2017年10月1日(現地時間)、アメリカのネバダ州、ラスベガスで起きた銃乱射事件の概要を伝える、フランスの子供新聞の記事を紹介します。
何が起こったのか、簡単に説明しています。
記事では59人が死亡した、とありますが、これは自殺した犯人も入っているので、死亡した被害者は58人です。
ラスベガスで起きたアメリカ史上最悪の銃乱射事件
Las Vegas touchée par la plus grave fusillade de l’histoire des États-Unis
日曜の夜、アメリカのラスベガスで、ある男性が野外コンサートの観客に向けて銃を打ち、59人が死亡、500人以上が怪我をしました。
イスラム国のテロ組織が犯行声明を出しましたが、アメリカの警察は、テロリストの仕業だとは考えていません。何が起きたのか、1jour1actuが振り返ります。
日曜の夜、アメリカの西部にある大都市、ラスベガスで、ある男が、カントリーミュージックの野外コンサートに集まった聴衆に向けて銃撃しました。
男はコンサート会場のそばにあるホテルの32階の部屋から、いくつもの銃を乱射しました。59人が亡くなり、500人以上が負傷しました。犯人はかなりの銃を持っており、警察につかまる前に銃で自殺しました。
イスラム国が犯行声明を出した銃撃
すでに、犯人の身元はわかっています。ネバダ州に住んでいた64歳の男性で、彼は、ラスベガスのカジノにしょっちゅう通っていました。
銃撃の数時間後、イスラム国(別名、ダーシュ)が犯行声明を出し、犯人は、自分たちの組織に属していたと発表しました。しかし、現在のところ、アメリカの警察は、犯人とイスラム国とのつながりは発見できず、この銃撃はテロリストグループとは関係ないとみています。
アメリカの災いの種である銃
何度も、アメリカでは銃撃のせいでたくさんの被害者が出ています。この種の攻撃は、tuerie de masse (大量殺害)と呼ばれています。
死者やけが人の数から、今回のラスベガスの銃撃はアメリカ史上最悪の銃撃事件となりました。
新たに銃撃事件が起きたので、アメリカにおける銃の所持に関する議論が再燃しています。実は、アメリカでは、法律によって、銃の携帯と所持が認められているのです。とても簡単に銃を買うことができます。
毎年アメリカでは、銃のせいでたくさんの人が亡くなっているので、この法律は非難の的です。アメリカでは2017年の1月から、銃のせいで11000人が亡くなっています。
なぜアメリカでは、銃の所持が認められているのか説明している次の動画を見てください。
元記事 → Las Vegas touchée par la plus grave fusillade de l’histoire des États-Unis
単語メモ
toucher 被害などが及ぶ
fusillade 一斉射撃、銃撃戦、銃殺
foule 群衆
revendiquer ~を我が物と主張する
revenir sur (問題などに)立ち戻る
lourdement 重く、重々しく、ずっしりと
fléau 災い、災禍、害悪、災いの種、疫病神
fléau social 社会の害悪
à plusieurs reprises 幾度も、何度も
soulever 引き起こす
détenir 所持する
記事の最後の Elle date d’1 an après ~ は、「2012年の12月12日、ニュートンで銃撃が起きてから1年になります。この銃撃はアメリカの小学校で起き、28人が死亡しました」です。日付が合わないので記事の中では訳しませんでした。
ニュートンの小学校で銃撃が起きたのは、2012年12月14日です。
その朝、9時半過ぎ、7歳~8歳の子供たちが20人以上、二十歳の男性の乱射のせいで殺されました。
ラスベガスの銃乱射事件、関係ニュース
フランス語と英語のニュースを紹介します。
BFMTVのニュース 1分9秒
BBCニュース 2分5秒
NBCニュース 2分4秒 最近起きた銃による大量殺害の振り返りが出てきます。
人を傷つける人もいれば、助ける人(ヒーローもいる)と言っています。確かにそうなのですが、銃をばらまくのをやめれば、何度もこんな悲惨なことは起きません。
アメリカで銃の所持が許可されている理由
アメリカでは憲法によって、ふつうの人が銃を買って持つことが許されています。
1jour1qestion の動画によると、アメリカでは銃は自由の象徴、ということですね。
動画には1791年にアメリカが独立した、と出ますが、独立宣言を出したのは、1776年7月4日です。
開拓時代は、銃を使って狩猟をしていたし、その後、イギリス軍と戦ったときも、銃を使って、自由を勝ち得た、ということなのでしょう。
また、フロンティアの時代から、自分の身は自分で守る、という考え方があり、そのために護身用の銃が必要だと考えている人が多いようです。
銃は、自らの力、自由、愛国心といったものを喚起させるものなのかもしれません。
今は、ほかの人が銃を持っているから、自分も銃を持たないと危ない、という考えもあるでしょう。
実際、このような銃による大量殺人が起きた直後は、通常より銃が売れるそうです。危ないから護身用に持とうしたり、銃の所持が規制される前に買っておこう、という考えがあるからだとか。
また、よく言われることですが、全米ライフル協会(銃を持つことに賛成している人たちの会)は、お金を持っていて、影響力があり、政治家が、銃規制の動きをみせると、お金の力でそれを封じ込めようとします。
しかし、いくら護身用に銃を持っていても、コンサートを見ているときに、そばのホテルから乱射されたら全く役に立たないわけです。子供が学校で授業を受けているときに、教室にガードマンを配置するわけにもいきません。
結局、銃があるから、銃による大量殺害が止まらないのですよね。
銃がなかったら、人殺しをしたい人は、ナイフとか、もっと別のもの(銃より殺傷力の弱いもの)を使うでしょう。前科のある人は、精神疾患のある人は銃を買えないのですが、診断がくだっていなくても、うつ症状など、心の病をかかえている人はいっぱいいる世の中です。
銃による大量殺害を止める唯一の方法は、銃の規制しかないです。なぜこんな簡単なことがわからないのでしょうか?
もう開拓時代じゃないんですから。
☆3年前の今頃は、アメリカの高校で14歳の少年が学校のカフェテリアで銃を打っています⇒アメリカの高校で発砲事件、2人死亡
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今回の銃撃をした犯人は、スティーブン・パドックという男性ですが、彼は64歳ですでに引退した金持ちで、趣味がカジノだったようです。
そんな人がなぜ、あんなにたくさんの銃を集めて、10分以上、コンサートの観客に向けて、銃を乱射したのでしょうか? まだ動機はわかっていません。
犯人は自殺してしまったので、本当のところは何もわからないかもしれませんね。
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