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フレンチポップスの訳詞

恋人に捧ぐバラッド:Ballade pour toi(ミッシェル・ポルナレフ)の訳詞

今もとても人気があると思われるミシェル・ポルナレフの『恋人に捧ぐバラッド』(Ballade pour toi)を紹介します。1966年発売のデビューアルバムにおさめられている曲です。

ポルナレフというと『シェリーに口づけ』や『愛の休日』が有名ですが、デビュー・アルバムにもよい曲がたくさんあります。

「恋人に捧ぐバラッド」は正式には、Ballade pour toi (Ce que je cherche est en toi) というタイトルです。難しい単語は入っていないし、文法も難しくないのでフランス語の初心者向けです。



Ballade pour toi 恋人に捧ぐバラッド

それでは訳詞に挑戦!

Mon ami tu prends le plus long chemin
Pour arriver jusqu’à moi
Oublie les mots
Tout est simple, viens
Viens, repose-toi chez moi

僕の恋人よ、きみはずいぶん遠回りをしたね
僕のところにたどり着くのに
言葉は忘れて
すべては単純なんだ、おいで
おいで、僕のところで休むといい

☆C’est la vie qui va et s’en va
C’est la vie ne la laisse pas
Oublie tout ce qui est en toi
Ce que tu cherches est en moi

やってきて、また去っていく、それが人生さ
何も残らない、それが人生さ
君のものはすべて忘れて
君が探しているものは、僕の中にある☆

僕の恋人よ、君はずいぶん遠回りをしたね
当然のように、僕を愛するまでに
言葉は忘れて
本当に単純なことなんだ、おいで
おいでよ、僕のうえで休みなよ

☆~☆ 繰り返し

Mon ami tu prends le plus court chemin
Pour te séparer de moi
Dis-moi un mot
Rien qu’un seul j’y tiens
Avant de quitter mon toit

僕の恋人よ、君はもう行ってしまうんだね
僕から離れるために
一言聞かせて
たった一言でいい
僕の所から行ってしまう前に

C’est la vie qui va et s’en va
C’est la vie, ne la laisse pas
Oublie tout ce qui n’est pas moi
Ce que je cherche est en toi

やってきて、また去っていく、それが人生さ
何も残らない、それが人生さ
僕じゃないものはすべて忘れて
僕が探していたものは君の中にある

☆歌詞はこちらを参照しました⇒Michel Polnareff:Ballade Pour Toi Lyrics | LyricWikia | Fandom powered by Wikia

単語メモ

rien que … ただ~だけ、たったの~
C’est à moi, rien qu’à moi. それは私のもの、私だけのもの

tenir à  ~を大切にしている、心から願う

Rien qu’un seul j’y tiens の直訳は、私はたった1つのものだけを心から願う⇒たった一言だけでいい、と訳してみました。

toit  すみか、家

tu prends le plus long chemin 直訳は、もっとも遠い道をいく。
tu prends le plus court chemin もっとも近い道をいく。

要するに、ようやく理想の恋人に巡り会えたと思ったら、すぐに去って行ってしまった、大好きだったのに、という感じでしょうか。

運命の人にようやく巡り会えたと思ったら、すぐに別れることになってしまった。人生とはむなしいものよ、という歌だと思います(penの解釈です)。

さて、一番最初に Mon ami とあるので、ポルナレフ(男性)の恋人なら amie ではないのか?と不審に思いました。いろいろ調べたところ、この曲の歌詞を書いた人は、Annette Kopelman という女性でした(作曲はポルナレフです)。もともとは女性が男性を思う歌なのでしょう。

