フランス語の本

フランス語の勉強法

フランス語の学習に役立つおすすめの本

フランス語の学習のために、フランス語の本を読む方も多いと思います。

学習者にはどんな本が向いているのでしょうか?

今回のユゴー・コットン先生の動画は、フランス語学習者におすすめの本です。スクリプトを和訳しますね。

長さは13分16秒。フランス語の字幕を表示させることができます。



おすすめのフランス語の本

—冒頭の「ボヴァリー夫人」の朗読部分は省略—

フロベールの「ボヴァリー夫人」の一部を朗読してみました。フランス文学の古典です。

全然わからなかったとしても、それはふつうのことです。パニックにならないでください。

フランス語を学ぶために、この手の本を読んでも意味がない理由をお話しします。

さらに、もっと学習に役立つほかの本をいくつかおすすめします。

よく出てくる、プチニコラや星の王子さまではなく、もっとオリジナルな物です。

Quels livres lire pour améliorer son français ?

フランス語を上達させるために、どんな本を読んだらいいか?

こういう質問をよくもらいます。

これはアレキサンダーからです。

「現代的なフランス語の言葉を使っている本を推薦してくれませんか? フランス語の本は、複雑な言葉を使っているものが多く、5秒毎に辞書で調べなければなりません」。

読んでいる文章を理解するために、いちいち辞書を使っていると、本当にやる気がなくなります。

その一方で、フランス文学の傑作を読んでみたいと思う気持ちもよくわかります。

母語に翻訳されたものを読んだことがあって内容を知っているからかもしれないし、ヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」を原書で読んだと、友達を驚かせたい気持ちもあるのかもしれません。

目的がなんであれ、文学を読むのは、フランス文学を学ぶことだし、フランス語を完璧にしようとする行為です。

すでに、すばらしいレベルなら、明らかに、古典を読むべきでしょう。

けれども、コミュニケーションするために、フランス語を流暢に話すことを学びたいだけなら、こうした傑作には手出ししないほうがいいです。

フランス文学の古典には手を出さないこと

フランス文学の古典を読むべきでない理由を3つお伝えします。

1)単純過去の存在

第1の理由は、みなさんも知っていると思いますが、かの有名な、単純過去(le passé simple)です。

これは文学だけに出てくる時制で、複合過去と同じものと言えますが、書き言葉に出てきます。

ボヴァリー夫人の文章のように。

Il se leva. Sa casquette tomba.Toute la classe se mit à rire.

フランス人ですら、単純過去は苦手なのです。あまり使いませんから。

小説の中に出てきたら、その動詞の意味はわかりますが、動詞を活用することはできないことが多いです。

みなさんにとってよいニュースは、本の中で単純過去が使われることは、どんどん減ってきている、ということ。

単純過去は消えつつあるのです。

事実、20世紀の後半以降、作家は、複合過去形を使う傾向があります。

すでに、1942年に出版されたアルベール・カミュの「異邦人」では、複合過去形がたくさんでてきます。話者が物語を話すように語っているからです。

この時代以前の小説を読むと、単純過去ばかり出てくるでしょう。そのため、それがどの動詞なのか推測するのが大変です。

たとえば、次の2つの動詞がわかりますか?

elle fut は、être で、il sut は savoir です。難しいですよね。

複合過去形や半過去で手こずっているのに、単純過去で苦労するのは苦痛です。

会話で使おうとすると、人は、みなさんをルイ16世だと思うでしょう。

Je voulus fuir le pays mais on m’arrêta et on me coupa la tête(国から逃げ出したかったが、止められ、首を切り落とされた)

2)今は使わない言葉がたくさん出てくる

19世紀の小説を読むと、いまは使われていない言葉にたくさん出会います。その時代から人の生活は、ずいぶん変わりましたから。

たとえば、こういう物の名前を知っていてもたいして役に立ちません。

古い物

みなさんは、こうした小説の中でこういう言葉を見るのです。

しかも、この時代の作家たちは、描写する(les descriptions)のが大好きです。特に、ゾラやバルザック、フルベールのような自然主義の文学者は。

彼らは、とても長くて、詳細な描写をしました。読んでいるとすぐに退屈するはずです。特に、出てくる言葉の半分もわからないときは。

3)文学を味わうための知識が必要

古典をおすすめしない3つ目の理由は、その文学を味わうためには、それなりの知識を必要とするからです。

文飾(figures de style レトリック)がたくさん出てきて、理解するのが大変です。フランス人ですらそうです。

des allégories   寓意、比喩

des métaphores  メタファー

des hyperboles   誇張法

des oxymores  撞着語法、矛盾形用法 たとえば、「雄弁なる沈黙」とか。

外国語を学ぶのはそれだけで大変なのに、こうした傑作を理解するために、19世紀のフランス文学の専門家になることまで求められてしまうのです。

やることがありすぎて大変です。

古典を完全に無視しろ、と言っているわけではありません。

もし上級者でないのなら、古典を読むのは、フランス語を学ぶのに、あまり現実的ではないし、やる気を失わせる恐れがある、と言いたいのです。

古典がだめなら何を読むか?

