船

フレンチポップスの訳詞

Les copains d’abord(仲間を先に): ジョルジュ・ブラッサンス(歌と訳詞)

フランスの国民的歌手、ジョルジュ・ブラッサンスの、Les copains d’abord (仲間を先に)を紹介します。1964年に発売されたもので、フランス人なら誰でも知っている歌です(たぶん)。

現在(2020年春季)、NHKで放送している、『まいにちフランス語入門編 マナと暮らすカンパーニュ Vivons le français!』のテーマソングに使われていますね。

ブラッサンスは、Les Copains(1964) という映画のために、この曲を書きました。

この歌のテーマは、友情です。



仲間を先に

歌詞(字幕)を表示させることができます。

3分22秒

お客さん、じっくり聴いていますね。

Les copains d’abord・歌詞

Non, ce n’était pas le radeau
De la Méduse, ce bateau
Qu’on se le dise au fond des ports
Dise au fond des ports
Il naviguait en père peinard
Sur la grand-mare des canards
Et s’appelait les copains d’abord
Les copains d’abord

Ses fluctuat nec mergitur
C’était pas de la littérature
N’en déplaise aux jeteurs de sort
Aux jeteurs de sort
Son capitaine et ses mat’lots
N’étaient pas des enfants d’salauds
Mais des amis franco de port
Des copains d’abord

C’étaient pas des amis de luxe
Des petits Castor et Pollux
Des gens de Sodome et Gomorrhe
Sodome et Gomorrhe
C’étaient pas des amis choisis
Par Montaigne et La Boëtie
Sur le ventre ils se tapaient fort
Les copains d’abord

C’étaient pas des anges non plus
L’Évangile, ils l’avaient pas lu
Mais ils s’aimaient tout’s voil’s dehors
Tout’s voiles dehors
Jean, Pierre, Paul et compagnie
C’était leur seule litanie
Leur Credo, leur Confiteor
Aux copains d’abord

Au moindre coup de Trafalgar
C’est l’amitié qui prenait l’quart
C’est elle qui leur montrait le nord
Leur montrait le nord
Et quand ils étaient en détresse
Que leurs bras lancaient des SOS
On aurait dit les sémaphores
Les copains d’abord

Au rendez-vous des bons copains
Y avait pas souvent de lapins
Quand l’un d’entre eux manquait à bord
C’est qu’il était mort
Oui, mais jamais, au grand jamais
Son trou dans l’eau ne se refermait
Cent ans après, coquin de sort
Il manquait encore

Des bateaux j’en ai pris beaucoup
Mais le seul qu’ait tenu le coup
Qui n’ai jamais viré de bord
Mais viré de bord
Naviguait en père peinard
Sur la grand-mare des canards
Et s’appelait les copains d’abord
Les copains d’abord

仲間を先に・訳詞

いや、それは、筏(いかだ)じゃなかった、その船は
メドューサ号からの筏とは違った、この船は
港の奥で人が言うように
港の奥で言うように
それは、のんびり屋のおやじみたいに海を行く
大きなあひるの海のうえを
そしてそれは、「仲間を先に」という名前さ
仲間を先に乗せるんだ

この船の『たゆたえども沈まず』というモットーは
単なる文学的なフレーズじゃなかった
呪術師は気に入らないだろうが、
呪術師は
その船長と船員は
卑劣な奴らじゃなかった
むしろ、いい友達さ
仲間を先に乗せるのさ

見せかけの友達じゃなかった
小さなカストールとポリュデウケースや
ソドムとゴモラの人たちとは違って
ソドムとゴモラ
選ばれた友達ではない
モンテーニュとボエシによって
彼らは、おおいに楽しんだ(←おなかの上でたたきあう)
仲間を先に乗せるんだ

彼らは天使でもない
福音書なんて読んじゃいない
でも、お互い好き合っている、満帆をあげて
満帆をあげて
ジャン、ピエール、ポール、そして「連れ」(compagnie)
彼らはこんな言葉を言うだけ
彼らの信念、彼らの告白の祈りは
仲間を先に乗せろ、なんだ

トラファルガーに小さな大砲の音が響けば(⇒ちょっとしたトラブルが起きると)
友情が舵を取る
友情が、彼らを北に向かわせた(⇒方向を失わせなかった)
彼らを北に向かわせた
困ったときは
彼らの腕は、SOSの信号を送った
それは沿岸信号所に見えただろう
仲間を先に乗せるんだ

良い友達同士が会うときは
すっぽかす奴はめったにいなかった
仲間の誰かが乗っていなかったら
そいつが死んじまったということさ
そうさ、でも、絶対に、絶対に
そいつの水の中の穴(⇒海の墓場)は閉じやしない
100年後もね、なんてこった
いまだに、みんなそいつを恋しがった

私はいろいろな船に乗った
でも、いまだに持ちこたえているのは
これまで決して進路を変えない船で
進路を変えない船で
のんびり屋のおやじみたいに海を行く
大きなあひるの海のうえを
そしてそれは、「仲間を先に」という名前
仲間を先に乗せるんだ

単語メモ

le radeau de la Méduse  メデューズ号の筏(いかだ)。テオドール・ジェリコーによる油彩画。

1816年7月5日、フランス海軍のフリゲート艦メデューズ号が難破した様子を絵にしたもの。150人ぐらいが、急ごしらえの筏で漂流。その大半が、救出されるまでの13日間に死に、生き残った15人も、飢餓、脱水、食人、狂気の世界を過ごす(以上、Wikipedia)。

