2022年6月24日、アメリカ合衆国の最高裁が、妊娠中絶を女性の権利として認めた1973年の「ロー対ウェイド」判決をくつがえしました。
「合衆国の憲法は、中絶する権利を与えていない」、という見解を示したのです。
なんと、50年前に逆戻り。
今後、26の州で、中絶が大幅に規制されます。
この事件を受けて、世界における中絶の扱いを1分半にまとめたTV5Mondeの動画を紹介します。
タイトルは、Droit à l’avortement dans le monde : où en est-on ? (世界の中絶の権利:私達はどこにいるか?)
Droit à l’avortement
1分42秒。
トランスクリプション
Hammourabi, roi de Babylone.
C’est à lui que l’on doit la première loi interdisant l’avortement.
C’était en 1750 avant Jésus-Christ.
Et durant les siècles suivants, bien qu’il soit pratiqué dans toutes les sociétés, les différentes législations sont toutes allées dans le même sens.
Il a fallu attendre le début du XXe siècle pour que l’avortement devienne un droit.
Et c’est l’Union soviétique de Lénine qui devient, en 1920, le tout premier pays au monde à légaliser l’interruption de grossesse pour protéger les femmes des pratiques clandestines, trop souvent mortelles.
Autre pays pionnier, la Suisse.
En 1942, elle autorise l’avortement si la vie et la santé de la femme sont en danger.
Il faudra attendre 1975 en France, 1990 en Belgique, 2019 pour l’Irlande du Nord.
Aujourd’hui, en Europe, seuls Malte, Andorre et le Vatican sanctionnent l’IVG.
Le Canada dépénalise en 1988.
Légiférer en la matière, un moyen aussi de contrôler les naissances, comme en Chine, et ses décennies de politique de l’enfant unique.
L’avortement est légal depuis 1950, et entièrement gratuit.
C’est sur le continent africain où l’accès à l’IVG reste le plus inégalitaire.
Dans la plupart des pays, où il est pourtant légalisé, les conditions exigées sont souvent impossibles à remplir, à l’exception de la Tunisie, du Mozambique, du Bénin et de l’Afrique du Sud.
De nos jours, une vingtaine de pays l’interdisent de façon stricte.
Plus de 40 % des femmes dans le monde vivent dans des États aux lois restrictives.
2022 : les États-Unis reprennent en main le destin de millions de femmes en autorisant d’interdire l’avortement.
中絶の権利・和訳
バビロンの王、ハムラビ。
彼が、中絶を禁止する最初の法律を作りました。
紀元前1750年のことです。
その後の数世紀の間、あらゆる社会で中絶が行われていましたが、法律は違っても、すべて同じ方向を向いていました。
中絶が権利として認められるようになったのは、20世紀のはじめになってからです。
レーニンが統治していたソビエト連邦が、堕胎を合法化した最初の国です。1920年のことです。命を落とす危険が大きかった、闇で行われる手術から女性を守るためでした。
もう1つ、パイオニアとなった国はスイスです。
1942年、女性の命と健康に危険が及ぶ場合は、中絶を認可しました。
フランスでは1975年、ベルギーでは1990年、北アイルランドでは2019年になってから認められました。
今日、ヨーロッパでは、マルタ、アンドラ、バチカンだけが、中絶を処罰しています。
カナダでは、1988年に中絶の処罰がなくなりました。
この分野の法整備は、出生をコントロールする方法でもあります。数十年に割って、一人っ子政策を行った中国のように。
中国では1950年から中絶は合法で、完全に無料です。
中絶へのアクセスがもっとも不平等なのは、アフリカ大陸です。
合法化されてはいてもほとんどの国で、要求される条件を満たすのは不可能に近いのです。チュニジア、モザンビーク、ベナン、南アフリカを除いては。
現在、およそ20の国が、とても厳しく中絶を禁止しています。
世界の女性の40%以上が、制限のある法律のある国に住んでいます。
2022年、中絶の禁止を認めようとしているアメリカ合衆国は、数百万人の女性の運命の鍵を握っています。
単語メモ
l’IVG interruption volontaire de grossesse 妊娠中絶
sanctionner 罰する、処罰する
légiférer 法律を制定する
en la matière その分野においては
vingtaine 約20
アメリカの中絶禁止・関連動画
La Cour suprême des États-Unis enterre le droit à l’avortement(米最高裁が中絶の権利を葬った)
こんなことが起きました、と伝えるラジオカナダのニュース。
2分15秒。
Avortement aux États-Unis : chaque État est désormais libre de l’interdire (米国における中絶:今後、各州が自由に中絶を禁止できる)
1分20秒。
州によって中絶できるところとできないところがあります。
貧しい人や、仕事や家事で忙しい人は、遠くまで行って中絶をするのも大変です。
カナダでは、アメリカから、たくさんの人が中絶にやってきた場合、カナダの医療体制が支障をきたすのではないか、という話がニュースになっています。
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今、合衆国の最高裁は、保守派の判事の方が多いので、「それって、実情に合わないよね?」的は判決が出ていると思います。
中絶の話の前には、銃はそんなにしっかり規制しなくてもいい、というか、銃を持つ権利あり、としていました。
そして、7月4日の独立記念日のパレードで、イリノイとペンシルベニアで銃撃事件が起きました。
中絶に反対している人たちは、罪のない人(胎児)を死なせてはいけない、と言うのですが、銃で罪のない人たちを殺すのはいいのでしょうか?
中絶を規制して、銃を規制しないなんておかしい、と思うのですが。
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