フランスのテレビドラマの抜粋(extrait)のセリフを紹介します。取り上げるドラマのタイトルは Dix pour cent(ディプールサン:10パーセント)。
2015年の秋からシーズン1の6話が放映され、とても好評を博し、現在シーズン2まで制作されています。北米では、Call me agent!(エージェントに電話して!)というタイトルです。
Dix pour cent の内容
ドラマの舞台はタレントエージェンシーです。芸能事務所みたいなものですが、たぶん日本の事務所とはちょっと仕組みが違います。
エージェンシーの名前はASK (Agence Samuel Kerr)で、創設者サミュエルがボス。その下に4人エージェントがおり、それぞれがたくさんのスターをかかえています。
エージェントが芸能人の代理人になり、仕事を仲介します。そして成功報酬(タレントのギャランティ)の10パーセントを受け取るから、タイトルが Dix pour cent です。
それぞれのエージェントが仕事と私生活でいろいろ奮闘するさまが描かれています。ジャンル的にはコメディタッチのドラマでしょうか。
このドラマのおもしろいところは、毎回、本物のスターが、自分自身として出演するところです。
どんな感じなのか予告編を見てください。41秒。
30秒ぐらいのところで、Dix pour cent と言いますので発音をチェックできます。便宜上、ディプールサンと書きましたけど、全然違います。
一番最後に出てくる4人がASKのエージェントです。
予告編のスクリプトはこちらに書いています⇒ドラマ、Dix pour cent (10パーセント)の予告編のフランス語
仕事がつらくてやめたい時に使えるかもしれない表現
今回は、抜粋1のセリフをチェックしてみましょう。
エージェントの1人、アンドレアのアシスタント、マガリ(Magali)が、「もうやめる!」と言って出ていく場面です。
アンドレアはかなりきつい上司なのです。
このシーンより前に、アンドレアが、スケジュールに関して、マガリにいろいろ指示を出す場面がありますが、マガリがとろい質問(アンドレア的には)をするため、アンドレアは「あたり前のこと、聞くんじゃない、頭は大丈夫?」といった叱責をします。
このシーンの直前は会議のシーンで、マガリが意見を言おうとしたら、アンドレアが「ちょっと、マガリ!」と言って止めるのです。この時、マガリは泣き出してしまいます。
では、トランスクリプトと和訳を紹介します。
トランスクリプトは字幕(フランス語のクローズド・キャプション)を参考に、書かれていない部分を私が補ったものです。間投詞などが抜けていて、完璧ではないと思いますが、だいたいこんな感じです。
マガリが事務所を出ていくシーン
C’est criminel de partir maintenant.
Je suis désolée, mais j’en peu plus là Andréa ! Tu m’as pompé toute ma sève.
Je sais, tu me l’as déjà dit, mais c’est pas une raison. Écoute, c’est normal d’être un peu fatiguée. On est tous n peu fatigués. On rentre dans l’hiver là.
Tu vas prendre de la gelée royale. Viens au bureau à vélo. Ça va te donner de la force.
Non, je te jure que si je m’éloigne pas pour de bon. Je risque de m’en prendre à toi, physiquement. Désolée.
Non attende, c’rst comme ça que tu me remercies ? Je t’ai formée pendant des années. Je t’ai présenté tout Paris.
Je veux plus entendre tout ça, OK ? Je veux juste partir.
C’est pas toi qui pars ! C’est moi qui te vire. T’es virée !
こんなふうにやめるなんて犯罪よ。
すみません。でも、もう耐えられないんです、アンドレア。もう疲れました。
知ってるわ。前にそう言ってたわよね。でもね、それには理由があるの。疲れるのは当然なの。みんなちょっと疲れてるのよ。これから冬になるから。ロイヤルゼリーを飲みなさい。自転車で通勤したら? そうすれば元気になるわ。
いいえ、本当にもうやめないと、あなたに暴力をふるってしまうかもしれないので。ごめんなさい。
ちょっと待って。これがあなたの感謝の仕方なの? 何年も仕事を教えてきたのに。パリ中を案内してあげたでしょう。
そんなこと聞きたくないんです。ただ、やめたいんです。
あなたがやめるんじゃないわよ。私があなたを首にするの。あなたは首よ!
カミーユがアシスタントになりたいと言うシーン
40秒あたりから。
Comment je vais faire moi sans assistante ?
Ça vous intéresse une promotion ?
Non, enfin je veux dire, c’est très gentil, mais je veux pas travailler ici. Je veux pas être agent. Je travaille ici à mi-temps, parce que je suis comédienne en fait. Je vous l’ai déjà dit, mais vous avez dû zapper.
Et d’ailleurs, j’en profite justement, parce que je suis en spectacle en ce moment.
Ben moi, ça m’intéresse.
C’est Porte des Lilas.
Non merci.
アシスタントなしでどうすりゃいいの?
あなた、昇進する気ある?
いえ、ええっと、お言葉はありがたいのですが、私はここで働く気はありません。エージェント志望じゃなくて。私、パートなんです。私は女優なので。前にお話ししましたけど、お忘れになってしまったんですね。
そういえば、いま、このお芝居に出てるんです。
あの、私、興味あります。
「リラの門」ですが。
ありがとう、でもいいわ。
単語メモ
popmer 液体を吸い込む
pomper は 疲れさせる という意味もあります。
Ce travail m’a pompé. この仕事で私はくたくたになった。
sève 樹液
jurer 断言する
Je vous jure/ Je te jure というのはよく使います。「絶対そうよ、確かよ」と強調します。驚きや憤慨を表すこともあります。
s’éloigner 離れる、遠ざかる
pour de bon = pour tout de bon 本当に
virer 追い出す、解雇する (話)
à mi-temps パートで
Porte des Lilas リラの門 ルネ・クレールの1956年の映画。
単語や構文はそんなに難しくありませんが、とにかく話すスピードが早いので、聞き取りは難しいかと思います。
とくにマガリが出て行くところでは、2人とも感情的になっているので、よりいっそう速くしゃべっています。
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今回は、Dix pour cent のセリフを紹介しました。
私はNetflixで見ています。
聞き取りの練習のために、字幕は表示させずに、6回見てみましたが、細部が聞き取れませんでした。
映像があるので、大筋はわかるのですが。
「マカロンどうぞ。この店のスペシャリティなんですよ」ってなセリフは聞き取れるんですけど。
この記事を書くために、最初のほうだけ字幕を出してみたら、読解はできるセリフは意外とあります。もちろん、はじめて見る単語やイディオム、「こんな使い方するんだ」と思う表現も豊富にありますが。
しかし、聞き取れないのですよね。まあ地道にがんばります。次回も Dix pour centのセリフをチェックしますね。
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