中級者で、どうしても、こういう物語を読みたいのなら、別の方法があります。

バイリンガルの本⇒あまりおすすめではない

まずバイリンガルの本を使うことです。

オリジナルの文章が、片方のページにのっていて、となりのページに翻訳がのっているものです。

アマゾンには、French Classics in French and English といったシリーズがあります。

私自身は、こういう本はあまり好きではありません。というのも、ある1つの言葉がわからないとすぐに翻訳を読んでしまい、文脈から理解することをしなくなってしまうからです。

その結果、あいまいなものに対する耐性(la tolérance à l’ambiguïté)を養うことができません。

la tolérance à l’ambiguïté とは、全部がわからない状態でも、平気でいられる能力です。

これは、外国語を学ぶとき、ひじょうに重要な力です。

ですから、こうしたシリーズはあまりおすすめしません。

簡単なフランス語の本

もう少しおすすめのシリーズがあります。それは、Hachette (アシェット)という出版社の、簡単なフランス語の本のシリーズ(Lire en français facile)です。

フランス文学の古典を簡単なフランス語で書き直した本です。

たとえば、Candide, Le Comte de Monte-Cristo, Les misérables, モリエールの本もあります。

このシリーズのいいところは、フランス語を学んでいる人のために作られているから、言葉の意味がページの下に書いてあり、リスニングを練習できるように音声も用意されていることです。

ですが、デメリットもあります。 簡単なフランス語にしてあるために、文章が単純すぎることです。

私のポッドキャストでも、長編小説を取り上げています。モーパッサンの「オルラ」やカミュの「異邦人」、「星の王子さま」を紹介するエピソードを作りました。

このようなエピソードでは、オリジナルのテキストを読み上げているのではなく、シンプルな形にして、複合過去や実際に使う語彙を使っています。

興味があるなら、私のサイトで無料で聞いたり、トランスクリプションを読んだりできます。

そのうち、別の小説も紹介したいと考えています。

さて、純文学の話はここまでにして、私の思う、本当にフランス語の上達を助けるツールとなる本を紹介します。

おすすめ⇒MONDES EN VF.

まず、MONDES EN VF. のシリーズです。EN VF.とは、en version français (フランス語バージョンで)という意味です。

Didier(ディディエ)という出版社が出しています。

このシリーズも、フランス語を学んでいる人たちのために作られています。

このシリーズのよいところは、フランス語圏の現代の作家によって書かれたオリジナルの物語を集めていることです。

つまり、同時代の作家が書いています。

コンゴ、ベルギー、スイス、カナダ出身の作家たちがいて、それぞれがずいぶん違う視点を持っています。

サイトでは、本がレベルごとに分けられ、抜粋を無料で読むこともできるので、理解できるかどうかチェックできます。

ごらんのように、ページの下に、難しい言葉の意味が書かれています。

このような言葉は物語の中で、何度も使われるから、記憶を助けてくれます。もちろん、オーディオ版もダウンロードできます。

もしフランス語で初めて小説を読みたいなら、私が一番おすすめしたいのが、このシリーズです。

ハリーポッター

レベルがあがってきたら、フランス文学の圧倒的な傑作、ハリー・ポッターに移ってください。

奇妙に感じるかもしれませんが、言葉を学ぶために、このシリーズを読むのが好きな人はたくさんいます。

ハリーポッターのシリーズすべてを、3~4ヶ国語で読んだ生徒もいます。すでに読んだことがあるなら、話を知っているので、読みやすいです。

ハリー・ポッターは長いので、いい勉強になりますね。

すごくうまく翻訳された言葉を見つけることでしょう。たとえば、

le choixpeau magique これは、choix と chapeau をあわせた言葉です。

フランスでふつうに人気のある現代の小説

ですが、魔法使いの話のファンでないなら、フランスの小説を読んでください。

フランスで人気のある小説を探すことをおすすめします。フランス語の先生が、あまり推薦しない本もあります。文学とは呼べないものもあるからです。

けれども、そんなことは問題ではありません。

たいてい、読むにたえるおもしろさだし、現代の問題を扱っているし、単純過去もなく、いま、使う表現が出てきます。

Guillaume Musso ギヨーム・ミュッソ、Marc Levy マーク・レヴィ、Katherine Pancol カトリーヌ・パンコール、David Foenkinos ダヴィド・フォアンキノス、Amélie Nothomb アメリ・ノートン、Anna Gavalda アナ・ギャヴァルダ

こんな作家の本です。

フランスのリファレンスのサイトである、Babelioというサイトで、おすすめ本のリストを見ることができます。

Babelio.com に生き、作家の名前で探し、各作品のあらすじを読んでください。

おもしろそうな本を見つけたら、抜粋を無料で読むことができますから、難しすぎるかどうか、わかります。

ここは、本当に申し分のないサイトです。とても役にたつに違いありません。

最後に、学習するさいに、おもしろいと思う、別の2つのジャンルの本を紹介します。

伝記と自己啓発書もおすすめ

伝記と自己啓発書です。

日常生活で使う言葉で、とても具体的に書かれているのがメリットです。だから、小説を理解するよりも、ずっとやさしいのです。

おすすめを知るには、Amazon.fr に行き、biographie か、développement personnel で検索してください。興味のある本が必ずあると思います。

さあ、これで、いろいろなヒントが得られたんじゃないでしょうか?

