フランスの街を訪ねるシリーズ A la découverte des villes de France から、第4回 Le Touquet-Paris-Plage(ル・トゥケ=パリ=プラージュ)を紹介します。
フランス北部、英仏海峡に面した海辺のリゾート地で、自然の美しさと、上品でブルジョワな雰囲気が調和した街です。
2分ほどの短い動画で、字幕はありません。
※3年ほど前にアップされた動画のため、施設のオープン予定(2024年)など、一部の情報が古くなっています。
現在の状況とは一致しない部分もあるのでご了承願います。
動画の内容
フランス北部の海辺のリゾート地ル・トゥケ=パリ=プラージュを、街の基本情報から海岸までの道のりを案内してくれる動画です。
街の基本データ
ル・トゥケ=パリ=プラージュは、エタプル・カントンにある人口約4200人の小さなコミューンです。
20世紀半ばまではパリ=プラージュという名前でした。市長はダニエル・ファスケル氏で、2008年から数えて3期目を務めています。
ジャルダン・ド・ラ・マンシュ(マンシュの庭)、スタシオン・デ・キャトル・セゾン(四季のリゾート)、アルカション・デュ・ノール(北のアルカション)といったいくつもの愛称を持ち、夏には25万人もの観光客が訪れます。
森と街並み
街に入るとまず出迎えてくれるのが、樹齢100年の松が茂る森です。
2000年代初めに整備されたサイクリングロードや、美しいヴィラも点在しています。森を抜けると、街の入り口には高級ホテルと1つ目のカジノが、さらに海岸近くにはもう1つのカジノや公園もあります。
20以上の建物が Monument Historique(歴史的建造物)に指定されていて、自然と歴史の両方を楽しめる街です。
海岸とこれからの計画
海に向かう歩行者専用の道にはたくさんのブティックが並び、しばらく歩くと美しい海岸にたどり着きます。
1985年に開業したレジャー施設アクアルードは、現在は閉鎖中。
建設大手ヴァンシ(Vinci)の子会社が買い取り、The Dune という複合ホテルに生まれ変わる計画です。130室、ガストロノミーレストラン、ブラスリー、プールを備える予定で、動画では2024年オープン予定と紹介されています。
砂丘と自然
海岸の近くには砂丘が広がっています。
白い砂丘と、低木に覆われた砂丘があり、多様な生きものが暮らす自然の宝庫になっています。
散策路も整備されていて、気持ちのよい散歩が楽しめます。
重要フレーズ
動画の中から、私が文法・語彙の面でおもしろいと思ったフレーズを取り上げます。
1. 訪れる価値あり(0:35〜)
Et ça vaut le coup de s’y rendre car la ville possède une multitude de choses à découvrir, que ce soit sur le plan naturel et l’aspect historique.
訪れる価値は十分あります。というのも、この街には自然の面でも歴史の面でも、たくさんの見どころがあるからです。
valoir le coup de + 不定詞は「〜する価値がある」という口語表現です。valoir la peine de とほぼ同じ意味です。
s’y rendre の y は「そこへ(=この街へ)」を指します。se rendre à 〜(〜へ行く)の à+場所が、y に置き換わっています。
que ce soit A et/ou Bは「AであれBであれ」と、複数の事柄を並べて示すときの言い方です。
2. 街に入るやいなや(0:48〜)
Dès que l’on entre dans la ville, on admire tout d’abord une forêt dans laquelle on peut y voir des pins centenaires.
街に入るやいなや、まず目に入るのが、樹齢100年の松が見られる森です。
dès queは「〜するとすぐに」。
l’on の l’ は、発音をなめらかにするために置かれていて、それ自体に意味はありません。si l’on、que l’on のように、母音の後ろでよく現れます。
dans laquelle は関係代名詞で、先行詞は forêt です。森の中で松が見られる、とつないでいます(このあとのプチ文法で詳しく取り上げます)。
ちなみに、dans laquelle と y(そこで)が両方あって意味が少し重複していますが、話し言葉ではこういう念押しや重複はときどき出てきます。日本語でも、話し言葉では同じような重複が起きます。
3. 場所を表す倒置(1:01〜)
Puis, lorsqu’on a traversé la forêt, à l’entrée de la ville, prennent place un hôtel de luxe et un premier casino.
そして森を抜けると、街の入り口に、高級ホテルと1つ目のカジノが現れます。
prendre placeは「位置を占める、配置される」。
ここでは、主語(un hôtel de luxe et un premier casino)が動詞(prennent place)が倒置されています。場所を表す語句が文頭に置かれると、こんなふうに主語と動詞がひっくり返ることがあります。
4. 受動態+単純未来(1:30〜)
Ce lieu de loisirs sera remplacé par un complexe hôtelier qui s’appellera The Dune.
このレジャー施設は、The Dune という複合ホテルに置き換えられる予定です。
sera remplacé par 〜は「〜に取って代わられる」という受動態の単純未来です。être の未来形 sera + 過去分詞 remplacé で受動態を作り、動作主は par で示します。
s’appellera は s’appeler(〜という名前である)の単純未来です。これからできる施設の名前なので、未来形になっています。
5. 自然を育む場所(1:55〜)
Cet espace naturel abrite une biodiversité variée.
