「ヴェルヌイユ家の結婚狂騒曲」というフランス映画の予告編のスクリプトを使ってフランス語を学習しています。
今回は前回の続き。
Qu’est-ce qu’on a fait au Bon Dieu ? 予告編
原題はQu’est-ce qu’on a fait au Bon Dieu ?
直訳は「私たちがいったい神様に何をしたというの?(何も悪いことなんてしてないのに)」「どうしてこんな目に会わなきゃいけないの?」
映画の概要については初回の記事をごらんください⇒ヴェルヌイユ家の結婚狂騒曲~予告編のフランス語
今回は1分あたりから最後まで。
スクリプトと和訳
Je pensais à la petite dernière. Elle se mariera peut-être avec un catholique…
Je vais me marier.
Il est catholique ?
Oui.On se réjouit ! Hahaha !
Dix minutes de retard. On est au moins sûrs que c’est pas un Chinois, hein.
Ha !C’est le voiturier ?
Je présente Charles !
Trois métèques plus un noir, pour tes parents c’est Fukushima.
Les Français sont mauvais et bêtes.
Si j’entends le moindre propos raciste à l’égard des Noirs, je les tape.
Ils s’incrustent à 400 et il ne veut rien payer Amin Dada ?
Tu peux être cool pour une fois ?
On m’a pris pour Uncle Ben’s ?Ils vont nous faire de splendides métis.
Qu’est-ce qu’on a fait au Bon Dieu, Claude ? On est dans le noir complet.
Le noir complet !
和訳
末のお嬢さんがいらっしゃるではないですか。たぶんカソリック教徒と結婚しますよ。
結婚することにしたわ。
相手はカソリック教徒?
ええ。
早く会わせてくれ。ははは。
10分の遅刻か。少なくとも中国人でないことは確かだな。
ふふふ。
その人は駐車係か?
こちらはチャールよ。
3人のよそ者に黒人か。お父さんとお母さんにとっては大災難だな。
フランス人は悪人でバカだ。
黒人に対する差別的な発言を少しでも言ったら、ぶったたいてやる。
400人もいるのに、イディ・アミンは金を払わないって?
そんなにかっかしないでよ。
アンクル・ベンになれというのか?
素晴らしい混血の孫ができるわ。私たち、どうしてこんな目に会わなきゃならないの、クロード?お先真っ暗だわ。
真っ暗だ。
スクリプトはこちらを参考にしました⇒Bande-annonce: Qu'est-ce qu'on a fait au Bon Dieu?
単語メモ
se rejoindre 再び一緒になる、合流する
voiturier (ホテル、レストランなどの)駐車係員
métèque ( 軽蔑して)よそ者(特にフランス在住のアラブ系の人を指して言う)
le moindre 最も小さな (petit の最上級)
propos 話題、言葉
à l’égard de ~に対して
taper 平手でうつ、ぶつ、たたく
s’incruster ~に居座る
Amin Dada イディ・アミン ウガンダの軍人、第3大統領 ここではチャールのお父さんのこと。
se prendre pour 自分を~と思う、~気取りである
Uncle Ben’s インスタントライスの商品名。袋に、黒人のおじさん(Uncle Ben)の顔がついています。ここでは善良でものわかりのいい黒人のおじさん、という意味で使われていると思います。
métis 混血児
Trois métèques plus un noir, pour tes parents c’est Fukushima.
Fukushimaは福島。ここでは「たいへんな災難」という意味で使われています。
今回の部分のお話
上の3人のお姉さんが、異教徒と結婚したので内心不幸なヴェルヌイユ家のパパとママ。
牧師さんに、「まだ末の娘さんがいる」となぐさめられます。
そのとおりに、彼女はカソリック教徒を結婚相手に選んだのですが、なんと黒人でした。しかも相手のお父さんは、白人が大嫌いなのです。
黒人を結婚相手として紹介されたヴェルヌイユ夫妻は絶望的な気持ちになります。
カソリックはカソリックでも肌の色が違っていた、なんてすごい脚本ですね。この映画、2013年にフランスで大ヒットしたのですが、イギリスやアメリカなど英語圏の国では劇場公開されていません。カナダではケベックでのみ上映されました。
というのもある意味、黒人、中国人、アラブ人など白人以外の人を笑う映画でもあるからです。
DVDは入手できますが。
ヨーロッパやアジアでは公開されています。日本は6月の終わりに、まずフランス映画祭で上映されました。
一般公開はあるでしょうか?
それでは次回の映画の記事をお楽しみに。
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