クレープ

暦、年中行事

ラ・シャンドルール(聖燭祭でありクレープの日)ってどんな日?

2月2日はフランスでは、ラ・シャンドルール(La Chandeleur)と呼ばれる日です。

この日は全国的にクレープを食べます。まあ、ふだんでもクレープを食べていますが。

カソリック教会では、主の奉献の祝日、聖母マリアの御潔めの祝日です。ろうそくを捧げ持つ行進が行われることから、chandelle(ろうそく)という言葉が入っています。

この日の由来を説明したFrenchPod101.comの動画を紹介します。タイトルのCandlemasは英語です。

ラ・シャンドルールとは?

みなさん、こんにちは。イングリッドです。クレープをご存知ですか?

とても薄い生地の層でできているデザートで、小麦粉で作ります。塩気のきいた食べ物や甘いものと一緒に味わいます。

クリスマスから40日後、フランスではシャンドルールをお祝いします。スイスやベルギーなど他の国でもそうです。2月2日はフランス人はみんな料理をします。

このレッスンではフランスでどんなふうにシャンドルールがお祝いされるのか学びましょう。

[クイズタイム]
Savez-vous ce que tiennent dans leur main les Français lorsqu’ils font sauter une crêpe ?
クレープを作っているとき、フランス人が何を握っているか知っていますか?

ビデオの最後に答えをお教えします。

シャンドルールの起源はローマ時代

シャンドルールのお祝いはローマ時代にさかのぼります。一晩中、たいまつを振りながらパンの神をたたえました。

西暦472年に教皇ゲラシウス1世が、このお祭りをキリスト教のものとすることに決めました。そこで信者は松明を灯してイエス・キリストを祝いました。

シャンドルールという言葉は、chandelle(ろうそく)という言葉から来ています。これは光の象徴です。

なぜクレープを食べるのか

なぜ、この日、クレープを焼くのでしょうか?

1年のこの時期、冬の種まきが始まります。だから農民は余っていた小麦粉をクレープを作るのに使いました。

また、クレープの丸い形と金色は太陽を思わせます。

現代でもこのお祝いはフランスで続いています。宗教的な信仰心からというより、そういう習慣があるからです。

この日の数週間前からフランスではクレープの生地の宣伝が雑誌やテレビで見られます。

フランスでは小さな子どもがいれば家族で、また友だち同士でお祝いします。

クレープにまつわる言い伝え

もしフライパンを使うなら、クレープをひっくり返すとき落とさないようにします。落とすと縁起がよくありません。

フランスのクレープは甘くなくても、甘くても、ふつうは温かいのを食べます。

生地には2種類あります。小麦粉で作ったものは甘いフィリングを入れて食べます。そば粉の生地は甘くないクレープです。

クレープシュゼットはフランスの伝統的な定番料理です。オーギュスト・エスコフィエが生み出しました。

このクレープは溶かしバター、砂糖、グランマルニエ、オレンジ、レモンを混ぜて作ります。グランマルニエでフランベします。

ブルターニュのクレープもフランス全土で有名です。もしブルターニュに行ったら、ぜひこの郷土料理を味わってください。

[ファンファクト]

一番最初に焼いたクレープを戸棚の一番上に置かなければいけない、という言い伝えがあります。そうすれば、かびないからです。

またこうすると、その年、貧乏に苦しんだり、つらい思いをしなくてすむと考えられていました。

では最初のクイズの答えをお教えします。

クレープを作っているとき、フランス人が何を握っているか知っていますか?

フランス人はコインを握っています。ルイ金貨を握るのが慣習でした。もし、ちゃんとクレープがフランパンの中でひっくり返ったら、1年中、繁栄に恵まれます。

このレッスンはどうでしたか? 何かおもしろいことを学びましたか? みなさんもシャンドルールをお祝いしますか?FrenchPod101.comにコメントを残してください。

では、また。

単語メモ

couche 層

fourneaux fourneau オーブン、かまど の複数形
être aux fourneaux  料理をしている

fêter ~を祭る、たたえる、祝う

agiter 揺する、振る

flambeaux  flambeau たいまつ、手燭(てしょく) の複数形

le Dieu Pan パンの神 アルカディアの牧人と家畜の神。ヘルメスとニンフの間に生まれました。上半身は人間で、ヤギの角と耳を持ち、下半身はヤギです。

笛を吹くのが得意です。

パン

パン

christianiser キリスト教化する

semailles (特に穀物の)種まき いつも複数形
faire les semailles 種まきをする

être suivi 長く続いている

porter malheur 縁起が悪い、運が悪い

froment 小麦

garniture 詰め物、フィリング、具

crêpe Suzette クレープシュゼット。オレンジの皮やキュラソーで風味付けしたクレープ

Auguste Escoffier オーギュスト・エスコフィエ(1846-1935)フランスの料理の世界に数々の功績を残したシェフ。

flambé 調理の最後にお酒をかけて、アルコール分を飛ばすこと。火がぼっと出ます。

moisir かびる、(湿気のために)痛む

éloigner 遠ざける

misère  貧困、つらいこと、困ったこと

privation 剥奪、喪失、取り上げ

Louis d’or フランス旧金貨、ルイ金貨。ルイ13世以降のルイ王の肖像が入っている。

シャンドルールの由来についてはこちらにも書いています。クレープの作り方つき。

もともと2月2日に、パンの神を祭るために行われていたろうそくを使うお祭りがあったのを、ローマの教皇、グラシウス1世が聖母マリアの清めの祝日に変えたわけですね。

マリア様は出産後40日は汚れているので、教会などには出られなかったのですが、40日たったので、イエスを連れて教会に行き、神の子として皆にお披露目したようです。

神の子は世界に光をもたらす存在なので、人々はろうそくを盛大に灯して祝福したのでしょう。

この日は、聖燭祭(せいしょくさい)とも呼ばれています。

ちょうどこの時期、小麦の種をまくタイミングなので、使い残しの小麦粉を使ってクレープをせっせと焼いていたから、この日にクレープを食べるようになったみたいですね。

丸くてこんがり焼けたクレープは、これから訪れる春の太陽の象徴だったようです。

クレープはおいしいし、子どもと一緒に焼くのも楽しいので、宗教的な意味合いが薄れても、今でも続いている習慣なのでしょう。

日本では2月の初めは豆や恵方巻きを食べますが、フランスではクレープを食べる、というわけです。






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