ルーブル美術館に飾られている、世界的に有名な名画、『モナ・リザ』は、美術館から盗まれたことがあります。
1911年8月22日のことです。
この盗難事件について、ユーモラスに説明している2分半の動画を紹介します。
タイトルは、Qui a volé la joconde ?(誰がモナ・リザを盗んだか?)
モナ・リザが盗まれた!
2分30秒。フランス語の字幕を表示させることができます。
トランスクリプション
Imaginez-vous, buvant votre café le matin, accompagné de votre journal, mais c’est là
qu’on vous annonce…
La Joconde a été volée !
Salut les artistes ! Nous sommes le 22 août 1911. Le soleil est au beau fixe, les oiseaux chantent enfin j’en sais rien mais imaginons. Sauf que là, c’est la panique : la Joconde a été volée !
Les gens crient dans les rues, ils hurlent à la mort ! Mais comment allons nous faire pour surmonter ce terrible événement ?
C’est la panique, c’est la panique, elle est où ? Elle est où ? C’est la panique, c’est la panique.
À l’époque, le lundi, le musée est réservé aux artistes qui viennent copier les tableaux et c’est à ce moment là qu’on a remarqué le vol.
Tous les artistes se regroupent aux pieds du mur blanc et il ne reste plus que le clou.
Le cadre est retrouvé quelques mètres plus loin dans l’escalier et une question est sur toutes les lèvres :
Mais qui a volé la Joconde ?
Mais qui a volé la Joconde ?
Mais qui a volé la Joconde ?
La police n’a aucune piste. Heureusement pour nous, le président des amis du Louvre a une bonne idée.
Il décide de racheter la Joconde au voleur au prix de 25 000 francs. Sauf qu’il est bien mignon le pépère, mais on les a pas les 25 000 francs.
Et comme par la magie de Noël, enfin non parce que c’est pas du tout la période de Noël une souscription est ouverte et chaque français va participer pour récolter la somme.
Retrouvons notre Joconde. Participez à la quête pour la Joconde.
Merci.
Radin.
La Joconde est en danger.
Cette cohésion française, ça me mets la larme à l’œil.
On attend le voleur, et rien, personne.
Deux ans passent, et on perd espoir.
Excusez moi, on cherche une dame avec les cheveux longs, sur un paysage un peu glauque, elle sourit, elle sourit pas. Bah, tiens, un peu comme ça ! Vous l’avez pas vu quelque part ?
Et un beau jour, un petit antiquaire florentin dit : “Moi je sais où elle est la Joconde, mais je veux d’abord les 25 000 francs !” Sauf qu’il est bien mignon, mais on les a plus les 25 000 francs.
Rebelote, une deuxième souscription est ouverte.
Retrouvons notre Joconde.
Participez à la quête pour la Joconde.
Merci.
La Joconde est en danger. Participez à la quête pour la Joconde.
Un an plus tard, la Joconde est enfin retrouvée.
Et où ça ? Bah chez son voleur, qui est arrêté.
Et où il l’avait cachée pendant deux ans ?
Dans une boîte, sous son lit.
Ça valait le coup !
Ils sont quand même balèzes ces artistes !
モナ・リザの盗難・和訳
想像してください。朝、コーヒーを飲みながら新聞を見ていると、こんなことが書いてあります。
モナ・リザが盗まれた!
こんにちは。アーチストの皆さん。1911年8月22日のこと。天気はよく、鳥は歌い、まあ、知りませんけど、そうだったと思いましょう。
ただ、パニックが起きていました。モナ・リザが盗まれた!
人々は、道で叫びました。死ぬほど。
このできごとを解決するために、どうしたらいいのだろう?
パニックです。パニックです。彼女はどこ? 彼女はどこ? パニックです。パニックです。
当時、月曜日には、美術館は、絵の模写をする芸術家のためだけに空いていました。このとき、盗難に気づいたのです。
芸術家たちがみな、グループになって、歩いて、白い壁まで行ったら、そこには(絵をかける)フックしかありません。
額は数メートル遠くにある階段の上で見つかりました。1つの質問が、皆の口にのぼりました。
「誰がモナ・リザを盗んだんだ?」
「誰がモナ・リザを盗んだんだ?」
「誰がモナ・リザを盗んだの?」
警察はまったく手がかりをつかんでいませんでした。
幸いにも、ルーブルの友達の社長がいいアイデアを思いつきました。
彼は、モナ・リザを、盗んだ人から25000フランで買い戻すことに決めました。
素敵なおじさんでしたが、25000フランなんてお金はありません。
そこで、クリスマスの魔法のように、まあ、クリスマスの時期ではなかったので違うのですが、募金が始まり、お金を作るために、フランス人一人ひとりが参加しました。
モナ・リザを取り戻しましょう。モナ・リザのために募金をお願いします。
ありがとう。
けち。
モナ・リザが危険なめにあっています。
フランス人の団結を思うと、涙が出ますね。
犯人の出現を待ちましたが、現れません。
2年がたち、人々は希望をなくします。
すみません。髪が長くて、暗い背景の前にいる女性を探しています。彼女は笑っていて、笑っていません。え~、ちょっとこんな感じです。どこかで見かけませんでしたか?
