのうプールに行った。
est < être 3人称単数
allé < allerの過去分詞
過去分詞の性数一致
助動詞にêtreを使うとき、過去分詞の語尾が主語にあわせて、少し形が変わります。具体的には語尾にeかsがつきます。
これは形容詞と同じ要領です。
たとえば、
grand 「背が高い」という形容詞の場合
主語が男性名詞 Il est grand.
主語が女性名詞 Elle est grande.
主語が男性名詞か男性名詞が入っている複数 Ils sont grands.
主語が女性名詞だけの複数 Elles sont grandes.
このように語尾が
女性なら e
複数なら s
という目印みたいなものがつきます。
これと同じことが、être を使う複合過去形でもおきます。
たぶん両方ともêtre が出てくるからだと思います。
例文
Il est parti à Lyon.
Elle est partie à Lyon.
Ils sont partis à Lyon.
Elles sont parties à Lyon.
こういう現象を過去分詞の性数一致(せいすういっち)と呼びます。主語と過去分詞の性別(女性か男性か)と数(単数か複数か)をあわせることです。
過去分詞の発音は4つとも変わりません。
書く時だけ変わります。聞いたときの区別は、性別は主語で、単数か複数かはêtreの活用でわかるようになっています(聞き逃さなければ、の話)。
êtreを使う複合過去形のまとめ
否定の形や疑問の形はavoirを使うときと同じです。いくつか例文を書いておきます。
否定 être を ne…pasではさむ
Je ne suis pas sortie hier soir. (主語は女性)
ゆうべは出かけなかった。
Nous ne sommes pas partis en vacances.
わたしたちはバカンスに出発しなかった。
疑問
Quand est-ce que tu es arrivé ?
きみは、いつ到着したの?
Vous êtes déjà allé à l’étranger ?
あなたは外国へ行ったことがありますか?
※これは過去の行為というより、経験を聞いています。
Vos parents sont arrivés à Narita à midi ?
あなたのご両親はお昼に成田についたのですか?
※イントネーションをあげる疑問文(書くときは«?»があるかどうかだけの違い)
補足:他動詞と自動詞
これは初心者だと混乱するかもしれないので、飛ばしてください。
講座の一番最初にどの動詞がどちらの助動詞をとるかという話として、
avoir → すべての他動詞と大半の自動詞
être → いくつかの自動詞
と久松先生が言われました。この他動詞(たどうし)と自動詞(じどうし)とは何でしょうか?
実は、動詞を使い方によって他動詞と自動詞の2種類に文法学者が分けました。
他動詞はその動詞の動作が他のもの(目的語)に働きかけている動詞です。あるいは目的語をつけないと、意味が通じない動詞です。
たとえば
Pen mange du pain.
penはパンを食べる
「食べる manger」は「パン du pain」という目的語をとっています。これは他動詞です。
でも、
Pen mange trop.
penは食べ過ぎる。
この場合のmangerは目的語をとらず、単に「食べる」です。「食べる」部分を見ると上と同じですが、これは自動詞です。
このように、同じ動詞でも他動詞と自動詞の用法があるものがあります。しかし、どちらかの用法しかない動詞もあります。また、ほとんどの場合、他動詞として登場するという動詞もあり、こういうのは一般に他動詞と呼ばれます。
aller は自動詞の用法しかありません。よってストレートに「自動詞」と呼ばれます。
え?
「学校へ行く(aller à l’école)って言うじゃん?」
と思いますよね?でもこの「学校へ」のà l’écoleは目的語じゃなくて、目的地なんです。おもしろいですね?
ちなみに、その動詞が、他動詞なのか自動詞なのかは辞書をひくと「他動」「自動」とか、v.t.(=verbe transitif 他動詞)、v.i.(=verbe intransitif 自動詞)と書いてあります。
両方の用法がある場合、たいてい先に書いてあるほうが、よく使うほうです。
ラジオ講座関連記事目次はこちらから
■ラジオ講座「まいにちフランス語」関連記事の目次~その1(概要)
■1課~47課まで⇒ラジオ講座「まいにちフランス語」関連記事の目次~その2
■48課以降⇒ラジオ講座「まいにちフランス語」関連記事の目次~その3
いかがでしたか?
フランス語では、他動詞が圧倒的に多いため、助動詞にavoirを使うものが多いのです。
でも、人間はあちこち動きまわるせいか、êtreを使う動詞はよく出てくる重要な動詞が多いですね。
「生まれる」「死ぬ」にいたっては、どんな人間でも体験することですし、毎日この世界で起きていますから。
4月からフランス語を始めたばかりだと、このあたり、とっても難しいと思いますが「そういうのがあるんだ」と思って、とりあえず、聞き続けると、そのうちだんだん視界が開けてくるはず。
もし4月分の講座のCDなど、音源を持っていたら、今聞いてみると、わかることが増えていると思いますよ。
明日は代名動詞の複合過去形です。お楽しみに~。
ペンさん いつも すてきなブログを書いていただきありがとうございます、
フランス語の勉強の励みになります、
ところで、複合過去の助動詞が êtreになる場合の
整数一致の問題ですが
主語がonの場合はどうなるのでしょうか?
たとえば、
On s’est revu et on ne s’est plus quitté.
よろしくお願いいたします。
堀口美智代さま
onは一般に男性単数扱いですが、口語などで、
特定の人をさして使っていたら、
その人たちに応じて、性数一致します。
・・・と辞書に書いてありました。
いつも助けていただいてます。フランス語を習い始め数年。文法に頭を抱えています。とてもわかりやすいので絡まった糸が解けた感じです。これからもよろしくお願いします。ちなみに、今苦しんでいるのは、関係代名詞とそれに付随する時制の一致です。とほほ。
Akemiさま
こんにちは。
記事がお役に立っているようでうれしく思います。
文法はそんなに気にしなくてもいいかもしれません。
各種試験を受けない場合は。
楽しくないと続かないのでほどほどに悩んでください。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。
pen