今日、ご紹介するフランス語のことわざはこちらです。
聞こうとしない人は聞こえない人より始末が悪い。
Il n’est pire sourd que celui qui ne veut pas entendre.
聞きたくないものは聞こえない
このことわざは、この世で一番耳が悪い人は、聞きたくない人である、ということです。
聞く意志のない人に何か言っても「何も聞こえない」わけです。
10年ほど前に養老孟司のバカの壁という本がベストセラーになり、本の題名が流行語にもなりました。
アマゾンにある日経ビジネスのレビューには
我々人間は、自分の脳に入ることしか理解できない。学問が最終的に突き当たる壁は自分の脳である。著者は、この状態を指して「バカの壁」と表現する。知りたくないことは自主的に情報を遮断し、耳を貸さないというのも「バカの壁」の一種。その延長線上には民族間の戦争やテロがあるという。
とあります。
人間は自分の脳に入ることしか理解できないそうです。
ではどうやって脳に入れるのでしょうか?
そう、五感を使って入れますね。
目で見たり、耳で聴いたり、触ったり、匂いをかいだり、食べてみたり・・・。
何か刺激を受けたときに脳に入る道筋ができるのですが、このとき「自分が知りたくない」と思うと、脳には何も入らないということなのです。
だから、人に何かを教えさとそうとしたとき、相手が「知りたくない」と思っていれば、たとえ聞いてはいても、相手の脳には入らない。
心には響かないということです。
子どもを叱っているとき、相手が心を閉ざしていたら、どんなにがみがみ言っても無駄なんですね。
逆にいうと、自分が何かを学ぼうとするときは、ただ読んだり聞いたりしているだけではもったいないです。
学ぼうとしている内容に意識を向けることが大事です。
意識を向けさえすれば今よりずっと学びが深くなります。
よくわかる!フランス語の文法解説
★単語の意味
pire ~より悪い mauvaisの比較級
sourd(e) 耳の聞こえない、耳の不自由な
que 比較の表現に使われるque(後述)
celui qui ~の人
veut < vouloir ~したい
entendre 聞こえる、耳に入る
★直訳
「聞こうとしたくない人ほど耳の聞こえない人はいない」
★補足
この文章は比較の構文です。
pire sourd que:que以下の人(聞きたがらない人)より耳が聞こえない
これをneで打ち消しているので、
que以下の人(聞きたがらない人)より耳が聞こえない人はいない
↓
聞きたがらない人が一番耳が聞こえない人
になります。
ちなみに視覚のバージョンもあります。
Il n’est pire aveugle que celui qui ne veut pas voir.
見たがらない人より目の見えない人はいない
↓
見ないと決めた人には何も見えない
という意味になります。
日本のことわざに
「馬の耳に念仏」
というのがあります。
これはいくら意見をしても全く効き目のない状態のたとえです。
馬は人間の言葉が理解できないですね(たぶん)。
でも「知りたくない!」と思って、無意識に壁を作っている人より、馬のほうがこっちの言うことを理解してくれている可能性は多いにあります。
この壁なんですが、「知りたくない!」と思ってもできるし、「そんなのもう知ってる!」と思ってもできるそうです。
今週は「そんなのもう知ってる」と決めつける前に、もう一度謙虚に聞いたり、読んだりしてみてはどうでしょうか?
きっと新しい何かが学べるはずです。
ブログ開設1ヵ月おめでとうございます。
これからの更新が楽しみです。
フランスにも日本と似たようなことわざがあるんですね。
面白いです。
えばらぎおばさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
なんとか一ヶ月もちました。
ことわざは、そうですね。わりとどこでも似たようなことわざがあるので、比べてみると面白いです。