買い物用カート

フランス語を読む/聞く練習

おしゃれになった買い物用キャリーカートの話(動画で学ぶフランス語)

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ドイツとフランスを見比べる番組、カランボラージュ(Karambolage)から、買い物用のキャリーカートを取り上げた回を紹介します。

タイトルは、Du rayon légumes à la fashion week : l’étonnante popularité du caddie de courses(野菜売り場からファッションウィークへ:買い物用カートの意外な人気)

キャリーカートとは、食料品などを入れ、車輪で引いて歩くバッグ型のカートです。フランスではキャディー(caddie)と呼ばれることが多いのですが、この記事ではキャリーカートで通します。

3分15秒。フランス語の字幕はありません。

動画の内容:キャリーカートはスペイン生まれ

フランスに住むスペイン人の語り手が、隣人にすすめられたキャリーカートの正体を調べていくうちに、それが自分の故郷の近くで生まれたものだと知ります。

隣人にすすめられたキャリーカート

語り手はバレンシアでもパリでも買い物が嫌いです。重い袋をいくつも提げて帰るので、家に着くころには指に袋が食い込んでいます。

ある日、近所の人にからかうような調子で、どうしてみんなみたいにキャリーカートを持たないの、と言われます。見せてもらったのは、ロルサー(Rolser)というスペインのメーカーのもので、カート界のロールス・ロイスと呼ばれているカートでした。

麦わら帽子の工房から生まれたロルサー

1966年、バレンシア沿岸のペドレゲール(Pedreguer)という村の屋根裏で、イサベル・ペレス・コスタとビセンテ・セルベール・フェレールという職人の夫婦が、麦わら帽子やかご、柳や布のバッグを作っていました。

1972年、袋に車輪をつけてみたらどうか、という思いつきがすべてを変えます。こうして生まれたのが、車輪つきカートの第1号、ロルサーです。名前は、英語のroll(転がる)のRolと、セルベール(Server)という姓の最初の音節serを合わせたものです。

フランスではキャディー、ドイツではおばあちゃんのカート

ロルサーがフランスに上陸したのは1980年。フランスでは車輪つきのカートはすべてキャディーと呼ばれますが、これはもともと、スーパーのカートを作っていたアルザスの会社の名前です。

ドイツでのカートのイメージと呼び名は、このあとの重要フレーズで取り上げます。

デザインの対象としてのキャリーカート

ペドロ・アルモドバルはムービダ(la Movida)のまっただ中でこれを作品に登場させ、アガタ・ルイス・デ・ラ・プラダのようなデザイナーの手でランウェイも歩きました。ニューヨーク近代美術館(MoMA)は特別版を発注しています。

ペドレゲールの工場からは、毎日2500台のロルサーが出荷されています。

重要フレーズ

今回は構文の難しい文が少なかったので、表現としておもしろいと思った4か所を選びました。

1. 最初に喜んだのは女性たち(1:20〜)

Les premières à apprécier cette invention sont, personne ne s’y attendait bien sûr, les femmes, qui peuvent désormais rentrer de leurs courses sans se tuer à la tâche.

この発明を最初に喜んだのは、もちろん誰も予想しなかったことですが、女性たちでした。これ以降、彼女たちは買い物からへとへとにならずに帰れるようになります。

personne ne s’y attendait bien sûr は、そのまま読むと「もちろん誰も予想していなかった」ですが、ここは反対の意味をこめた皮肉な言い方です。重い荷物を運んでいたのは主に女性なのだから、予想できて当たり前ですよね、というニュアンスです。

les premières à + 不定詞 は「最初に〜した人たち」。女性なので女性形になっています。

se tuer à la tâche は直訳すると仕事で自分を殺す。身を粉にして働く、へとへとになるまでやる、という意味です。

2. 国境を越えたロルサー(1:33〜)

Une usine est construite et Rolser franchit les frontières.

工場が建てられ、ロルサーは国境を越えていきます。

短い文ですが、受動態(est construite)と能動態(franchit)が並んでいます。誰が工場を建てたかは言う必要がないので受動態、ロルサーは主語として立たせたいので能動態、という使い分け。

franchir は「越える」。franchir la frontière(国境を越える)、franchir une étape(一つの段階を越える、節目を乗り越える)のように使います。

過去の話なのに現在形なのは、歴史的現在と呼ばれる使い方です。

3. おばあさんも若者も(1:48〜)

on peut voir aussi bien une grand-mère qu’un jeune branché tirer un caddie.

おばあさんも、流行に敏感な若者も、キャリーカートを引いているのが見られます。

aussi bien A que B で「AもBも同じように」。二つのものを対等に並べる言い方です。

voir + 名詞 + 不定詞(〜が…しているのが見える)という知覚動詞の構文になっています。A と B が長いので tirer un caddie が最後に置かれています。この構文は、プチ文法で取り上げます。

branché(e) はもともと「電源につながれた」で、そこから流行に通じている、感度が高いという意味で使われます。

4. ドイツ人も気に入り始めた(2:10〜)

Malgré tout, les Allemands commencent eux aussi à y prendre goût.

