仏作文養成講座第3回前半の受講メモです。
第3回の内容は
この回の主眼は冠詞の説明(51分の授業のうち、75%)ですが、それは次回の記事にします。きょうは前半の表現モデルから、仏作文するとき、避けたほうがいい表現2つをご紹介しますね。
表現モデルに関しては、先に短文の課題が7つ出題されており、生徒の解答例をまじえながらの解説というスタイルです。
問題を先に書いておきます。
【次の文を仏作文せよ。】
1. この映画館では古い映画が上映される。
2. 彼は責任あるポストを任された。
責任あるポスト⇒un poste à responsabilités
3. この地方には名所旧跡がある。 ※ il y a を使わない文で
それでは、復習、行ってみよう!
避けたほうがいい表現その1~受動態
フランス語では、日本語ほど受動態は使われないので、問題の和文が受動態であるとき、「受動態を使わずに書くことはできないか」、と考える習慣をつけることが大切。
受動態とは何か?
受動態(じゅどうたい)というのは、「受け身」とも呼ばれますが、他から動作や作用を受けるその対象を主語にした文章です。
問題文だと、
映画が上映される。(主語は映画)
彼は任された。(主語は彼)
こういうのが受動態です。
これに対して、動作をする人や物が主語の文は能動態(のうどうたい)と呼ばれます。
上の文を能動態にすると
(映画館が、興行主が)映画を上映する。
(会社が)彼に(責任あるポストを)任せた。
となります。
※受動態についてはこちらに詳しく書いています。
⇒「まいにちフランス語」38:L60 受け身(受動態)
フランス語ではこの受動態をあまり使わないわけです。
受動態をさけるためにonを使う
onは人、人々という意味ですが、「映画を上映する」といった、特に行為者を明らかにしていない場合に、主語として使うことができます。
1の解答 On passe de vieux films dans ce cinéma.
(de は「複数形の形容詞+名詞」の前の不定冠詞 des は de になる、というルールの de)
ほかの例文
On a construit un supermarché dans ce quartier.
この近所にスーパーマーケットができた。
「映画館」を主語にする場合
Ce cinéma passe de vieux films.
2の解答 On lui a confié un poste à responsabilités.
confier … à … …を…に任せる
Il m’a confié ses clés.
彼は私に鍵を預けた。
「彼」を主語にする⇒se voir + 不定法 + 何か を使用。
se voir + 不定法 + 何か は 「…を…される」という意味です。この形で「~される」という受動態になっています。
問題文は「任せた」と過去になっているので、複合過去にして、
Il s’est vu confier un poste à responsabilités.
se confier un poste à responsabilités
責任あるポストを任される
と、辞書にあったので、ほぼ決まり文句かもしれません。
他の例
Elle s’est vu refuser l’entrée du club.
彼女はそのクラブの入会を断られた。
この用法の不定法の主語は言外の第3者、se は不定法の間接目的語です。
補足:ここはちょっとややこしいので、直接目的語や間接目的語について考えたい人だけ読んでください。
英語であれば、
They give Guru a position of responsibility.
主語+動詞+間接目的語+直接目的語
という文の、間接目的語のGuruを主語にして
Guru is given a position of responsibility.
という受動態が成り立つのですが、フランス語では、こういう間接目的語を主語にした受け身の構文がありません。
Guru est confié un poste à responsabilités とは言えないわけです。
その代わりに、onを主語にするか、se voir + 不定法 + 何かという形を使います。
避けたほうがいい表現その2~passe-partout
passe-partout とは?
passe-partout とはマスターキー、万能のもの、という意味ですが、文法用語では、「どこででも使える単語、ありふれた単語」です。
passe が「パスする」、partout「どこでも」で「どこでも使えちゃう」ということですね。
具体的には faire, avoir, il y a など。仏作文の場合、この手のありふれた表現ばかり使うことはさけ、表現にバラエティを持たせることが大切です。
特にDELFの試験では faire ばかり使っていると、文法的に正しくても、減点されてしまうそう。
そこで、和文が「~がある」という時、il y a は避けます。
il y a の替りになる動詞
このように「Aがある」を「何かがAを持っている」という文に変換すれば、 il y a を避けることができます。
3.の解答 Cette région compte [possède, recèle] de nombreux sites historique.
※「場所X に A がある」という文は X+compter[posséder] で表せばOK.
あるいは onを主語にして
On compte [possède] de nombreux sites historiques dans cette région.
英語の文章でも、「受動態より能動態を使え」、とはよく言われることです。能動態を使うと、行為の当事者にフォーカスがあたり、より簡潔で、生き生きとした文になります。
受動態にすると、責任の所在がぼける感じがするのですよね。だから日本語には受動態の表現が多いのでしょうか?
それでは、次回の仏作文養成講座の記事をお楽しみに。
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