きょうご紹介することわざはこちらです。
C’est la poule qui chante qui a fait l’œuf.
笑っているやつが犯人だ。
笑っているやつが犯人だ
フランス語の原文は、「鳴いているニワトリこそが、卵を産んだニワトリだ」という意味です。私はニワトリに詳しくありませんが、ニワトリは卵を産んだあと、鳴いて知らせるでしょうか?
それはさておき、何か悪いこと、まずいことをした犯人というのは、黙っていられないものです。聞かれもしないのに、言い訳とかアリバイとか、勝手にしゃべりだし、自分が張本人だと自分で明らかにしてしまう状況をさしていることわざです。
たとえば、嘘をついた張本人が、自分は嘘をついていない、と真っ先にしゃべり出すような場合です。
犯人がいろいろしゃべりだすのはなぜなんでしょうね?やはり心配だからでしょうか?
これは特に子どもに、いですね。言い訳しているうちに、犯人しか知らないはずの情報をポロッとしゃべってしまったり。
そういえば、大昔読んだ「巨人の星」というマンガで、「不安は人をおしゃべりにする」というセリフを読んだことがあります。
バッターボックスに立っているやたらよくしゃべる打者をさして、飛雄馬か、誰かキャッチャーが言った言葉だったと思います。
「ふ~ん、そういうものなのか」と子ども心に思いましたが、何か不安なことがあると、人は沈黙に耐えられず、一人でにしゃべりだしてしまうのかもしれません。
よくわかる!フランス語の文法解説
単語の意味
c’est = ce est エリジオン これは~です
c’est …. qui ~ で強調構文です(後述)。
la 女性名詞につく定冠詞
poule 雌鶏 雄鶏はcoq
chante < chanter (鳥などが)鳴く
qui (pouleの直後のquiです)関係代名詞 前の名詞を説明する節(=関係節)の中で主語の働きをするもの。
qui は poule のことで、
C’est la poule. それはニワトリだ。
La poule chante. そのニワトリは鳴いている。
という2つの文章をくっつける働きをしています。
⇒ C’est la poule qui chante.
関係代名詞 qui についてはこちらをどうぞ。
⇒「まいにちフランス語」39:L61 関係代名詞 qui と que
a fait < faireの複合過去形 faireは「作る」 この場合は「卵を産む」 複合過去形は avoir + 過去分詞 です。 くわしくはこちらをどうぞ。 ⇒「まいにちフランス語」30:L52 複合過去その1
l’ = le 男性名詞につく定冠詞
œuf 卵
直訳
鳴いているニワトリこそが、卵を産んだニワトリだ。
文法ワンポイント
主語を強調する強調構文
C’est la poule qui chante qui a fait l’œuf.
文の主語を C’est … qui ではさんで強調しています。
強調しない文章は、
La poule qui chante a fait l’œuf. となります。
(鳴いているニワトリが卵を産んだ。)
【他の例】
決めるのはあなたです(←あなたが決めなければならない)。
Vous devez décider.
主語の「あなた」を強調すると、
C’est vous qui devez décider.
となります。
* devez < devoir ~しなければならない
英語で似たようなことわざは、
The guilty dog barks the loudest.
罪のある犬は一番大きな声で鳴く。
です。
考えてみると、ニワトリが卵を産むのはいいことですよね?ニワトリにはちょっと迷惑なことわざかもしれません。
ことわざの記事の目次を作りました。ご利用ください。
その1⇒フランス語のことわざ~目次 その1
その2⇒フランス語のことわざ~目次 その2
いろいろと余計なことをしゃべって自滅すると言えば、「刑事コロンボ」に出てくる犯人たちですね。まあ、コロンボ警部が、ものすごくうまく、しかもしつこく誘導して、話をさせてしまうのですが。
人間というのは、常に「誰かに自分のことを話したい、聞いてもらいたい」という気持ちがあるのかもしれません。隠し事をするのは至難の業です。
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