2016年6月23日に、英国では欧州連合(EU)に残るか離脱するかを決める国民投票が行われました。
その結果、離脱する、と決定しましたね。
その日から1週間たちますが、ギリス国民は、後悔している、という声が聞かれます。まあ、ふつうに見たら、あまり賢い選択ではないと思うのですが、今後どうなるかは誰にもわかりません。
今回は、投票の結果を受けた直後に、フランスの子ども新聞にのった記事を訳してみました。
jde.fr というサイトの記事で、この子ども新聞は、サイトの表示によれば、フランスネイティブの9歳から14歳向けの新聞です。
子どもむけなので、ひじょうにシンプルに書かれています。
Les Britanniques ont dit “goodbye” 英国人は「さよなら」と言った
Les Britanniques ont voté. Ils se sont prononcés en majorité pour une sortie de l’Union européenne. Un vote qui va avoir de lourdes conséquences, mais lesquelles ?
英国人は投票をし、欧州連合から離脱賛成案が過半数の投票を集めました。この投票は、大きな影響をもたらすことになります。どんな影響があるでしょうか?
英国(Royaume-Uni 北アイルランド、スコットランド、ウエールズ、イギリス)の国民の過半数が、UEから脱退することに賛成しました。
これは歴史的な投票であり、UEに大きな打撃を与え、さまざまな影響をもたらします。
Que va-t-il se passer ? どんなことが起こるのこか
一番最初に起こることは、イギリスの首相のデイヴィッド・キャメロン首相の辞職です。首相は、イギリスがEUにとどまるよう尽力してきましたが、国民は、逆のことを支持しました。彼は、今から9月の間に辞職します(pen注:実際には10月の保守党党大会で辞任するそうです)。
金曜の朝のスピーチで、キャメロン首相は、すぐに事態が変わるわけではない、と国民を安心させようとしました。事実、EUから抜けることは、簡単ではありません。これは初のケースであるし、離脱準備に2年はかかると思われています。
Même pour le foot ! サッカーにも影響あり
もし、英国が、実際にEUから離脱したら、国民にとって多大なる影響があるでしょう。たとえば、もうイギリス国民はEU諸国を自由に旅行することができません。
また、農業などにもらっていたEUからの支援金はもう支払われなくなります。
イギリスで働いているヨーロッパ人は、就業許可証を取らなければならなくなります。そうした労働者の中には、イギリスのサッカーリーグのプレミアリーグにいる122人の選手も含まれます。
Que va devenir l’UE ? UEはどうなるのか?
英国の離脱はEUの終わりの始まりになるのでしょうか?今の時点で何かを言うのは時期尚早すぎますが、フランスとオランダではすでに、EUに反対している政治家が、自国でも同様の投票をするように要求しました。
これに対してEUは、たくさんの制限をかけることで、この要求を抑えています。
自国に生まれた人を優遇し、外国人(移民)に同様の権利を与えるべきではないと求めているのは、極右の政党に所属している政治家です。この考えは、民主主義や人権を擁護している人々を心配させています。
元記事 → JDE | Les Britanniques ont dit "goodbye"
単語メモ
se prononcer 態度を明らかにする
voter qc à une majorite 過半数を超えて可決する
démission 辞職
discours スピーチ
rassurer 安心させる
prévoir ~を予想する
pourront pouvoir 単純未来 3人称複数
verser 支払う、払い込む
qu’ils aient avoir の接続法
最後の、qui veulent que la préférence soit donnée aux habitants nés dans le pays, et qui ne veulent pas que les étrangers aient les mêmes droits. はvouloir que 接続法 になっています。
☆欧州連合に関する基礎知識⇒5月9日はヨーロッパの日。欧州連合の歴史を簡単におさらいしよう。
サッカー選手の話をするなんて、子ども新聞だからかな、と思っていたのですが、イギリスのサッカーのプレミアリーグで、優秀な外国人(ヨーロッパ人)選手を獲得するのは、ロサッカー市場にとってはとても重要なことのようです。
サッカーはイギリスの重要な産業なのですね。
フランスのふつうの国民は、「別に好きにすればいいんじゃない」といった感想を持っているようです。まあ、他の国のことですからね。
ロンドンにあるたくさんの外国企業はこれからはパリやフランクフルトに移動するでしょうから、フランスはかえって潤うかもしれません。
イギリスがEU加盟国じゃなくなると、彼の地で働くには、就業ビザが必要になります。これってけっこう面倒だと思います。。
だって、これまで不用だったんですから。
日本みたいに、最初から必要なら、あきらめてビザを取りますが、そうじゃない状態から必要になると、経済的、心理的に負担が増します。
また、EUに加盟していると、学生と教員はエラスムス計画というプログラムを利用できます。エラスムスはヨーロッパの学生と教員の交流を促進し、質の向上を目的としたものです。このプログラムを利用すると加盟国全域を自由に移動して勉強できるし、いろいろ援助もしてもらえるようです。
イギリスはこのプログラムからも抜けますから、イギリス留学するなら、ヨーロッパの人も、日本人と同じようにめんどくさいビザの発給を受け、高い授業料を払うことになります。
私も移民なわけですが、たぶん、生涯自分の国に住み続け、外に行くのは旅行ぐらい、という人にとっては、移民が来るのは迷惑以外の何物でもないし、欧州連合を抜けたほうがいいに決まっている、という結論になるかもしれません。
ですが、外から移民が来るのと同じくらい、自国から、外国に留学したり、働きに行きたいと願っている人はいるのですよね。だいたい、移民が来るのは自分の国だけではありません。
そもそも、移民が大量発生する大本の原因を作ったのは、先進国の国々です。
それでは、次回のニュースの記事をお楽しみに。
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