今週の虎と小鳥のフランス日記、第106話、パリ18区の夜のひとときで出てきたベラチャオという歌を紹介します。
ベラチャオとは?
ベラチャオは第二次世界大戦のとき、ムッソリーニ政権に対抗したイタリアのパルチザンの歌です。
1940年代に半ば自然発生的に生まれたと思われます。
歌詞を書いた人はわかりません。曲はもともとある農村で歌われていたフォークソングです。
1961年に初めてこの曲をレコーディングしたのはジョバナ・ダフィーニという歌手です。
これね↓
左翼系の雑誌とリンクする形でレコーディングされました。
歌の内容
歌詞の最初のほうはこんな感じ:
Una mattina mi sono svegliato,
o bella, ciao! bella, ciao! bella, ciao, ciao, ciao!
Una mattina mi sono svegliato,
e ho trovato l’invasor.
ある朝、僕が目覚めると
さようなら、恋人よ、さようなら、恋人よ
ある朝、僕が目覚めると
侵略者がやってきた
イタリア語を知らないので、微妙に間違っているかもしれません。
余談ですが、よく見るとイタリア語はフランス語と似ているので、基礎的な単語さへ仕込めば、すぐ読めるようになりそうです。いや、それはないでしょうか。
歌詞はこのあと、僕はパルチザンとして戦いに出る。もし僕が死んだら、山のきれいな花の下に埋めてくれ。人々はそこを通るたびに言うだろう「ああ、なんて綺麗な花なのでしょう」それはパルチザンの花、自由を求めて戦った者の花、というふうに続きます。
ベラチャオは人の集まりでよく歌われる
この曲は、いろんな言語で、さまざまな歌手がレコーディングしてます。ポピュラーソングのみにとどまらず、オペラのレコーディングもあります。インストルメンタルも無数にあるはずです。
1971年に、ミルバもレコーディングしてます。
ふさふさの髪が素敵ですね。この動画はモノクロなのでわからないのですが、彼女はとてもきれいな赤毛の持ち主です。
フランス人にとっての、ベラチャオのオリジナルはこのあたりなのでしょうか?
ベラチャオは、長く歌い継がれていくうちに、パルチザンの歌としての意味は薄くなっていきました。
今はイタリアでサッカーやライブなど人が集まる場所で、誰かが歌い出すとほかのみんなも歌いだし、士気が高まる歌であるそうです(と解説にあったけど、本当かな?)。
日本でいうと「同期の桜」みたいな感じ?いや、もう「同期の桜」をそろって歌うことはないでしょうね。
日本では、みんなで一緒になって歌って盛り上がる曲は世代によって違う気がします。
サッカー場で、熱くなって国歌を歌うということもありえません。
日本の国歌は、どちらかというと心を静める感じの曲調ですし。
意外と昔のアニメのテーマソングを誰かが歌い始めると、世代が同じ人の大合唱になりますね。たとえば、「巨人の星」のテーマソングなど。
さて、ベラチャオですが、日本語のバージョンも発見しました。歌詞はオリジナルに忠実だと思います。
ベンチャーズ風
ギターの演奏がなかなかいいです。ただ、こういう歌詞は日本人には感情移入しにくいのではないでしょうか?
虎と小鳥でベラチャオが話題になっていた場面
このエピソードでは、まず、ふつうのライブ演奏があり、いったんお客さんは外に出て、そのあいだに店側でジャムセッションの準備をしていました。
そのとき、店の外でヴァロンティーナとカミーユはこんな会話をします。
…le saxophoniste était italien, il a fait une reprise de « Bella ciao » qui est un hymne italien. Il a faut une vraie reprise.
Ouais Et j’ai préféré d’ailleurs sa, sa reprise, que la version originale.
サックスの人イタリア人だったね。イタリア賛歌のベラチャオをカバーしてた。ほんとうに素敵なカバーだったわ。
そうね。私は、むしろオリジナルよりあのカバーのほうが好きだったわ。
ヴァロンティーナはイタリア系なのかもしれないですね。大きなお世話ですが、タバコは健康によくありません。
1. Bella Ciao の解説と二つのビデオ楽しく拝見、拝聴しました。いい曲ですね。Vallentina さんは多分イタリア出身でしょうね。J’ai préféré d’ailleurs sa reprise que la version originale
と最後に言っていますが、普通のフランス人なら que でなく à と言うところでしょう。 Trésor de la langue français によると、
そのように定義されています。ただ口語では préférer être + attribute + que attribute という表現があり、例文として、 Tout grelottant(がたがた震えてながら)il se déshabilla, préférant encore être nu que vertu d’habis moullésが挙げられています。TLF を引いて確かめてください。Valentina の台詞は厳密にいうとこの構文でもありません。で私は彼女はイタリア人だから、この程度のことは許されると解釈していますが、織田先生の言われるように今の若いフランス人もValentina のように言うのかもしれません。フランス語の乱れですね。
2. Reprise はクラシックでは、主題の再現部を意味し、主題をそのまま忠実に再現したり、あるいは、変奏したりします。ビデオではjam session ですので、さら即興性が求められるでしょう。昔ジャスのLP を集めていたころ、この演奏は take-1 であるとか、take-2とか書いてありましたが、即興性の違いがあるので、そのように言うのでしょうか?
