きょうは子ども新聞の映画に関する記事の和訳です。
記事のタイトルは、Cinéma : le cœur de Jack fait “tic tac”
映画:チクタクするジャックの心臓
現在、フランスで”Jack et la mécanique du cœur”(ジャックと機械じかけの心臓)というアニメーション映画が上映中。
記事は、この映画の原作を書き、シナリオも書き、監督もし、主人公ジャックの声も担当し、音楽も担当しているマティアス・マルジュウへのインタビューです。
『ジャックと機械じかけの心臓』の予告編
マティアス・マルジュウはディオニソスというバンドのシンガーでもあり、この小説をもとにしたアルバムも出しています。
映画の制作はリュック・ベッソン、配給はヨーロッパ・コープ。
どんな映画なのか簡単に紹介してから、冒頭の部分を訳してみますね。
予告編はこちらです。
・・・すごくきれいなアニメですね。
『ジャックと機械じかけの心臓』のあらすじ
予告編を見ればだいたいのプロットはわかるのですが、舞台は19世紀のエジンバラ。
ジャックが生まれる時、ものすごく冷え込んだのです。そのため彼の心臓は凍りついていました。
医者のマドレーヌ(黒柳徹子ヘアの人)が、彼の心臓を鳩時計に変えることで、ジャックの命を助けます。
この時計はけっこううまい具合に作動して、彼はふつうに成長します。ただ、鳩時計の心臓をキープするために3つの条件がありました。
1.針をさわってはいけない。
2.怒ってはだめ。
3.恋に落ちてはいけない。←最も重要。
この条件は予告編の30秒ぐらいのところで出てきます。
要するに心臓に負担がかかるようなことをしてはいけないのですね。小説も映画も見ていないので、なぜ針をさわってはいけないのか、わからないのですが。
小さいときは、世間から隔離され、マドレーヌの家の中で暮らしていたのですが、ジャックが10歳のとき、街に出ることを許されます。
そこでいきなり、ストリートシンガーのミス・アカシアという人に恋をしてしまうのですね。
そのため心臓の時計の針がぐるぐるし始めます。文字通り、爆発しそうな心臓をかかえて、彼はミス・アカシアを追って冒険の旅にでます。
記事の和訳(最初の質問とその答えまで)
ジャックの心臓は時計です。ある日、この心臓の調子が変になります。というのも、ジャックがミス・アカシアに恋をしたからです。ミス・アカシアはメガネをかけた美しい歌手です。
彼は再び彼女に会うために、ヨーロッパを横断します。
これは、現在上映中のとても美しいアニメーション映画、『ジャックと機械じかけの心臓』のストーリーです。
「『ジャックと機械じかけの心臓』は幻想的なアニメの西部劇なんです」と、監督のマティアス・マルジュウは言います。
この映画にはマルジュウのバンド、ディオニソスの音楽が使われています。
歌や演奏、作曲をするだけでなく、マルジュウはこの映画のもとになった『ジャックと機械じかけの心臓』を含むいくつかの小説も書いています。
彼がインタビューに応じてくれました。以下が抜粋です。
子どもたちはこの物語になじみがないですよね。映画として初めて接するわけですが、子どもたちを相手にすることに満足していますか?
MM:はい。よい物語というものは、世の中すべての人に語るべきだと私は考えます。子どもむけのよい本は、大人が読んでも楽しめます。同時に、大人にとっていい本というのも、子どもたちに語ることが可能なのではないでしょうか。
たとえ、子どもたちにショックを与えないように、また、ちゃんと理解できるように一部を取り除くということはあってもね。
アニメ映画のすばらしいところは、みんなに見てもらえることです。いろいろな年齢層の人にね。たとえ、全部を理解してもらえないとしても。
元記事 → www.jde.fr : Tous les articles : Cinéma : le coeur de Jack fait "tic tac" ☆記事が削除されたので、リンクをはずしました(2020/08/10)
単語メモ
se dérégler 調子が狂う
Cette montre se dérègle tout le temps.
この鳩時計はしょっちゅう狂っている。
élargir 拡大する
enlever 取り除く
補足
この小説はもともと大人むけです。
マドレーヌはブラック・ジャックみたいな医者で、娼婦の子どもを取り上げたり、ふつうの医者はやらないような奇妙な外科手術をして貧乏人を助けます。患者はアル中や、娼婦、街のごろつき。ブラック・ジャックみたいに高額な報酬は要求しないようですが。
ジャックは私生児だったので、彼女が育てたのです。
子どものころ、江戸川乱歩の「孤島の鬼」という小説を読みました。奇形児がいっぱい出てきて、すごい怖い話なんですが、そういうフリークスが出てくる世界を明るくしたようなところで、ジャックは育ったのかな、と想像しています。
だから、インタビュアーが、「子どもがこの話に接することをどう思うか」と聞いているのです。
★原作はこちら。前は違う表紙だったのですが、映画が出てからアニメの表紙のが出ました。
原作は数年前にベストセラーだったので、フランスに行けばごろごろあると思います。この映画が日本でも公開されれば、原作のペーパーバックが出るかもしれないですね。
それでは、この続きをお楽しみに。
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