アメリカ合衆国のトランプ大統領が、2017年1月27日にイスラム圏の7カ国の人々のアメリカ入国を一時的に禁止する大統領令を発令。
それに対して、各地で抗議のデモが起こっているニュースを子ども新聞、1jour1actuから紹介します。
2月3日にワシントンの連邦地方裁判所が、この禁止令の即時停止(一時差止め)をしたので、現在は、対象国の人々もふつうに入国できているようです。
トランプ大統領に抗議の嵐
Tout comprendre sur les protestations anti-Trunp
なぜこれが今日の話題なの?
昨年11月の選挙以来、アメリカの新大統領、ドナルド・トランプ氏は自国と他の国に大きな不安を引き起こしています。
多くの人が、はたして彼が国を指揮してアメリカ人の結束を固めることができるのか疑問視。
彼の政治的決定に対して、すでに大きな抗議活動が生まれています。
合衆国では、トランプ大統領が中東とアフリカの7カ国の国民がアメリカに入国するのを禁止しました。この決定に国内はもとより世界中で抗議デモが起こりました。
国民や団体は人権を侵害する決定に抗議しているのです。
トランプ大統領の決定とは? Qu’a décidé Donald Trump ?
トランプ大統領は、中東とアフリカの7カ国(イラン、イラク、シリア、イエメン、リビア、ソマリア、スーダン)の人々がアメリカの領土に入るのを一時的に禁止する命令に署名しました。
同時に、4ヶ月の間、全世界からの移民の受け入れを拒否することも決定。特にシリアの難民の受け入れをしないことにしました。
なぜトランプ大統領はこんな措置をしたのか?
大統領はアメリカ国民を守りたいと言っています。この7か国は危険であり、テロリストをかくまっていると言うのです。
彼は、「これはイスラム教徒を対象としたものではない」と言っています。しかし、この7カ国はどれもイスラム教徒がひじょうに多い地域です。
なぜこの決定が問題なのか?
この決定の翌日から大勢のアメリカ人がイスラム教徒に対する差別的な処置をやめるように抗議しました。デモはイギリスのロンドンやパリなどほかの大都市でも起きました。
外国人に対する禁止令のせいで主要な空港で混乱が起きました。アメリカに住んでいる多くの二重国籍の人々は自国に帰れるかどうかわかりませんでした。
ひじょうに多くのアメリカ人がこの国の民主主義の将来について不安をいだいています。
これから何が起こるのか?
人権擁護団体が、この禁止令を問題視。合衆国の憲法は生まれや宗教のせいでどんな差別をすることも禁止しています。
そこで擁護団体は、合衆国の憲法や大統領の反対派勢力が、トランプ大統領の決定を止めることを期待しています。
合衆国では国民の10人のうち1人は外国生まれです。その数は4000万人以上です。
きょうの単語 décret
décret は大統領が発令する文章に書かれた決定であり、法律と同等の効力を持つ。アメリカ合衆国では、こうした命令を出せるのは大統領だけであり、署名すればすぐに施行される。
こちらは、ロンドンやベルリン、パリなどの抗議デモの様子を伝えるユーロニュースです。
単語メモ
inquiétude 不安、心配、懸念、動揺
se mobiliser (人々が)行動を起こす
atteinte à ~に対する侵害
viser ねらいをつける
interdiction 禁止
pagaille 混乱、乱雑
remettre qn en cause ~を再検討する、再び問題にする
s’appuyer sur ~に頼る
議会の措置に怒っているトランプ大統領
大統領令は、大統領がサインすれば、議会の承認を得なくても、すぐに効力を持ちますが、連邦裁判所が、違憲かどうか決めることができます。
裁判所が禁止令を即時停止したので、国務省は無効になったビザをまた有効にする考えです。
この処置に対し、トランプ大統領は怒っており、すぐに撤回するように申し立てすると思われます。
彼はこんなふうにツイートしています。
The judge opens up our country to potential terrorists and others that do not have our best interests at heart. Bad people are very happy!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2017年2月5日
訳:判事がテロリスト予備軍とアメリカ国民の利益を考えない人間に対して、我が国の扉を開けた。悪人たちはさぞ大喜びだろう。
トランプ大統領はよくツイートしていますが、繊細さにかけた発言が多いのが特徴です。ただ、英語は簡単です。
アメリカではトランプ大統領のツイートを分析している人たちが何人かいます。
そういう人たちによると、いわゆる暴言は本人がアンドロイドから投稿しており、比較的まともな発言はスタッフがiPhoneから投稿しているとのことです。
今回の禁止令で、当初、正式な査証や永住権を持っているのに、市民権を持っていない人たちは、空港で足止めをくらってしまったようです。
裁判所が禁止令を停止しましたが、だからといって、そんなにすんなり入国できないと思われます。いろいろチェックしなければなりませんから。
カナダのパスポートを持っている人は、ターゲットとなっている7カ国の国籍を持っていても(つまり二重国籍ということです)、アメリカに入国できます。
大統領令のせいで6万人ほどのビザが、一時的に無効になってしまったそうです。これでは空港の移民局は大混乱ですね。
これまでふつうにアメリカで暮らしていて、アメリカの会社で仕事をしていた人が、ちょっと外国に出張したり、自国に帰ってまた戻ってきたら、いきなりアメリカに入れなくなってしまったのです。
トランプ大統領は、アメリカを守るためといってますが、単に混乱を生み出しているだけのようにも見えます。
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