それでも、ドイツ人もまたキャリーカートのよさがわかってきています。

この直前で、ドイツ語での呼び名が二つ紹介されています。ひとつは Omatrolli(おばあちゃんのカート)、もうひとつは皮肉をこめた der Hackenporsche(かかとに乗り上げてくるポルシェ)。あまりいいイメージではありません。

prendre goût à + 名詞 は「〜が好きになる、味をしめる」。ここでは à のあとが y(=カートを使うこと)に置きかわっています。

eux aussi(彼らもまた)は、主語の les Allemands を受けて強める強勢形です。動詞のあとに置かれているので、少し離れて見えます。

単語メモ

saucissonné(e) ひもで縛られた、ソーセージのようにくびれた

chariot カート、手押し車

roulette 小さな車輪、キャスター

grenier 屋根裏部屋、物置

osier 柳(かご細工に使う枝)

paille 麦わら

se tuer à la tâche 身を粉にして働く

frontière 国境

rebaptisé(e) 名前をつけ直された

branché(e) 流行に敏感な、感度の高い

figé(e) 固まった、こわばった

talon かかと

la Movida ムービダ(1980年代スペインの文化運動)

défiler 行進する、ファッションショーで歩く

sous la houlette de 〜の指揮のもとで

プチ文法:知覚動詞 + 不定詞

重要フレーズ3に出てきた形です。

on peut voir aussi bien une grand-mère qu’un jeune branché tirer un caddie.
おばあさんも、流行に敏感な若者も、キャリーカートを引いているのが見られます。

voir(見る)、entendre(聞く)、sentir(感じる)、regarder、écouter といった知覚動詞のあとに、〈名詞 + 不定詞〉を続けると、「〜が…しているのが見える(聞こえる)」という意味になります。英語の I saw him leave と同じ組み立て方です。

J’entends les enfants jouer dans le jardin.
子どもたちが庭で遊んでいるのが聞こえます。

Je regarde le train partir.
電車が出ていくのを見ています。

Elle sent son cœur battre très fort.
彼女は心臓が激しく打っているのを感じます。

語順には少し幅があります。名詞のときは、不定詞の前でも後ろでも大丈夫です。

J’entends les enfants jouer. = J’entends jouer les enfants.

ただし、不定詞のほうに目的語がついているときは、入れ替えられません。J’entends les enfants chanter une chanson.(子どもたちが歌を歌っているのが聞こえます)は、この語順だけです。

また、目的語が代名詞のときは、かならず知覚動詞の前に出ます。

Je les entends jouer.
子どもたちが遊んでいるのが聞こえます。

Je l’ai vu passer.
彼が通っていくのを見ました。

複合過去では、前に置かれた直接目的語が不定詞の動作主でもあるとき、過去分詞はその目的語に性数一致します。この l’ は男性単数の le なので vu、女性なら Je l’ai vue passer. になります。

動画の文が読みにくいのは、voir と不定詞のあいだに aussi bien A que B というかたまりが入っているからです。

une grand-mère と un jeune branché を取り除いて、on peut voir … tirer un caddie という骨組みを見れば、意味が取りやすくなります。

キャリーカートの選び方・関連動画

キャリーカートを選ぶポイントを解説した動画も紹介します。カナダの公共放送、ラジオ・カナダの番組 L’épicerie から、Comment choisir un chariot de magasinage?(キャリーカートの選び方)です。

5分35秒。フランス語の字幕あり。

インダストリアルデザイナーのコーエン・ドゥ・ウィンター氏といっしょに、18カナダドルから200カナダドルまでのカートを見比べています。

・持ち手は幅の広いものがいい。細い持ち手だと片手で引くことになり、カートが自分の体からはみ出して、すれ違う人にぶつかる

・店で見て硬くしっかりして見える生地は、折り目がつきやすく長持ちしない

・内側や外側の小さな収納や付属品はほとんど役に立たない。保冷になっている仕切りは本当に使える

・車輪は大きいほうがいい。片側3輪ずつの6輪タイプは階段の上り下りがラクだが、しまうときに場所を取る

・袋がフレームで自立するタイプだと、詰めるときに口を押さえる手がいらない

最後に一番のおすすめを聞かれて、専門家が一番高いものを挙げてから、自分は払わなくていいですからね、と言います。

予算を考えた二番手は、意外にもいちばんシンプルなカートでした。ただし、6輪の車輪だけ買ってきて、これにつけますけどね、と言い添えています。

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*****

買い物用のキャリーカートの動画を紹介しました。

以前、食料品店がすぐそばにあって、歩いて買い物に行っていました。

帰りはずいぶん重たい袋を提げて歩いていて、こういうカートがあれば便利だろうな、とは思っていました。でも、そのまま買わずに今日まできてしまいました。

今は引っ越して近くにスーパーがないので、全部配達にしています。

またスーパーのそばに住むことがあったら、そのときはおしゃれなカートを引いてみたいです。

動画は、これで由来を知ったからには、あちこちで目に入るようになりますよ、という言葉で終わります。

たしかに、名前や成り立ちを知ったとたんに、急に目につくようになるものってありますよね。

それでは、次回の記事をお楽しみに。

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