ある晴れた日、フレンツェの古美術屋さんが、言いました。「私はどこにモナ・リザがいるか知っている。でも、25000フラン、欲しい!」
彼は素敵な人でしたが、誰も25000フラン持っていません。
またまた、2回めの募金が始まりました。
モナ・リザを取り戻しましょう。
モナ・リザのための募金に協力をお願いします。
ありがとう。
モナ・リザが危険です。モナ・リザのために募金に参加してください。
1年後、ようやくモナ・リザが見つかりました。
どこにあったのか?
盗んだ人の家にありました。彼は逮捕されました。
2年の間、彼はどこにモナ・リザを隠していたのか?
箱に入れて、ベッドの下に置いてました。
そうする価値はありましたね。
アーチストって、本当にすばらしいですから。
単語メモ
au beau fixe 晴天が続いていて、良好な状態で
surmonter (困難、障害など)を乗り越える、制する
un pépère (話)おじさん
une souscription 募金、寄付
une quête 募金、カンパ
radin (話) けちな人
une cohésion 結合、団結
glauque (話)みじめな、陰鬱な
rebelote またしても
valoir le coup de (話)~してみるだけの価値がある
balèze (話)でっかい、たくましい;頭がいい、賢い
モナ・リザを盗んだのはイタリアの人
先に紹介した動画のタイトルは、Qui a volé la joconde ?(誰がモナ・リザを盗んだか?)なのにもかかわらず、犯人については、何も語っていませんので、補足します。
犯人は、Vincenzo Peruggia(ビンセンツォ・ペルージャ)というイタリア人です。
彼は、盗難の前の年に、モナ・リザを保護するためのガラスのケースを設置する仕事をしたことがある、美術館の元従業員です。
ペルージャは、月曜日が休館日なのを知っていたので、日曜から美術館内で隠れ、月曜の朝、人がいないすきに、モナ・リザを盗みました。
彼は白いスモックを着ていて、月曜日にスケッチに来る画家のふりをしつつ、絵をスモックの下に隠しました。
ペルージャは警備室の前を通って外に出ましたが、警備員はたまたま、このとき、席をはずしていました。
その後ペルージャはパリにある自分のアパートに戻り、ベッドの下に、モナ・リザを隠しました。
モナ・リザがないのがわかったとき、ルーブル美術館の一番えらい人はバカンス中でした。
絵がないことを知らされた、警備の責任者は、「写真撮影に使われているのだろう」とのんきにかまえていたので、盗難が発覚するまでに時間がかかりました。
まさか、モナ・リザが盗まれるなんて想像していなかったのでしょうね。
警察は内部事情に詳しい者が犯人だと考え、従業員全員の指紋を取り、階段に捨てられていた額縁についていた指紋を照合しましたが、誰の指紋とも一致しませんでした。
ペルージャは、このときは従業員ではなかったので、指紋は取られていません。
この盗難は大騒ぎになり、アポリネールやピカソまで疑われ、警察の尋問を受けました。
アポリネールの秘書兼雑用係が、昔、ルーブル美術館から、小さな像を盗んだことがあるからです。
ピカソはアポリネールの友人だったので、疑われました。
もちろん2人とも盗難には関係ありません。
警察の捜査が続いている中、美術館も独自に捜査しました。絵の責任者が、前の年に、ルーブル美術館で働いたことがある人、全員に聞き込みをし、ペルージャのアパートにも行って話を聞いています。
しかし、彼は、プロの捜査官ではないからか、ペルージャのベッドの下に、モナ・リザがあることに気づかなかったのです。
絵が姿を消してから2年後の1913年の12月、イタリアのフィレンツェで、ある古美術商が、プライベートコレクションの絵を集めた展覧会の準備をしていました。
その彼のもとに、「モナ・リザをあなたに売りたい。私はモナ・リザを持っている」という手紙が、フランスにいるイタリア人から届きました(手紙に使われていた名前は偽名)。
古美術商は、何かの冗談だと思いましたが、友人に相談したうえで、その手紙に返事を出し、手紙の主と会いました。
もちろん事前に警察に連絡をとっていたので、モナ・リザを持ってあらわれた男、ペルージャは、逮捕されました。
ペルージャは、モナ・リザは、イタリア人であるダ・ヴィンチが描いた絵だから、イタリアにあるべきなのに、ナポレオンに盗まれてフランスにある、と思い込み、イタリアに取り戻そうとしたのです。
だから、彼は盗人なのに、当時のイタリア人から英雄扱いされました。
モナ・リザは、1914年の1月にルーブル美術館に戻りました。
モナ・リザは、フランソワ1世が、ダヴィンチより直接買い取っています。これは合法的な取引で、べつにフランスがイタリアから奪ったわけではありません。
昔はインターネットがなかったから、こういうことを知らない人、いっぱいいたんでしょうね。
こちらは盗難事件について伝える4分半の動画です。
Le jour où on a volé la Joconde ! (モナ・リザが盗まれた日))
この動画には、ペルージャのお孫さんが出ており、「私は、祖父のやったことをとても誇りに思っています」と言っています。
■モナ・リザに関する過去記事もどうぞ
1911年8月に盗まれてから、モナ・リザはやたらと新聞にのっており、これがきっかけでさらに有名になったと言われています。
もちろん、この事件のあと、警備は強化されました。
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