もし、フランス語の本を読んだことがないのなら、さっそく、読み始めることを強くおすすめします。もし、みなさんのおすすめ本、読んで大好きなフランス語の本があったら、そのタイトルをコメント欄に書いてください。

他の人の助けになるに違いありません。

フランス語を学ぶための、私のほかの動画を見たいなら、このチャンネルを登録することを忘れないでくださいね。

単語の意味

un chef d’œuvre  傑作

faire l’impasse sur qch.  危険をあえて考えない、試験の山をかけて勉強をしない

en voie de disparition   しだいに消えつつある

érudition  深い学識、うんちく

avoir du pain sur la planche  仕事をいっぱいかかえている、ひじょうに忙しい

enfantin  幼稚な、子供っぽい、初歩的な、単純な

belles lettres  純文学

動画に出てきた読書関連サイト

Mondes en VF

Collection classique | Lire en Français Facile

Babelio – Découvrez des livres, critiques, extraits, résumés

ユゴー・コットン先生のポッドキャスト⇒Free Intermediate French Podcast with Transcripts | innerFrench 名前からわかるように、フランス語の中級者向けとのことです。



penのおすすめの本は?

語学サイトを見ていると、必ず、「おすすめ本」の話が出てきますが、結局は自分が好きなものを読むのが一番いいと思います。

たとえ、どんなにほかの人がすすめたとしても。

それは、日本語の読書を考えてもわかることです。

私はハリー・ポッターには全く興味がないため、一文字も読んだことがないし、映画も全く見たことがありません。

まあ、見ればおもしろいと感じるかもしれませんが。

ただ、コットン先生の言うように、あまり文学作品にこだわらないほうがいいでしょう。

本当に文学が好きなら止めませんが、日本語であんまり純文学を読まないのに、いきなり外国語で読んでも、いい結果にならないと思います。

日本の学習者の中には、文学を神聖視する人が多いので、文学を読まないといかん、みたいな雰囲気があるかもしれません。

ですが、文学は、言葉の使い方にしても、文章にしてもいちいちこっているので(作家の作風によって違いますが)、理解するのが大変です。

ノンフィクションのほうがやさしいです。

さて、私がフランス語学習者におすすめなのは、FC2ブログでも紹介したことがありますが、Aki Shimazakiさんという日本人だけどカナダに住んでいる作家が、フランス語で書いている一連の小説です。

1冊目(デビュー作)のTsubaki

彼女の本をおすすめする理由は5つあります。

1)Shimazakiさんは、フランス語のネイティブではないせいか、文体も語彙もシンプルで、中級者程度でも読みこなせる

2)登場人物はだいたい日本人で、時代背景も、原爆が落ちたころ、第二次世界大戦直後、バブル時代やらなので、日本の近代史を知っていれば、話を理解しやすい

3)日本語の言葉や事象がよく出てくる(というか、日本が舞台の話が多いです。そもそも、各小説のタイトルがすべて日本語です)

4)ある意味、メロドラマ(あるいは、悲劇。でもウエットではなくドライです)なので、先が気になって読み進めてしまう(ですが、文学的なリリカルさがあります)

5)1つの小説がおよそ120ページととても短いので、わりとすぐに読み終わる

デメリットとしては、日本では入手しにくいのと(アマゾンフランスなら簡単に手に入りますが)、薄っぺらいわりには値段が高いこと、もしかしたら、女性向けかもしれないこと、オーディオブックがないこと。

1冊読んでみて、「ちょっと違うな」と思ったらやめればいいので、機会があったら読んでみてください。

こちらでもおすすめ本を紹介しています⇒フランス語の達人になるために~その2 | フランス語の扉を開こう~ペンギンと

******

動画で紹介されていたMondes en vf の本は私も1冊持っています。トップの画像で写真をのせました。

Après la pluie, le beau temps という短編集で、すべてことわざがタイトルの7つの小説がのっているものです。

A2レベルを選びましたが、A2にしては難しいよ、と思いました。

脚注に出てくる単語はほぼみんな知っていましたが、そういういわゆる「難しい単語」よりも、口語表現というか、フランス人は当たり前に知っていて、これが外国人にとって難しいと認識できない表現が難しいのです。

とはいえ、すべて現代が舞台の小説で、主人公も若い人が多く、役立つ語彙や表現が多いと感じました。






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