『最強のふたり』という2011年のフランス映画の予告編を紹介します。この映画、フランスはもちろん、日本を含めた世界中でヒットしましたので、ご存知の方も多いかもしれません。
原題は Intouchables (アントゥーシャブル)
これは「触れることができない人」という意味です。
形容詞 intouchable (連絡のとれない、接触できない、触れることのできない、避難できない)の名詞形。形は同じです。
20世紀のインドの不可触賤民(ふかしょくせんみん)という意味もあります。
ふつうなら、ふれあうことがなかった2人の友情の物語です。2人の名前はフィリップとドリス。
最強のふたり 予告編スクリプト
では予告編をごらんください。
今回は19秒ぐらいまで。
J’suis venu chercher mon papier…….. par rapport aux… (Entrez)… Assedic…
Comment vous vivez l’idée d’être un assisté ? Ça vous gêne pas de vivre sur le dos des autres ?
Ça va merci. Et vous ?
Vous pensez que vous seriez quand même capable de travailler ?
Vous en avez de l’humour…
J’en ai tellement que je suis prêt à vous prendre à l’essai pendant un mois.
Je parie que vous ne tiendrez pas 2 semaines…
書類を取りに来ました。雇用に関する・・・。「入ってください」。
生活保護を受けて暮らすのは平気なのか?人のお荷物になっていることが気にならないのか。
別に。あなたは?
それでもちゃんと仕事ができると思うか?
ユーモアがありますね。
たっぷりあるよ。きみを1ヶ月雇おうかと思っている。
2週間持たないほうに賭けるよ。
単語メモ
ASSEDIC Association pour l’emploi dans l’industrie et le commerce 商工業雇用協会
assisté 社会扶助、生活保護を受けている人
refuser d’être un assisté 生活保護の受給を拒否する
sur le dos des ~の背中に⇒~を犠牲にして
penser que ~と考える、思う
ふつう、主節が疑問や否定のときは、queのあとは接続法が来ることが多いです。ここではふつうの文ですが、フィリップはドリスが、ちゃんと仕事ができるかどうか疑っているので、接続法になっていると思われます。
Je ne pense pas qu’il vienne.
彼が来るとは思いません。
seriez (être) 条件法現在
parier 賭ける
きょうのお話
フィリップは頸髄(けいずい)を損傷してしまい、下半身が動かせず、感覚すらありません。そこでふだんは車椅子で移動。
彼は大富豪です。
フィリップは新しい介護人を探しており候補者を何人か面接しました。その面接にやってきたのが若き黒人のドリス。
ドリスは無職で失業保険をもらっています。彼はあまり働く気がありません。失業保険の給付期間が切れそうだったので、フィリップの面接に来ました。
雇ってもらいたいと思っていたわけではなく、紹介された面接を受けて、不合格になれば、また失業保険がもらえるからです。
冒頭、彼が取りに来た紙は、「努力はしたけど、職を得られなかった」ということを証明する書類です。
フィリップはなぜかドリスが気に入って試しに1ヶ月雇うことにします。
この続きはこちら⇒『最強のふたり』(2): 型破りの介護人
白人で下半身不随の富豪と、黒人で健康なのに働こうとしない貧乏人ドリス。全く接点のない2人です。映画を見るとわかるのですが、2人の趣味嗜好もかなり違います。
フィリップはなぜドリスが気に入ったのでしょうか?からだが大きくて、力があるから、フィリップを運んだりするのには役立ちそうですが。
たぶん、ドリスはとても率直で、自分を偽らず、言いたいことを言うのがよかったのでしょうね。
先週紹介した『100歳の少年と12通の手紙』に出てきた白血病のオスカーも、周囲の大人が自分を腫れ物にさわるような扱いをするので、人間不信に陥っていました。
オスカーの映画はこちら⇒『100歳の少年と12通の手紙』(前編)~予告編のフランス語
そんなとき、たまたま出会ったローズは、口は悪いけど、何でも言いたいことを言う女性です。
病人やけが人に対しては、率直に物を言ったほうが、相手にとってはうれしいのかもしれません。
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