海とボート

フレンチポップスの訳詞

「渚の想い出」ミッシェル・ポルナレフ:歌と訳詞

海の季節にふさわしいミッシェル・ポルナレフの Tous Les Bateaux, Tous Les Oiseaux (邦題:渚の思い出)という歌を紹介します。

ポルナレフは70年代に日本でも大変人気のあったフランスのミュージシャンです。



渚の思い出

1969年(昭和44年)に出たシングルのA面。B面は「シェリーに口づけ(Tout, Tout Pour Ma Chérie)」でした。

Tous Les Bateaux, Tous Les Oiseaux は、「すべての舟、すべての鳥」。舟も鳥も全部きみにあげるよ、というロマンチックな歌です。

たいへん美しい曲です。テレビ番組で口パクで歌っている動画を選んでみました。
3分26秒

後ろにフラダンスの人たちがいますね。この日は海の曲の特集だったのかもしれません。

この曲を作ったのはポルナレフではなく、クレジットは J.L. Dabadie – P. de Sennevilleです。邦題はかなり安直ですね。しかもワイルド・ワンズの「想い出の渚」とそっくりです。

それでは訳詞に挑戦!

☆きみにあげよう
すべての船と
すべての鳥と、すべての太陽を
すべてのバラと
きみの目をみはらせるものすべてのものを
僕の通りの少女へ☆

きみは決して見たことがない
すべての船と
すべての鳥と、すべての太陽を
宝の島
そして金の果実にミツバチを
泣かないで
かわいいきみ

僕、僕はきみがやってくる夢を見たんだ
ああ、僕の小さな人、初めて会うきみ
僕はきみをこの通りで見つけた

きみにあげよう
すべての舟と
すべての鳥と、すべての太陽を
街の騒音について教えてあげる
島の名前も
僕の通りの少女

きみは決して見たことがない
カモメと夜明けの光を
海がまだ景色になっていないときの
泣かないで
ぼくのかわいい人

こっちにおいで。ベールがかかっている
星のうえに
ああ、僕の小さな人、初めて会ったきみ
きみの通りの遠くで舞踏会をやっている

☆~☆ 繰り返し

きみにあげよう
海とカモメを
そして金の果実
宝の島
星のうえの
大きな舞踏会を
泣かないで、僕の恋人
ラララララ~

☆上の歌詞では、11行目、les fruits d’or の d’or が抜けています。

単語メモ

donnerai < donner あげる の未来形。意志を表しています。

複数が~Xになる名詞
船 bateau → bateaux
鳥 oiseau → oiseaux
この歌を覚えておけばまず忘れませんね。

tous すべて 男性形
toutes -”- 女性形
この曲に出てくるtous (tout)は形容詞なので、修飾している名詞の性別に合わせます。

s’émerveillent < s’émerveiller ~に感嘆[驚嘆]する
名詞は merveille すばらしい物、驚嘆の的
cf. Alice au pays des merveilles
『不思議の国のアリス』⇒第15回『不思議の国のアリス』

inconnue 見知らぬ人、初対面の人

goéland カモメ
カモメという単語には mouette というのもあります。辞書によれば、mouette は繁殖期になると頭が黒くなる小型のカモメで、goéland は頭の黒くならない大型のカモメだそうです。

goéland
かもめ

paysage 風景、景色

bal 舞踏会、ダンスパーティ

文法プチポイント

この曲で勉強できる文法ポイントはたくさんあります。

単純未来形⇒「まいにちフランス語」36:L58 単純未来その1
donnerai, apprendrai

複合過去形⇒「まいにちフランス語」30:L52 複合過去その1
Tu n’as jamais vu 否定になるときのneの位置

je t’ai rêvée 
je t’ai trouvée
目的語に過去分詞が性数一致

tu es venue venir はの助動詞は être、過去分詞は性数一致する⇒「まいにちフランス語」31:L53 複合過去その2

関係代名詞も1つ出てきますね。



ミシェル・ポルナレフのプロフィール

ポルナレフという名はロシア人の名前です。

彼は1944年生まれ。第二次世界大戦中に両親が疎開していた南フランスのネラックというところで生まれました。

お父さんはウクライナ出身のユダヤ人です。このお父さんが作曲家でジャズ・ピアニスト、お母さんはフランス人のダンサー。

両親が音楽に関係のあるショービジネスに携わっていたせいか、彼は小さいときからアカデミックな音楽教育を受けていました。

5歳でピアノ、11歳で作曲を始め、ピアノがすごく上手でした。

コンセルヴァトワールでも一番成績がよかったのですが、十代のころ、プレスリーのロックン・ロールが流行っており、次第にそちらに興味がうつります。

息子がクラシック音楽の道に進むことを望んでいた親と衝突します。お父さんは有無を言わさぬタイプだったようです。

そのため、ポルナレフはギターを片手に家出します。

ヨーロッパを放浪し、パリに戻ったあとはサクレ・クール寺院のあたりで歌っていました。

ある日ルシアン・モーリスと運命の出会いをします。

モーリスはヒット曲をかけるラジオの音楽番組を持っていて、« Disc’AZ »というレコード会社の経営に携わっていました。

彼と知り合ったことがきっかけでポルナレフのデビューが決まります。

デビュー曲、« La Poupée Qui Fait Non »がヒット⇒ノンノン人形~ミッシェル・ポルナレフ、歌と訳詞

ちなみにルシアン・モーリスという人はダリダの最初のご主人です。二人は5年ぐらい同棲していましたが、結婚したらすぐ別れてしまいました。

モーリスはフランスの数々のスターを発掘しました。日本で知られているところでは、ポルナレフ、ダリダ、ペトゥラ・クラーク(はイギリス人だけどフランス語でたくさんレコードを出しています)など。