3. Taboulé sans taboulé という台詞がありましたね。この意味がよくわからないのですが、http://cuisine.journaldesfemmes.com/recette-liban
にフランス語で、レバノン料理の解説があります。ご覧のように
Taboulé libanais と Taboulé が別に書かれていて、私が読んだ印象では、前者が本家で、後者がフランス風taboulé だと感じています。
本家のTaboulé はパセリだけで作られ、フランス風はクスクースに色々が食材を入れるようです。レシピのあとに読者のコメントがありませすんで、参考になります。ですので、Taboulé sans taboulé は早く言えば taboulé sans couscous ではないかと思われますが、Pen の
ご意見をお待ちします
。
樋沼さん、こんにちは。コメントありがとうございました。
お返事を書かせていただきます。
1.préférerは préférer A à B という構文をとると辞書に書いてありますね。
例文:Je préfère le silence au mensonge.(うそをつくぐらいなら、何も言わないほうがいい)
でも、アントワーヌがフランス語が文法的に間違っていたら、ダメ出しをすると思うので、たぶん会話では、こういうふう(J’ai préféré d’ailleurs sa reprise que~)に言ってもさしつかえないのではないでしょうか? 仏作文で書いたら、直されると思いますが。
2.reprise はその人の解釈を入れた演奏ということで、私は「カバー」と訳しました。
3.Taboulé sans taboulé は「タブレではない、タブレ」ということではないでしょうか?つまりクスクスが少なくて、パセリばかりだから、二人にとってはあまりタブレという気がしなかったのでは?あるいは、おっしゃるように、taboulé=couscous という意味で使っているのかもしれません。というのは、パリの人にとっての taboulé はクスクスがいっぱい入っているからだと思います。私はべつに、Taboulé sans taboulé はおかしいとは思いませんでした。
Penさんのフランス語の勢いで
これからイタリア語を勉強したら
すぐに読めるし喋れちゃいますよ!
イタリア語は書いてあるまま読めばいいのですからね☆
発音もフランス語よりは簡単ですよ。
歌から覚えるのもいいですよね。
ritzcoさん、こんにちは。
いや、実はイタリア語、全然わかりません。シニョーレ、シニョリータぐらいしか。
イタリア語は書いてあるまま読めばいいのですね。
では、イタリア語の難しさは、文法ですか?動詞の活用とか?
樋沼さま 横レス失礼します。
私のブログにも書いたことなのですが
樋沼さんのコメントを今読みまして
私もタブレに足りなかったものはクスクスを意味していると思いますよ。
ritzcoさん、こんにちは。
このお店は、本場の味のようですから、クスクスを減らして
パセリをたっぷり入れてるんでしょうね。
パセリが嫌いだと困りますね。
イタリア語の難しさはフランス語と同じように
動詞の活用ですね。だんだんラクになりますけれど。
文法はフランス語よりも規則的でわかりやすい気がしますよ。
あとは実践の場でどれだけ理解できるか!
コレに私は長い年月を費やしました(泣)。
ritzcoさん、こんにちは。
へ~イタリア語ってフランス語より規則的・・・
フランス語もかなり規則的だと思いますけど、
それ以上なのですね。
やっぱり動詞の活用と聞き取りですね。
とりあえず、もう少しフランス語をがんばります。
フランス在住20年越えです。いろいろなアーティストがこぞって発表していますね。
イタリア語勉強したことないけれど聞いてすぐにフランス語に訳せました。
日本は戦争なんて大昔と思われがちですがフランスではまだ形を変えて戦争は起こってます。戦場後となった場所でマクロンが演説したりテロ事件を戦争と言ったり。私はある意味でこの歌を聴いて泣きました。代弁してくれたような気がしたからです。
kiki さま
こんにちは。コメントありがとうございます。
おお、やはりフランス語がわかるとイタリア語もかなりわかるのですね。
いま、この瞬間に戦争をしているところはたくさんありますね。
戦争は外交政策の一つ、という人もありますが、子供たちが犠牲になるのは、
とても心が痛みます。
pen