モンブラン

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UTMB:モンブランを一周する伝説のトレイルラン

UTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)に関する3分の動画を紹介します。

タイトルは、UTMB : la course à pied qui a révolutionné le trail(UTMB:トレイルランニングを革命的に変えたランニングレース)

トレイルランニングは、舗装された道路ではなく山道や森林の小道を走る競技で、ざっくり言うと、山でするマラソンみたいなものです。

自然の中を走るので、上り下りが激しく体力的にも精神的にも大きな挑戦となります。

中でもウルトラトレイルと呼ばれる種目は、100キロを超えるような超長距離を走るもので、長時間、夜間も走り続けます。

その代表格がUTMBで、ヨーロッパアルプスの最高峰モンブランを一周する約170キロのレースです。世界中のトップランナーが集まり、完走するだけでも大きな名誉とされます。

UTMB

3分。フランス語の字幕(ハードサブ)あり。

トランスクリプション

– Je l’ai couru dix fois, effectivement, fini trois fois seulement, mais c’est long et difficile.

Ça devient presque impossible d’y échapper. Chaque année, fin août, il y a un événement sportif dont tout le monde parle: l’UTMB.

Jean-Philippe Lefief est journaliste au “Monde” et il a déjà écrit ou traduit tous ses livres sur le trail.

Pour lui, c’est simple.

– L’UTMB, c’est une course mythique qui a changé la course à pied.

L’Ultra-Trail du Mont-Blanc, c’est une course organisée à Chamonix en Haute-Savoie, lors de laquelle les participants doivent faire le tour du massif du Mont-Blanc.

Soit 170 kilomètres, pour plus de 10 milles mètres de dénivelé positif. Sa toute première édition a eu lieu en 2003.

– C’est la plus difficile course de montagne d’Europe.

– Dès la première édition, ça a été un succès assez inattendu. Les organisateurs s’attendaient à trois cents coureurs, ils en ont eu sept cents. Et d’emblée, ça a été quelque chose d’assez monumental, parce que la course a eu lieu dans des conditions vraiment très difficiles:
c’était le déluge, enfin, température hivernale, des trombes d’eau…

La pluie, le froid, la nuit, rien ne les arrête, ou presque. Ces coureurs de l’extrême sont prêts à tout pour réaliser leur rêve : faire le tour du plus grand sommet d’Europe, en courant.

– Sur les sept cents coureurs, il n’y en a que 57 qui sont arrivées au bout, ce qui a ajouté un petit peu à la dimension épique de l’événement. Il y a eu pas mal de vidéos qui ont circulé sur Internet très, très vite, dans lesquelles on voyait, en particulier, des gens arriver au col et dire «Plus jamais ça, c’est trop difficile.»

– J’ai été un peu présomptueux de mes forces je crois. Donc on s’arrête ici…Je voulais aller jusqu’à Chamonix mais…

– Et en fait, c’est un petit peu ce que cherchent les coureurs d’ultra-trail.

En quelques années, le nombre de participants à l’UTMB explose. Aujourd’hui, la jauge est limitée: dix milles personnes tentent de s’inscrire, mais deux milles cinq cents coureurs et coureuses peuvent prendre le départ. Les plus rapides mettent une vingtaine d’heures. La plupart ont besoin du double.

– Le parcours est d’une logique implacable, ce qui le rend très attirant. On fait le tour d’un massif, on passe onze cols qui sont tous mythiques. Avec chaque fois un point de vue différent sur le mont Blanc ou ses contreforts et les sommets qui l’entourent. C’est deux nuits pour la plupart des coureurs, avec deux lever de soleil absolument incroyables. Ça rend le truc complètement magique. Et ça attire vraiment tous les meilleurs coureurs du monde entier.

Dans son sillage, l’UTMB participe fortement à l’engouement pour la pratique de la course à pied et du trail. Mais, devenue une énorme machine, elle s’attire aussi de nombreuses critiques.

– L’affluence a un petit peu dénaturé l’esprit de départ, qui se voulait très proche de la nature, intimiste, on va dire. Et donc il y a beaucoup plus de fréquentation, ce qui provoque des dégâts environnementaux, ce qui accentue l’affluence à Chamonix. Et il y a aussi cette dérive commercial puisque l’UTMB est devenue une marque, qui se promeut comme telle,
qui a besoin de faire du bénéfice et qui le fait.

