きょうからフランス語脳プロジェクトの作文力養成講座の受講メモを書いていきます。
作文力養成講座とは?
この講座は、先週まで書いていた翻訳者養成講座の清水先生の授業で、2012年の9月に始まったもの。
この講座は直接コースとフォローコースがあり、直接コースの人は、実際に課題を提出して添削を受けていました。
私はフォローコースに申し込んでいたので、受講が途中で止まっています^^;
毎週30分ほど最初からぼちぼちとやっていきます。興味のある方はおつきあい下さい。
第1回めの講義は「イントロダクション」で、実際の授業ではなく、考え方や、勉強の仕方、授業のすすめ方など話されています。
きょうのメニュー
表現モデル
表現モデルとは、ある意味をもった語彙のまとまり。決まった表現、定石です。大賀正喜先生が「現代仏作文のテクニック」という本で書かれています。
英語ではコロケーションと呼ばれますが、この単語の前後にはこういう単語がつくという一定の形。
日本語で例をあげると「寝る時、ふとんをひく」と言いますが、これを「寝る時、ふとんを床に置く」と言うと、意味はわかるけれど、誰もそんなふうには言わなし、何か変です。
この「布団を」と「ひく」は切り離せない意味の単位であり、こういうのが表現モデルです。
仏文の例:
metteur en scène de cinéma japonais
日本の映画監督
metteur は
metteur en scène de cinéma 演出家、映画監督
metteur au point (彫刻や機械の)修正者、調整者
metteur en cartes 織物の意匠図案家
metteur en œuvre 組立工、宝石職人
という表現でしか用いられない、と辞書にあります。
つまりこのかたまりで覚えておくべき「表現モデル」なのです。
これを知らないと、最初の例を「日本映画の監督」と訳してしまうかもしれませんが、これは誤りです。
仏作文などでフランス語を発信するにはこういった表現モデルに習熟することが一番大切なのです。
自分の使える表現モデルを増やしていく、ということですね。
ネイティブのスピードについていけない理由
ネイティブがフランス語を話しているときは、無意識に、情報をこの表現モデル単位で処理しています。
たとえば
Le but de cet article consiste à mettre en lumière la notion d’existence chez Sartre.
この論文の目的はサルトルの実存概念を明らかにすることである。
という文を目にした場合、ネイティブは
le but de cet article consiste à
を1つの意味の単位として処理しています。
表現モデルを知らない学習者は
le but
de cet article
consiste à
と3つの意味のまとまりを考えて処理するので、ネイティブのスピードに追いつけません。
単語レベルでブツブツ区切っているので、なんだかネイティブがすごく早く話しているように思えるのです。
表現モデルを身につける最適の方法は
仏作文をします。そしてできればネイティブに添削をしてもらい、自分の間違いを確認して、知らなかった表現モデルを洗い出し、覚えていきます。
これは、独学でも作文の問題集などで、ある程度はできると思います。
私は昔、ある期間、英語の日記を書いていて、先生に添削してもらっていましたが、返ってきた日記を全然読んでいませんでした。書きっぱなしだったわけです。
意識して間違いから学ぶということをしていなかったのですが、それでもだんだん英文が書けるようになっていきました。
効率は良くないかもしれませんが、「とりあえず書く」、というのは大事だと思います。
仏作文が上達したかったら、仏作文する、ということです。
作文の勉強はリスニング力をアップさせる
作文をして表現モデルを身につけていくと、リスニングするときに、意味のかたまりとして拾えるものが増えていくので、聴解力もアップします。
リスニングの勉強法として、ラジオを聞いたり、映画をみたり、ネイティブと話したりするのは、あまり効果的ではありません。
というのは、聞いているとき、意味のかたまりとして耳に入ってくるのは、すでに自分のよく知っている単語や表現だからです。
授業では、森有正の「作文で書けることしか、聞き取ることはできない」という仮説が紹介されました。
つまり、聞き取れるのは自分が習熟している単語と「表現モデル」のみ、ということです。
リスニングの勉強と称して、ぼーっと聞いていても、わからないものはわからないまま流れて行くだけなので、勉強になりません。
よって、リスニングをやるなら、聞き流しはNGで、スクリプトとつきあわせて聞くべきです。
まあ、7,8割がたわかる内容で、「あれ、これって何?」とわからないところに気づくことができ、音からつづりを辞書で調べて、意味を確認できる、といった素材なら勉強になると思います。
私は、ラジオ講座の『百合のFranceウォッチング』のポーズカフェはこの方法でやっています。シルヴィ先生の話された内容を藤田先生が日本語で言い直してくれているので、それも手がかりになりますしね。
補足~おすすめサイト、参考図書
この講座は仏検やDELFの作文の試験問題を解く力をつけるのが1つの目的です。
受験者で、余力のある方に対して、参考サイトの紹介などありましたので、書いておきます。
清水先生の推薦なので、すでにこのブログに何度か書いていますので、重複しているものもあります。
★以下のサイトの記事を、表現モデルに注意して読みます。
こども新聞のサイト 1jour1actu
1jour1actu.com – L’actualité à hauteur d’enfants !
NHK World French
日本のニュースをフランス語で発信。
日本にいるフランス人むけのニュースなんだと思いますが、このスクリプトは簡潔でよいお手本になるそうです。音声もあるので、リスニングの勉強にもなりますね。
★仏検・DELFを受験する人は、これに加えて問題集(特に読解問題)を解きます。
★参考書籍
第1回の授業でふれられていた本
講談社の現代新書って知らないうちに装丁が変わったのですね。前のほうがよかったと思います。
いかがでしたか?
第1回の授業のスライドの一番最初にスピノザの
「事物の正しい認識は、正しい実践を生む。」
という言葉が書かれていました。
ここでいう「自分の正しい認識」とは仏作文の力をつけようとするときに、何を身につけることが大事なのか、ということだと思います。
答えは「表現モデル」ですね。
これは『7つの習慣』に出てくるパラダイムの話に似ています。
つまり、シカゴのどこかに行きたいのに、デトロイトの地図(何かの間違いで表紙には「シカゴの地図」と書いてある)を使って、必死に運転しても、目的地には到達しない、ということです。
どんなにスピードの出る高級車にどんなにたくさん石油を入れて、毎日がんがん運転しても、です。
それでは、次回の仏作文力養成講座の記事をお楽しみに。
「達人力養成講座」で仏作文を提出するのに、
本当は「仏作文力養成講座」をじっくり復習したいのですが、
そこまでなかなかできません。
とても良い復習になりました。
(案の定、忘れていることだらけです)
ありがとうございます!
uzumakiさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
uzumakiさん、仏作文力養成講座、受講されていたんですね。
私はこの講座は途中で止まっているんです。これを機会に、全部やろうと思ってます。また半年ぐらいかかるかも?
最近、全く講座自体を受けていない私。
「現代仏作分のテクニック」は、とてもいい本だと思って、私も途中まで勉強してたんですが、だんだん難しくなってきました(/_;)
確かに、かたまりで覚えていると、聞き取ってても楽になりますね。
特に、duとdeは非常に苦手なので、もうちょっと勉強しなくては・・・。
木蓮さん、こんにちは。
お忙しいのに、ブログをごらんいただき、ありがとうございます。
「現代仏作文のテクニック」私も、まだ読んでおりません。
ちょっとまだレベルがあわないというか^^;
私もかたまりで覚えてようとしていますが、単語が出てこなくてかたまるばかりです。