1991年に公開された、ディズニーのアニメーション映画、『美女と野獣』のプロローグの部分のフランス語を紹介します。
この映画のオリジナルは英語ですが、ディズニーの映画は、世界各国で見られているので、フランス語の吹き替え版もあります。
美女と野獣、プロローグ
なぜ、王子が野獣になってしまったのか、その経緯を説明している部分です。
2分22秒 フランス語の字幕を表示させることができます。
トランスクリプト
Il était une fois, dans un pays lointain…un jeune prince qui vivait dans un somptueux château.
Bien que la vie l’ai comblée de tous ces bienfaits, le prince était un homme capricieux, égoïste et insensible.
Un soir d’hiver, une vieille mendiante se présenta au château, et lui offrit une rose en échange d’un abri contre le froid, qui faisait rage.
Saisi de répulsion devant sa misérable apparence, le prince ricana de son modeste présent, et chassa la vielle femme.
Elle tenta de lui faire entendre qu’il ne fallait jamais se fier aux apparences, et que la vraie beauté venait du cœur.
Lorsqu’il la repoussa pour la seconde fois, la hideuse apparition se métamorphosa sous ses yeux en une créature enchanteresse.
Le prince essaya de se faire pardonner, mais il était trop tard, car elle avait compris la sécheresse de ce cœur déserté par l’amour.
En punition, elle le transforma en une bête monstrueuse, et jeta un sort sur le château, ainsi que sur tous ses occupants.
Horrifié par son aspect effroyable, la bête se terra au fond de son château avec pour seul fenêtre sur le monde extérieur…un miroir magique.
La rose qui lui avait été offerte était une rose enchantée qui ne se flétrirait qu’au jour de son 21ème anniversaire.
Avant la chute du dernier pétale de la fleur magique, le prince devrait aimer une femme et s’en faire aimer en retour pour briser le charme.
Dans le cas contraire, il se verrait condamné à garder l’apparence d’un monstre…
…pour l’éternité.
Plus les années passaient, et plus le prince perdait tout espoir d’échapper à cette malédiction.
Car en réalité, qui pourrait un jour aimer une Bête ?
和訳
昔、森の中の遠くの国のこと、若い王子がすばらしいお城に住んでいました。
彼はあらゆるものを持ち、満たされた生活をしていましたが、王子は、気まぐれで、自分本位で冷淡でした。
ある冬の夜、年老いた物乞いの女が、城にあらわれ、一輪のバラのかわりに、宿を求めました。とても寒かったからです。
老婆のみすぼらしい姿を嫌った王子は、彼女のささやかな贈り物をせせら笑い、老婆を追い立てました。
老婆は、決して人を見かけで判断してはいけないと、王子に聞こえるように言いました。美はこころの中からにじみでるのだと。
王子が、また老婆を追い払ったとき、みすぼらしい姿は、王子の目の前で、美しい魔法使いに変わりました。
王子は許しをこいましたが、遅すぎました。というのも、魔法使いは、王子のこころには愛がなくそれは冷淡だとわかったからです。
罰として、魔法使いは、王子をおそろしい野獣に変えました。そして、城にも、そこにいる者全てにも魔法をかけました。
自分の身の毛のよだつ姿におそれをなした野獣(王子)は、城の奥深くに引きこもりました。唯一、外の世界を見ることができる魔法の鏡を持って。
王子に供されたバラは、魔法のバラで、王子の21歳の誕生日にしおれることになっています。
魔法の花の最後の花びらが落ちる前に、王子がある女性を愛し、その女性も王子を愛せば、魔法はとけます。
そうでないときは、彼は怪物の姿のままでいなければならないのです。永遠に。
年月がたつにつれて、王子は、この不幸から逃れる希望を失っていきました。
この世界で、誰が野獣を愛するというのでしょうか?
単語メモ
bienfait 恩恵、恩沢、利益、高揚
combler A de B (AをBで)いっぱいにする、満たす
ricaner 冷笑する
chasser 追う、追い立てる
se fier 信頼する、あてにする
sécheresse 乾いた状態;冷淡
transformer A en B AをBに変える
effroyable 身の毛がよだつ、ぞっとさせる
se terrer 姿を隠す、引きこもる
flétrir しおれさせる、しなびさせる flétrirait 条件法現在
verrait < voir 条件法現在
se voir + 属詞/様態 ~される、~という状態になる、~である
condamné 有罪の宣告を受けた、死を宣告された、助かる見込みのない;見捨てられた
malédiction のろい、宿命的な不幸、不運
きょうのプチ文法:単純過去
昔話なので、直接法単純過去が使われている場所が多いです。
活用パターンは4つありますが、今回出てきた2つのパターンを書いておきます。
er動詞 a型
語幹: ricaner から er を取る。
-ai, -as, -a, -âmes, -âtes -érent
présenta, ricana, chassa, repoussa, métamorphosa, essaya, transforma, jeta, se terra,
i型 ir動詞、re動詞のほとんど
語幹: offrir から ir を取る。
-is, -is, -it, -îmes, -îtes, -irent
単純過去は仏検には出題されないそうですが、現代の文章(子供むけの小説でも)を読んでいても、ときどき出てくるので、小説や物語を読むのが好きな人はなじんでおくといいと思います。
☆その他の時制
大過去 plus-que-parfait : avait compris (助動詞の半過去形+過去分詞)
条件法現在:verrait, flétrirait
あとは、半過去と複合過去です。
今回のお話
上に書いた事情で、ある王子が、野獣の姿に変えられてしまい、21歳の誕生日が来るのを、恐れながら、しかし、なかば絶望してお城に住んでいます。
一方、街には、発明家の父をもつ、ベルという美しい女性がいます。
ある日、ベルの父は、発明フェアに出るために、家をあとにしますが、途中で道に迷い、野獣の城に入りこみます。
野獣は、不法侵入だと怒り、父親を牢に閉じ込めます。
父を探しに来たベルは、父親のかわりに自分が野獣の城に残ることにします。
ベルは最初は野獣が嫌いでしたが、野獣はああ見えて、わりとやさしい人なので、次第に2人は仲良くなります。
結局、21歳の誕生日ギリギリに、ベルは野獣を愛しているといい、魔法がとけて、野獣はもとの王子の姿に戻り、ハッピーエンドとなります。
『美女と野獣』(Beauty and the beast ; La belle et la bête) は、ボーモン夫人の同名の小説をもとにした映画ですが、原作とは違う部分もたくさんあります。
たとえば、ディズニーアニメでは、老婆がバラを持ってきたことになっていますが、小説では、父親が庭からバラを盗んだから、野獣が怒ります。
父親が出かけるとき、ベルがバラをおみやげに頼んだから、父は勝手にバラをつんだのです。
この映画については別ブログに書いています⇒美女と野獣(ディズニーアニメ、1991)の感想。 | シロツメクサの夢(フランス語には関係のない記事です)。
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はじめにも書きましたが、ディズニーの映画は、いろいろな言語の吹き替え音声があるので、好きな映画があれば、勉強のよい素材になると思います。
いい歌も多いですしね。
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