UTMB:和訳

- このレースを10回走りましたが、完走できたのは3回だけです。それほど長く、難しいんです。

今では、ほとんど避けることができません。毎年8月の終わりに、誰もが話題にするスポーツイベントがあります。それがUTMBです。

ジャン=フィリップ・ルフィエフは「ル・モンド」のジャーナリストで、すでにこれらのトレイルに関する本を執筆、あるいは翻訳しています。

彼にとってはシンプルなことです。

- UTMBは伝説的な競技です。ランニングを変えました。

「ウルトラトレイル・デュ・モンブラン」は、オート=サヴォワ県シャモニーで行われるレースで、参加者はモンブラン山塊を一周しなければなりません。

距離は170キロメートル、獲得標高は1万メートルを超えます。

第1回大会は2003年に開催されました。

- これはヨーロッパで最も過酷な山岳レースです。

- 初めて開催されたときから、予想外の成功を収めました。主催者は300人の参加を見込んでいましたが、実際には700人が集まりました。しかもいきなり途方もないものでした。非常に厳しい条件のもとで行われました。大雨、冬のような寒さ、滝のような豪雨で。

雨も寒さも夜も、彼らを止めません。

この極限に挑むランナーたちは、ヨーロッパの最高峰を駆け抜けて一周するという夢を実現するためなら、すべてをかけるのです。

- 700人の出場者のうち、完走できたのはわずか57人でした。それが大会の壮大な物語性をさらに強めました。すぐにインターネットに映像がたくさん出ました。特に、峠にたどり着いた人々が「もう二度とごめんだ、難しすぎる」と語っていました。

- 少し自分の力を過信していたみたいです。ここでやめます。シャモニーまで行きたかったんですけどね…

- 実は、こうした経験こそがウルトラトレイルのランナーたちが求めているものなのです。

数年のうちに、UTMBの参加者数は爆発的に増えました。現在では定員があり、1万人が申し込みますが、実際に出走できるのは2500人です。

最速の選手は約20時間で走破します。大多数はその倍の時間を必要とします。

– コースは非常に過酷で、それが大きな魅力となっています。ひとつの山塊をぐるりと回り、伝説的な11の峠を越えていきます。そのたびに、モンブランやその裾野、周囲の山々をさまざまな角度から眺めることができます。

ほとんどのランナーはコースを行くのに2晩を要し、その間に信じられないほど美しい日の出を2回見ます。それが、この体験を本当に魔法のようなものにしています。そして世界中の最高のランナーたちを惹きつけるのです。

UTMBはその影響力のもと、ランニングやトレイルランニングの人気の上昇に大きく貢献しています。しかし、巨大な組織となった今、数多くの批判も受けています。

- 人気が出たせいで、当初の精神が少し損なわれています。はじめは自然にすごく近づこうとしていました。家庭的というか。その後、観客や参加者が増えすぎたため、環境破壊が起こり、シャモニーの混雑もひどくなっています。

さらに商業化も進み、UTMBは「ブランド」となり、そのように自らを積極的に売り込んでいます。利益を出す必要がありますから。そして、実際にそうしているのです。

単語メモ

d’emblée 最初から、一挙に

monumental 途方もない、非常に大規模な

présomptueux うぬぼれた、思い上がった

jauge 容量、定員、参加枠

implacable 冷酷な、容赦ない → 文脈では「揺るぎない、徹底した」

contrefort 山の裾、山脚、支脈

sillage 航跡、後に残る流れ → 比喩的に「影響、余波」

dénaturer 性質を変える、損なう、歪める

intimiste 親密な、こぢんまりとした

se promouvoir 自らを売り込む、宣伝する

bénéfice 利益、収益

プチ文法:条件法現在

条件法は「事実ではないことを仮定して話す」ための法です。

「もし~なら…だろう」と仮定を表すだけでなく、「~したい」と丁寧に言うときや「~だろう」と推定を述べるときにも使われます。特にニュースや解説では、条件法で、予測・見込みを表します。

今回のトランスクリプションでは、次のような文がありました。

Les plus rapides mettraient une vingtaine d’heures. 最速の選手なら20時間くらいかかるだろう。

mettraient は、そう予測される、という推定です。

◆条件法の例文

・推定・予測(ニュース・解説でよく使う)

Il serait déjà arrivé à Chamonix. 彼はすでにシャモニーに到着しているだろう

Le nombre de participants dépasserait les dix mille. 参加者数は1万人を超える見込みだ

・丁寧な依頼・希望

Je voudrais un café, s’il vous plaît. コーヒーをいただきたいのですが

Pourriez-vous m’indiquer le chemin ? 道を教えていただけますか?

・仮定

S’il faisait beau, j’irais courir. もし天気がよければ、走りに行くだろう

Si j’avais plus de temps, je participerais à l’UTMB. もっと時間があれば、UTMBに出場するのに

「まいにちフランス語」43:L65 条件法現在その1

トレイルラン:関連動画

Géographie – Le relief (vocabulaire) 地理 — 地形(語彙)

山や丘など基本的な地形の語彙を小学生に説明している動画です。

2分

◆関連記事もどうぞ⇒なぜ、フランスにはオオカミを嫌う人がいるのか?

******

UTMBは限界に挑戦したい人にうってつけのトレイルランですね。

ただ、商業化が進んでいるのは残念なことです。

エベレスト登山も昔は、屈強な精神と力のある「選ばれし者」が挑んでいましたが、今はすっかり商業化されて、わりとふつうの人が登っている印象があります。

ガイド付き登山やヨガスタジオがあったりもしますね。

UTMBは今後も伝説のレースであり続けるのか、それともさらなる商業化の道を進むのか? 注目していきたいですね。






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