よって、前川清が歌う歌みたいに、女性の心情を歌っているふうに訳してもいいかと思います。

つまり、

ねえ、あなた、ずいぶん遠回りをしたのね
私のところに来るまでに
何も言わないで
難しいことなんかないわ
こっちに来て、私のところに。

こんな感じです。

バラッドとバラード の違い

ポルナレフのデビューアルバムを日本のアマゾンでチェックしたところ、邦題が「恋人に捧ぐバラッド」となっていたので、これを記事のタイトルに入れました。

今回はバラッドとバラードの違いを考えてみましょう。この2つ、日本語としては微妙に違います。

◆バラッド

バラッドは ballad (これは英語です)で、民間伝承の物語詩、民謡です。物語性が強いもの、と考えられます。語る感じのあるのがバラッドと言えましょう。

balladがバラードという意味で使われることはあります。

英語の発音は「バラド」みたいな感じ(私の持ってる仏語辞書にはballadはのっていません)。この言葉の語源はジーニアス英和大辞典によればプロバンス語の balada(踊りながら歌われた歌)です。

◆バラード

バラードは ballade で、これは音楽のバラードです。

フランスの中世の定型詩(短い叙事詩)が発展したもの。フランス語の発音はバラド(あるいはバラード)です。フランス語ではたぶん、balladeという単語で、バラードもバラッドもカバーするのではないだろうか、と思います(調べきっていませんが)。

まあ、よく似ているといえば似ているし、同じ意味で使うこともあります。

今、電子辞書に入っているデジタル大辞泉で、バラッドをひいたら、balladと書いてあって、「⇒バラード」に誘導されました。しかしバラードのところには ballade というスペルがあります。

私には、バラッドは物語を語るもの、バラードはロマンチックなイメージがあるので、「恋人に捧ぐバラッド」というタイトルを見ると、多少違和感を感じます。

しかし、この曲の内容は決してロマンチックではないと思うので、その意味ではバラッドのほうが合うのかもしれない、とも思います。

balade と ballade は同音異義語

フランス語には ballade と同じ発音の balade という単語があります。

これは balader から派生した名詞で、「散歩」という意味です。動詞 balader の語源は ballade です。bal や ball という語には「踊る」という意味があります。

bal 舞踏会
baller 揺れる
ballet バレエ

こちらは balade と ballade は発音は同じだけど意味は違うよ、と子どもむけに見せている動画です。

まあ、語源はみな親戚と言えましょう。



愛と青春のトルバドゥール

Ballade pour toi の入っているポルナレフのデビュー・アルバムのタイトルは、Love Me Please Love Me(ラブミープリーズラブミー)です。同名の曲がアルバムに収録されています。

しかし、日本語のタイトルは、「愛と青春のトルバドゥール」です。このアルバム、日本では69年ぐらいに出ているようですが、そのときすでに「愛と青春の~」となっていたのでしょうか?

当時は新しい感じがしたかもしれませんが、この「愛と青春の~」はその後使われすぎて、すっかり手垢ががついてしまいましたね。

トルバドゥールですが、これは troubadour です。トルバドゥールは中世(11~13世紀)において、オック語(プロバンスの言葉)で宮廷の恋愛をテーマに詩を書き歌った人のことです。吟遊詩人とも呼ばれます。

ファーストアルバムではフォーク・ロックの色が濃かったので、トルバドゥールなんて名前をつけたのでしょうね。

トルバドゥールはもともと愛の歌を歌っていたので、その前に「愛と青春の」とつけることもないけれど、ただ単に「トルバドゥール」とするとそれはそれで変だし、フランス語の曲の邦題やアルバム・タイトルをつけるのはなかなか大変そうです。

ポルナレフは、Love Me Please Love Me と英語のタイトルで勝負に出ているのがおもしろいところです。

ポルナレフはほかに3曲、訳しています。

デビュー曲

超有名曲

ポルナレフのプロフィールはこちらに書いています。

私がこれまで一番よく聞いたフレンチポップスは、ミッシェル・ポルナレフの曲かフランソワーズ・アルディの曲のどちらかです。

昔は全く意味がわからず聞いていました。LPに歌詞カードがついていましたが、それを読んでも今いちよくわかりませんでした。日本語なのに。

若いとき好きだった歌をのんびり訳していくのも楽しいものです。






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