彼は1970年の9月に亡くなりました。享年41歳、自殺です。

ポルナレフの話に戻ります。

デビュー曲は「ノンノン人形」⇒ノンノン人形~ミッシェル・ポルナレフ、歌と訳詞

ドラムスはレッド・ツェッペリンのジョン・ボーナム。ポルナレフのファースト・アルバムにはジミー・ペイジとジョン・ポール・ジョーンズも参加しているそうです。

1966年ごろのことです。レッド・ツェッペリンが結成されるのはこのあとのことです。

ファーストアルバムはこれ↓

フォーク・ロックみたいな音楽で、いわゆる昔ながらのシャンソンとは違います。彼はフレンチ・ポップスのパイオニアと呼べるでしょう。

日本で一番有名なのはたぶんこの曲ですね⇒シェリーに口づけ~ミシェル・ポルナレフ(歌と訳詞)

こんな曲も訳しています⇒恋人に捧ぐバラッド:Ballade pour toi(ミッシェル・ポルナレフ)の訳詞

Tous Les Bateaux, Tous Les Oiseauxは48年前の曲ですが古くさくないですね。着ている服は60年代という感じがしますが。

最近、彼の60~70年代の曲をよく聞いていますが、よい曲がたくさんあるのでまた紹介しますね。






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コメント

    • 片山かなみ
    • 2013年 4月 11日

    ヨコハマからBonjour!
    私の好きな曲を紹介して下さってありがとうございます。
    ポルナレフ作品は、メロディーはもちろん詞もとてもすてきで、私の「フランス語の扉」を開いてくれた存在です。
    今こそたくさんの人に聴いてほしいです。

    私のブログ「ごみの神様」の「ブックマーク」欄に、ペンギンさんのこのブログのリンクを貼らせて頂きました。
    たくさんの人のフランス語の扉が開きますように。

      • フランス語愛好家
      • 2013年 4月 11日

      かなみさん、こんにちは。
      あ、この曲、お好きでしたか?
      私は「シェリーに口づけ」よりはこっちのほうが好きなので、
      まずこの曲を紹介しました。
      彼は、いい歌多いですよね。
      また少しずつ紹介したいと思っています。

      相互リンク、どうもありがとうございます。
      これからもよろしくお願いします。

  1. ポルナレフ、懐かしいです。
    当時のアルバムはみんな持っていて
    よく聞いていました。

    でも、歌のタイトルの和訳は、
    今では、ちょっと甘過ぎる感じもしますね。

      • フランス語愛好家
      • 2013年 4月 11日

      えばらぎおばさん、こんにちは。
      以前、ポルナレフのファンだとおっしゃっていましたね。
      そうですね~。タイトルに何でも「~の想い出」とか「恋人たちの~」と
      つけてしまうのっていまだにある傾向ですね。
      詩をよんでみると、なかなか味わい深いのに。

    • coucoubonheur
    • 2013年 4月 11日

    ポルナレフの曲では 私は Ça n’arrive qu’aux autre が大好きです。
    映画「哀しみの終わる時」という映画の主題歌となり大ヒットしましたね。 去年ピアノで弾けるようになりたくて楽譜を取り寄せたりしましたが 全くの無理(笑)とわかりあきらめました。
    主人がギターで時々歌っています。

      • フランス語愛好家
      • 2013年 4月 11日

      コメールさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      ああ、それは「哀しみの終わるとき」ですね。
      ドヌーブとマルチェロ・マストロヤンニの。
      その曲もいい曲ですね。
      コメールさん、ピアノも弾けるんですね~。

        • coucoubonheur
        • 2013年 4月 12日

        全然です(涙)去年突然ピアノがやりたくなって昔少しやったことがあるというだけで できるかもなどという気になり電子ピアノを購入、弾きたい曲の楽譜ばかり集めて結局はどれも弾けず(当たり前ですね笑)今、電子ピアノはホコリをかぶっています・・・情けないですね。でもいつか好きな曲が1曲でも弾けるようになりたいという希望は捨てていないのですが・・・ 

          • フランス語愛好家
          • 2013年 4月 12日

          コメールさん、こんにちは。
          コメントありがとうございます。
          電子ピアノあるんなら、弾くと楽しいかも。
          ピアノ、けっこう独学してる方多いですよね、最近。
          コメールさん、やったことあるならまた弾き始めればすぐに弾けるようになると思います。
          語学といっしょで無料の動画で教えてくれてる人もいるし。
          いきなり難しいのをひかないので、ひける曲からやっていけばいいのでは?
          私ももう少し時間ができたらアコースティックのピアノを買ってひけたらいいな~と思ってます。

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