この自然空間は、多様な生きものを育んでいます。
abriter は、もともとは雨風から守るという意味ですが、ここでは、場所が〜を宿す、〜のすみかになっているという意味で使われています。
単語メモ
commune コミューン(フランスの最小の行政単位)
canton カントン、小郡。現在のフランスでは主に選挙区分として使われる行政区画
agglomération 市街地;communauté d’agglomération で複数の自治体による広域連合
âme 魂;人数を数えるときは住民、人
mandat 任期;委任
surnom あだ名、愛称
multitude 多数、たくさん(une multitude de 〜)
protéger 保護する、守る
appellation 名称、呼称、公式の肩書き
centenaire 樹齢100年の、100歳の
cyclable 自転車用の(piste cyclable=自転車専用道)
emprunter (道を)通る、利用する;借りる
piéton(ne) 歩行者の(rue piétonne=歩行者専用道路)
prendre place 位置を占める、配置される
river (視線などを)くぎ付けにする、固定する
à l’heure d’aujourd’hui 現在は、今のところ
racheter 買い取る、買収する
filiale 子会社
complexe hôtelier 複合ホテル施設
abriter (場所が)〜を宿す、すみかになる;雨風から守る
arbustif / arbustive 低木の、灌木の
biodiversité 生物多様性
プチ文法:関係代名詞 lequel / laquelle
動画の中で、dans laquelle(その中で)という関係代名詞が2回出てきました。少し難しいところなので、整理してみます。
lequel / laquelle / lesquels / lesquelles は、先行詞の性・数に合わせて形が変わる関係代名詞です。
前置詞(dans, avec, sur, pour など)のあとに置いて、その〜の中で、その〜とともに、のようにつなぎます。人にも使えますが、特にものや場所が先行詞のときに使います。
男性単数:lequel
女性単数:laquelle
男性複数:lesquels
女性複数:lesquelles
動画ではこんなふうに使われています。
une forêt dans laquelle on peut voir des pins centenaires
→ 樹齢100年の松が見られる森(forêt は女性名詞なので laquelle)
une rue piétonne dans laquelle est située de nombreuses boutiques(1:13)
→ たくさんのブティックが並ぶ歩行者専用の道(rue も女性名詞なので laquelle)
なお、à と組み合わせるときは、à+lequel→auquel、à+lesquels→auxquels のように縮約します(à+laquelle はそのまま à laquelle)。
以下は自作の練習例文です。
C’est la maison dans laquelle j’ai grandi.
これは私が育った家です。
Voici les outils avec lesquels il travaille.
これが彼が仕事で使っている道具です。
※先行詞が場所のときは、où で言い換えられることも多いです(C’est la maison où j’ai grandi.)。dans laquelle のほうが少し改まった響きになります。
余談ですが、2つ目の例は、de nombreuses boutiques が複数なので、書き言葉としては dans laquelle sont situées de nombreuses boutiques となるのが自然です。
動画では est située と聞こえますが、話し言葉ではこうした言い間違いや一致のゆれが出ることがあります。
ル・トゥケの歴史・関連動画
この街がどうやって生まれたのか、その歴史をたどる6分ほどの地域レポートも紹介します。
Reportage régional : en route pour Le Touquet-Paris-Plage(地域レポート:ル・トゥケ=パリ=プラージュの道)
6分
ざっくりとした内容はこんな感じです。
・始まりは19世紀後半。パリの公証人アルフォンス・ダロースが、砂丘しかなかったこの土地を引退後の住まいとして買い、松を植えたのがきっかけでした。
・その後、新聞フィガロの幹部だったド・ヴィルメッサンが景観に魅了され、海水浴リゾートにすることを提案。1912年に街が正式に誕生します。
・英仏海峡を挟んでイギリスから約70kmと近く、自国では禁止されていたカジノを楽しめることもあって、多くのイギリス人観光客を惹きつけました。
・エディット・ピアフ、マレーネ・ディートリヒ、ジャンヌ・モロー、ピエール・リシャールなど、数々のスターに愛された街でもあります。
ショーン・コネリーが初代ジェームズ・ボンドの契約書にサインしたのも、この地(1962年)。
セルジュ・ゲンスブールにとっては、若い頃にピアニストとして働き、代表曲「リラの門の切符切り」(Le Poinçonneur des Lilas)を作った、キャリアの原点ともいえる街です。
・現在は約12kmの砂浜が続き、晴れた日は浜辺で過ごし、雨の日はイギリス風のパブで過ごす文化が根づいた、魅力的なリゾート地になっています。
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現在のフランス大統領エマニュエル・マクロン氏の夫人ブリジットさんは、アミアンの老舗チョコレート店 Jean Trogneux を営む家に生まれました。
この店はル・トゥケにも店舗があり、マクロン夫妻もこの街と縁が深いことで知られています。
近年も夫妻のル・トゥケの住まいがフランスのメディアで話題にり、街の知名度を高める一因になっています。
それでは、次回の記事もお楽しみに。











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