Les copains d’abord という船は、そうした筏とは、違い、迷ったりしないし、のんびり海の上を行くし、乗ってる人はみな仲がよく、トラブルがあっても、仲間を優先するんだ、ということです。

peinard  のんびり屋 のんきな人

fluctuat nec mergitur  「たゆたえども沈まず」パリの標語でパリの紋章にもついています。

これはラテン語で、ラテン語入門のサイトによると、フルクトゥアト・ネク・メルギトゥル と読みます。

意味は、「波の上でゆれるけど、沈まない」。

参考ページ⇒Fluctuat nec mergitur. | 山下太郎のラテン語入門

昔のパリの水運業組合で使われていた言葉で、2015年のテロのあとも、よく聞かれました。

n’en déplaise à ~の気に入らないだろうが、~にもかかわらず
déplaire à ~を気に入らない 

jeteur de sort  呪術師、魔法使い

mat’lot = matelot  船員

salaud  (スラング、ののしり言葉)卑劣漢、げす野郎 だけど、親しい間柄で、親しみをこめた呼びかけに使うこともあります。

franco de port  運賃送り主負担で ☆port と そのあとの abord が韻を踏んでいる

Castor et Pollux  カストールとポリュデウケース ギリシャ神話に出てくる双子の兄弟。この2人はとても仲がよいです。

Montaigne  モンテーニュ(1533-1592)作家、モラリスト

La Boétie  エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ(1530-1563) フランスの裁判官、人文主義者 ☆モンテーニュやボエシみたいなハイソサエティな人が選ぶ連中ではなかったけど、みな気のいい仲間だ、ということ。

se taper  叩き合う、殴り合う、おかしい、笑止千万だ、飲む、食う、 ほかにも口語でいろいろな意味あり。

L’Évangile  福音、福音書

mettre toutes voiles dehors  八方手をつくす;満帆を揚げる

litanie  連祷(れんとう);訴え、苦情などをくどくど言うこと

credo  信条、信念

confiteor  告白の祈り

Trafalgar  トラファルガー岬;1805年、ネルソン提督の率いる英国艦隊が、フランス・スペイン連合艦隊を破った古戦場。

prenait l’quart = prenait le quart  この quart は、海事用語で、コンパスの点、ポイント、11度15分

sémaphore  沿岸信号所

poser un lapin à qn  ~との待ち合わせの約束をすっぽかす、という成句があるので、「すっぽかす奴はいなかった」と訳しました。

Coquin de sort !   なんてこった、まさか、べらぼうな ☆南仏でよく使われる言葉らしいです。

tenir le coup    耐え抜く、頑張り抜く、持ちこたえる、(物が)耐久性がある

virer de bord   風の受ける舷を変える;政治的な意見を変える ☆舷は船の両側面、ふなべりのこと。

Les copains d’abord パンクロックバージョン

ラジオ講座のエンディングに流れる、パンク・ロックにアレンジした Les copains d’abordです。

演奏しているのは、Zéphyr 21 という名前のバンドです。ゼフィールヴァンテ・アンと読むのでしょうね。

モンペリエ出身の3人組です。

Zéphyr はギリシャ神話にでてくる神さまの名前です。日本では、ゼピュロスとか、ゼフィロスと呼ばれています。小文字で始めれば、「そよ風」や「春」という意味もあります。



ジョルジュ・ブラッサンスについて

1921年、フランスのセット生まれ。亡くなったのは、1981年。

彼は特に1960年代、70年代に特に活躍したフランスの大御所的シンガーソングライターであり詩人です。

1952年から、1976年まで、ギターをもって、自分の詩に曲をつけたものをライブで歌っていました。

反体制派の歌手で、たくさんの歌手に影響を与え、今でも、根強い人気があります。

詩人としての評価も高いです。

彼自身も、友情に厚い人で友達がたくさんいました。

日本や海外ではそれほど知られていないかもしれません。

彼はめったにフランス国外ではコンサートをしなかったし、彼の曲の歌詞は、ほかの国の言葉に訳すのがひじょうにむずかしいので、インターナショナルな歌手にはならなかったのでしょう。

しかし、フランス語圏では、とても人気があります。

現在は教科書にのっているし、数々の研究の対象となっている存在です。

ブラッサンスの曲は、歌詞がむずかしいというか、あいまいというか、いろいろに解釈できるというか、そういうタイプの歌なので、訳すのは難しいです。

今回の私の訳も至らないところがたくさんあるでしょう。まあ、だいたいこんな感じのことを歌っているんだ、と思ってください。

彼のベスト盤。Les copains d’abordは入ってないけど、35曲以上収録されています。

*****

ここ数年、『まいにちフランス語』は、おもてなしがどうとか、日本文化を紹介しましょう、みたいなシリーズが多かったので、興味がなかった私は聞いていませんでした。

しかし、今年は、入門編、応用編とも4月から聞いています。

ところが、7月からは4月~6月の放送の再放送になる、とさっきNHKのホームページで見ました。

こちら⇒NHKゴガク

「3ヶ月分しか収録していなかった」、ということなんでしょうが、緊急事態宣言もとかれたし、収録できないんですかねえ?

ラジオって声だけだし、出演するのは、先生2人だけだし。

ソーシャルディスタンスとって収録すればいいだけだと思うのですが。

フランスの朝のワイドショーふうの番組(たまにYouTubeで見る)も、前は並んで座っていたキャスターが離れて座って収録しています。

いま、カナダでは、国会をどういうふうにすすめるかでもめています。政府は、少人数の議員が出席し、残りの人は、ネットで参加、という形を提案して、実際そうし始めていますが、野党が反対しています。

国会ができるんだから、ラジオ講座の収録もできるんじゃないか、と思うのは私だけでしょうか。

『マナと暮らすカンパーニュ』はわりとおもしろいですよね? この番組で、はじめてフランス語を始めた、という人には、ちょっとついていくのが大変な気もしますが。

3ヶ月で終わってしまうのは残念です。






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